酵素番号: 一覧、解説および関連ページへのリンク

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このページの最終更新日: 2024/12/03

  1. 概要: 酵素番号とは
  2. Oxidoreductase: 酸化還元反応を触媒
  3. Transferase: 原子団をある分子から別の分子へ転移する
  4. Hydrolase: 加水分解反応を触媒
  5. Lyase: 脱離反応によって二重結合を生成する
  6. Isomerase: 異性体を作る
  7. Ligase: ATP の加水分解エネルギーを利用して、2つの分子を結合させる

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概要: 酵素番号とは

酵素番号 (EC number; enzyme commission number) とは、酵素のメインページ で述べたように、触媒する反応の種類に応じて酵素に割り振られる EC 1.1.1.1 のような番号である。

最初の数字がもっとも大きな区分けを示しており、例えば EC 1.x.x.x という酵素は全て酸化還元反応を触媒する酵素になる。この桁には 1 から 6 までの数字が割り振られている。つまり、全ての酵素反応は、以下の 6 種類のいずれかであると言える。

  1. Oxidoreductase: 酸化還元反応を触媒
  2. Transferase: 原子団をある分子から別の分子へ転移する
  3. Hydrolase: 加水分解反応を触媒
  4. Lyase : 脱離反応によって二重結合を生成する
  5. Isomerase: 異性体を作る
  6. Ligase : ATP の加水分解エネルギーを利用して、2つの分子を結合させる

ここでは、本サイトにページがある酵素を全て番号に応じて並べる。タンパク質の目次 のページと似ており、酵素の目次 として使うことができる。


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EC 1: 酸化還元酵素 oxidoreductase

EC 1.1.x --- CH-OH の結合に対し酸化酵素として働く

EC 1.1.1.x --- NAD+ または NADP+ を用いる

EC 1.1.1.1 --- NAD+ を補酵素とする アルコールデヒドロゲナーゼ

EC 1.1.1.2 --- NADP+ を補酵素とするアルコールデヒドロゲナーゼ

EC 1.1.1.27 --- 乳酸デヒドロゲナーゼ

EC 1.1.1.49 --- G6P デヒドロゲナーゼ

EC 1.1.2.x --- チトクロムを用いる

EC 1.1.3.x --- 酸素を用いる

EC 1.1.4.x --- ジスルフィドを用いる

EC 1.1.5.x --- キノンあるいはその類似化合物を用いる

EC 1.1.99.x --- その他の電子受容体を用いる

EC 1.11.x --- 過酸化物を電子受容体とする

EC 1.11.1.6 --- カタラーゼ

EC 1.15.x --- 超酸化物を電子受容体とする

EC 1.15.1.1 --- スーパーオキシドジスムターゼ

EC 2: 転移酵素 transferase

EC 2.1.x --- 炭素原子の基を移す

EC 2.2.x --- アルデヒドまたはケトンを移す

EC 2.2.1 --- (EC 2.2 は EC 2.2.1 のみ。細分化されていない)

EC 2.2.1.6 --- アセト乳酸合成酵素 (ALS): 分岐鎖アミノ酸 の合成

EC 2.3.x --- アシル基を移す

EC 2.3.1 --- アミノアシル基以外のアシル基を移す

EC 2.3.2 --- アミノアシル基を移す

EC 2.3.2.2 --- Gamma-glutamyltransferase (GGT)

EC 2.3.3 --- アシル基転移の際、アルキル基への変換を伴う

EC 2.5.x --- メチル基以外のアルキル基またはアリル基を移す

EC 2.5.1.54 --- DAHP synthase, シキミ酸経路 の最初の反応。

EC 2.6.x --- 窒素を含む基を移す

EC 2.6.1.1 --- Glutamate aminotransferase (参考: 尿素回路血液診断)

EC 2.6.1.2 --- Alanine-pyruvate aminotransferase (同上)

EC 2.7.x --- リン酸基を含む基を移すもの

EC 2.7.10.x --- タンパク質のチロシンキナーゼ

EC 2.7.11.x --- タンパク質のセリン/スレオニンキナーゼ

EC 2.7.11.11 --- プロテインキナーゼ A (PKA)

EC 3: 加水分解酵素 hydrolase

EC 3.1.x.x --- エステルの加水分解酵素

EC 3.1.1.x --- カルボン酸エステルの加水分解酵素

EC 3.1.1.3 --- ホルモン感受性リパーゼ (HSL)

EC 3.1.1.34 --- リポタンパク質リパーゼ (LPL)

EC 3.2.x.x --- 糖の加水分解酵素

EC 3.2.1.x --- 配糖体または糖の加水分解酵素

EC 3.2.1.17 --- ライソザイム


EC 3.4.x.x --- ペプチド結合の加水分解酵素、つまり プロテアーゼ

EC 3.4.21.4 --- トリプシン: 膵臓から分泌されるプロテアーゼ

EC 3.4.21.5 --- スロンビン: 血液凝固に重要なプロテアーゼ

EC 3.4.22.32 --- Bromelain (Stem): パイナップル茎由来プロテアーゼ

EC 3.4.22.32 --- Bromelain (Fruit): パイナップル実由来プロテアーゼ

EC 3.6.x.x --- 酸無水物の加水分解酵素

EC 3.6.1.x --- リン含有酸無水物に作用

EC 3.6.2.x --- スルホニル含有酸無水物に作用

EC 3.6.3.x --- 酸無水物に作用し、膜輸送を触媒 (トランスポーター)

EC 3.6.3.9 --- ナトリウムポンプ

EC 3.6.4.x --- 酸無水物に作用し、細胞または細胞小器官の運動に関与

EC 3.6.5.x --- GTP に作用し、細胞または細胞小器官の運動に関与

EC 4: リアーゼ lyase

EC 4.1.x.x --- 炭素-炭素リアーゼ

EC 4.1.1.x --- カルボキシル基の付加脱離

EC 4.1.2.x --- アルデヒド基の付加脱離

EC 4.1.3.x --- オキソ酸の付加脱離

EC 4.1.99.x --- その他の炭素-炭素リアーゼ類

EC 4.2.x.x --- 炭素-酸素リアーゼ

EC 4.2.1.x --- デヒドラターゼ類

EC 4.2.2.x --- 多糖に作用する

EC 4.2.3.x --- リン酸基の付加脱離

EC 4.2.99.x --- その他の炭素-酸素リアーゼ

EC 4.3.x.x --- 炭素-窒素リアーゼ

EC 4.3.1.x --- アンモニアの付加脱離

EC 4.3.1.23 --- チロシンアンモニアリアーゼ、TAL: チロシン からの フラボノイド 合成に関わる。

EC 4.3.1.25 --- フェニルアラニン/チロシンアンモニアリアーゼ、PTAL

EC 4.3.2.x --- アミジンの付加脱離

EC 4.3.3.x --- アミンリアーゼ類

EC 4.3.99.x --- 他の炭素-窒素リアーゼ類

EC 4.4.x.x --- C-S リアーゼ

EC 4.5.x.x --- C-ハロゲン化物リアーゼ

EC 4.6.x.x --- P-O リアーゼ

EC 4.99.x.x --- その他のリアーゼ

EC 5: イソメラーゼ isomerase

EC 6: リガーゼ ligase

EC 6.3.1.2 --- グルタミンシンセターゼ: NH3 解毒など

EC 6.4.1.x --- C-C 結合を形成する酵素

EC 6.4.1.1 --- ACC: 脂肪酸合成の律速酵素


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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。

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このページの目次

0. 概要
1. 酸化還元
2. 転移
3. 加水分解
4. リアーぜ
5. 異性体
6. リガーゼ