アルコールデヒドロゲナーゼ ADH: 機能、変異など
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このページの最終更新日: 2024/12/15- 概要: アルコールデヒドロゲナーゼとは
- ヒトの ADH
- エタノールの分解
- 細菌の ADH
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概要: アルコールデヒドロゲナーゼとは
アルコールデヒドロゲナーゼ (alcohol dehydrogenase; ADH) は、アルコールを脱水素し、アルデヒド aldehyde またはケトン ketone を生成する反応を触媒する酵素である (1)。狭義には、NAD を補酵素とする酵素 EC 1.1.1.1 を指す。
NAD+ または NADP+ を 補酵素 として用いる。どちらが使われるかは、酵素のアイソフォームによって決まっている。また、1 級アルコールおよび 2 級アルコールのどちらを分解するかもアイソフォーム依存的である。
ヒトの ADH
少なくとも以下の 3 つの異なる EC 番号 をもつアイソフォームがある。
EC 番号 | 補酵素 | 基質 |
EC 1.1.1.1 | NAD+ | 1, 2 級 |
EC 1.1.1.2 | NADP+ | 1 級 |
EC 1.1.1.71 | NAD, NADP |
エタノール分解
ヒトの ADH が触媒する反応で、最も興味をもたれているのは エタノール の分解だろう。エタノールは、以下のようにアセトアルデヒド → 酢酸 → アセチル CoA と代謝されたのち、TCA 回路 で酸化される。
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細菌の ADH
ADH はアリルアルコールも分解することができ、有害な acrolein (allyl aldehyde) ができる (2)。この性質を利用して、ADH 活性をもつ菌株のスクリーニングに allyl alcohol を添加する方法がとられることがある。
アリルアルコールとは、アリル基をもつ不飽和アルコールのことをいう。図は、安定な不飽和アルコールのなかでもっとも単純な構造をもつ 2-プロペン-1-オール、一般名アリルアルコールである。
アリル基 -CH2CH=CH2 は IUPAC名では 2-プロペニル (2-propenyl) 基と呼ばれる。毒物であり、皮膚や粘膜に炎症を起こす。
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References
- Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
Zhu et al. 2011a. Coproduction of acetaldehyde and hydrogen during glucose fermentation by Escherichia coli. Appl Environ Microbiol 77, 6441-6450.
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