NADPH とは: NADH との違いを中心に
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このページの最終更新日: 2024/02/14広告
概要: NADPH とは
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADPH) は、電子運搬体である。生体における NADPH の主な供給源は、解糖系 から分岐する ペントースリン酸回路 である。
下の図で、アデニン部分にリン酸基がついているのが NADPH、ついていないのが NADH である。両者の構造は非常によく似ており、機能も極めて近い。機能については NADH のページ で詳しく解説している。
NADPH の構造 (1) |
NADH の構造 (2) |
NADH および NADPH は、どちらも生体内の電子伝達に関与する。つまり、NAD+ および NADP+ の状態から電子を受け取ってそれぞれ NADH および NADPH となり、最終的に他の物質に電子を受けわたす。
NADH が TCA 回路 や ミトコンドリア の 電子伝達系 などで主に利用されるのに対し、NADPH は以下のような代謝経路で機能する。一般に、「
光合成 |
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グルタチオン の酸化還元 |
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コレステロール の合成 |
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エントナー・ドウドロフ経路 |
好気性の真正細菌によく見られる代謝系。 |
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赤血球における NADPH の生理的意義
生体における NADPH の役割は、合成経路の遺伝子が欠損した場合の表現系から明らかにすることができる。
NADPH は ペントースリン酸回路 で合成されるが、その経路の酵素 G6PD には Mediterranean および Afro-Caribbean 由来の保存された変異がある (3)。G6PD 欠乏は、酸化ストレス下での溶血をもたらす (3)。つまり、ペントースリン酸回路の第一の意義は
NADPH は、以下のように グルタチオン の還元に使われる。
NADPH はグルタチオンに電子を渡して還元し、自身は酸化されて NADP+ となる。FAD は電子の受け渡しに関与はするが、反応の前後で変化しない。
つまり、G6PD 欠乏は NADPH 量の減少をもたらし、グルタチオンによる抗酸化力を低下させる。
- 400 million の人が変異した遺伝子をもっているが、多くは症状が出ない。
- ヘモグロビン の SNP と同様に、マラリアに対する抵抗性があるものと考えられている。
- 感染、薬品などで赤血球が酸化ストレスに晒されると、溶血が起こる。
NADPH/NADP+ 比とレドックス
生化学の格言 のページにある通り、「酸素を受け取ったら酸化、水素や電子を受けっとたら還元」である。つまり NADPH が還元型、NADP+ が酸化型。
よって、その比である NADPH/NADP+ の値が大きい場合、還元型の割合が大きいということであり、すなわち細胞内は還元が優位の状態 = 酸化ストレスが低い状態と考えることができる。逆に、この値が低いときは酸化ストレスを受けている。
NADPH の還元に使われるグルタチオンの場合も同様である。還元型が GSH、酸化型が GSSG なので、その比である GSH/GSSG の値が大きいほど、細胞内の酸化ストレスは低いことになる。
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References
- By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
- "NAD+ phys" by NEUROtiker - 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
- Amazon link: ハーパー生化学 30版.
- By Zwickipedia - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
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