SOD: 活性酸素を分解する酵素分類、活性測定法など
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このページの最終更新日: 2024/12/15- 概要: SOD とは
- Cu/Zn SOD
- TG mice
- KO mice
- その他の生物
- Mn SOD
- KO mice
- Extracellular SOD
- SOD 活性の測定法
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概要: SOD とは
スーパーオキシドジスムターゼ (SOD; superoxide dismutase; EC 1.15.1.1) は、活性酸素 であるスーパーオキシド O2- と水素イオン H+ から、酸素 と 過酸化水素 を生成する反応を触媒する酵素である。
スーパーオキシドは、キサンチンから尿酸を生成する反応、NADPH - チトクローム P450 還元酵素による酸素の 1 電子還元などによって生成する (6)。
2O2-+ 2 H+ → O2 + H2O2
この反応は、1 種類の物質である O2- が反応して O2 および H2O2 になる反応であり、
SOD の活性中心には 2 価の金属 Cu, Fe, または Mn が含まれる。金属の種類と細胞内局在によって、SOD は一般に以下ように分類されている。
Cu/Zn SOD |
活性中心に Cu を含む SOD で、主に真核生物の細胞質に局在する。Zn は構造の安定化に重要であると考えられている。 |
Mn SOD |
活性中心に Mn を含む SOD で、真核生物のミトコンドリアに局在する。また、一部のバクテリア (1D) や甲殻類では、細胞質型の Mn SOD (cytoplasmic Mn SOD) の存在も報告されている。 |
Extracellular SOD |
Cu および Zn をもつが、細胞質ではなく細胞外に局在する。分泌された Cu/Zn SOD ではなく、異なる分子である。 |
Fe SOD |
主にバクテリアに存在する。 |
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Cu/Zn SOD
Cu/Zn SOD は、活性中心に銅原子 Cu を含む SOD で、主に真核生物の細胞質に局在する。ミトコンドリア の intermembrane space にもあると書かれている (2)。Zn は構造の安定化に重要であると考えられている。
Cu/Zn SOD transgenic mice
- Human genome fragment containing the SOD1 gene Tg mice の Cu/Zn SOD 活性は 2 - 5 倍高く、MEF のパラコート耐性も高いが、寿命は野生型と同じである。
- Cu/Zn SOD & catalase, Cu/Zn SOD & Mn SOD double transgenicも、寿命は野生型と同じ (1,3)。
Cu/Zn SOD ノックアウトマウス
Cu/Zn SOD-/- mice は以下のような表現型を示す。
- 酸化ストレスに弱く、寿命も野生型より 30% 短い (1)。
- DNA に蓄積する酸化ダメージは、野生型マウスの数倍高い (1)。
- 卵巣機能不全を示し不妊である (1)。
- 睾丸が小さくなり、細胞間に隙間が生じる。熱ストレス下で精原細胞の機能が阻害される (4)。
- アポトーシスが増え、熱ストレス後の細胞の精原細胞の生存率が低下する。
- これは ROS scavenger によってされる。熱ストレスで生じる活性酸素が増えていると思われる。
Cu/Zn SOD+/- mice の寿命は野生型と同じで、酸化ストレス耐性に関する情報は 2009 年時点ではない (1)。
その他の生物
Drosophila
- ただし炭水化物量が多いときのみ。
- 餌のタンパク質/炭水化物比率の変化で寿命が変化する。タンパク質制限ではTORシグナルが低下。
- SOD1 の過剰発現は、寿命延長の十分条件ではない。
- タンパク質制限で寿命が延びたときにも、酸化ストレス耐性は上がらない。
Mn SOD
Mn SOD ノックアウトマウス
Mn SOD のホモノックアウトは、拡張性心筋症になり生後早期に死亡する (7)。脂肪肝、代謝性アシドーシス、神経変性の症状も示す。
SOD 活性を有する小分子の投与によって、これらの症状は部分的に回復するが、それでも生後 40 日程度で死亡する (7)。
> Mn SOD の conditional KO についてまとめた日本語総説 (7)。
- 肝臓特異的 KO では、肝機能障害や脂肪蓄積が認められない。Cu/Zn SOD による保障でもなく、過酸化脂質量も増えない。
- 心筋・骨格筋特異的 KO では、拡張型心筋症や運動能力の低下が認められ、生後 6 ヶ月までに脂肪。ミトコンドリア異常、呼吸鎖複合体 I, II, III, V サブユニット量減少など。これらの症状は EUK-8 などの投与でレスキューされる。
- 骨格筋特異的 KO は正常に発育。中心核 centralized nuclei が認められ、筋肉が再生していると考察された。自発行動量は変わらないが、骨格筋 ATP および強制走行力は低下。
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SOD 活性の測定法
SOD の活性測定法は、原則的に以下の 2 ステップに分けられ、それぞれに複数の方法がある (6)。
- O2- を発生させる段階
- キサンチン - キサンチンオキシダーゼ反応
- フラビンの光還元反応
- Phenazine methosulfate (PMS) の NADH による還元反応を利用する
- ピロガロールやヘマトキシリンの自動酸化を利用する方法
- SOD による O2- の減少を測定する段階
- 直接測定法 [電子スピン共鳴 (ESR)、ポーラログラフ法、化学発光法および UV 法など]
- 間接測定法 (チトクローム c 法、NBT 法、亜硝酸法、ピロガロール自動酸化法など)
以下、段階 2 の間接測定法について解説する。
シトクロム c 法
SOD の存在を示すために最初に用いられた方法 (6)。O2- によってヘムタンパク質である シトクロム c の Fe3+ が Fe2+ に変化する。この変化を 550 nm の吸光度で測定する (6)。
NBT 法
O2- によって NBT (nitroblue tetrazolium) を還元し、生成したホルマザンを 560 nm で測定する (6)。反応の停止に CuCl2 を用いることで、ホルマザンが 3 時間以上安定に保たれるため、検体が多いときの測定に適する。
シトクロム c 法に比べ特異性はやや劣るが、感度は高い (6)。
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References
Trost et al. 2010a. The complete genome sequence of Corynebacterium pseudotuberculosis FRC41 isolated from a 12-year-old girl with necrotizing lymphadenitis reveals insights into gene- regulatory networks contributing to virulence. BMC Genomics 11, 728.Perez 2009a (Review) Biochem Biophys Acta 1790, 1005-1014.Perez 2009b . Aging Cell 8, 73-75.Ishii et al. 2005a. Accelerated impairment of spermatogenic cells in sod1-knockout mice under heat stress. Free Radic Res 39, 697-705.Sun et al. 2012a. Nutrient-dependent requirement for SOD1 in lifespan extension by protein restriction in Drosophila melanogaster. Aging Cell 11, 783-793.佐野, 富田 1992a. 抗酸化酵素の測定. 化学と生物 30, 743-747.清水, 白澤 2009a. Mn SOD コンディショナルノックアウトマウスを用いた抗老化研究. 薬理学雑誌 130, 19-24.
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