プロテアーゼ: ペプチド結合を切断する加水分解酵素の総称

UBC/protein_gene/p/protease

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: プロテアーゼとは
  2. プロテアーゼの分類
    • 分解の部位による分類
    • 基質による分類
    • 触媒機構による分類

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概要: プロテアーゼとは

プロテアーゼ protease とはペプチド結合を加水分解する酵素の総称で、酵素番号 EC 3.4.x.x をもつ酵素群である。

ペプチド結合とは、アミノ酸同士のアミド結合が長く連なったもののことで (図; Public domain)。タンパク質 を形成する重要な結合である。ゆえに、プロテアーゼは タンパク質やペプチドを分解する酵素 の総称と考えて良い。


ペプチド結合

化学結合の詳細は 化学結合の一覧 のページを参照のこと。


プロテアーゼの分類

プロテアーゼは古くから知られている 酵素 で、分類にも様々な基準がある。

分解の部位による分類

ハーパー生化学 (2) では、この分類が一番最初に言及される。プロテアーゼのもっとも重要かつクリアな分類方法と言って良いだろう。

タンパク質をアミノ酸配列に従って内部から切断するものを エンドペプチダーゼ endopeptidase という。消化・吸収のために膵臓から分泌される酵素が多い。

これに対して、タンパク質を C または N 末端側から分解していくものを エクソペプチダーゼ exopeptidase という。

  • Carboxypeptidase: C 末端側から分解
  • Aminopeptidase: N 末端側から分解
  • Dipeptidases: 配列によらず 2 残基のペプチドを分解
  • Tripeptidases: 配列によらず 3 残基のペプチドを分解

基質による分類

タンパク質を分解するものを プロテイナイーゼ proteinase、ペプチドを分解するものを ペプチダーゼ peptidase という。

しかしタンパク質とペプチドの区別は曖昧であり、したがってプロテイナーゼとペプチダーゼにもはっきりとした定義はない。Proteinase K のような慣用名が現在でも使われている。


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触媒機構による分類

活性部位に存在するアミノ酸などによる分類である。

  • セリンプロテアーゼ
  • システインプロテアーゼ (システイン のチオール基から、チオールプロテアーゼとも呼ばれる)
  • アスパラギン酸プロテアーゼ
  • メタロプロテアーゼ metallo protease: 活性中心に金属を含むもの。

各種プロテアーゼのページ

このサイトには、以下のようなプロテアーゼのページがある。

プロテアーゼ Endo or Exo

説明

トリプシン

Endo

キモトリプシン

Endo

ペプシン

Endo

ブロメライン

Endo

活性中心はシステイン。パイナップル由来。

カスパーゼ

Endo

活性中心はシステイン。基質のアスパラギン酸残基の後ろを切断するので、アスパラギン酸特異的システインプロテアーゼとも呼ばれる。Caspase という名前も Cysteine Aspartate-specific protease という言葉に由来している。アポトーシス に重要な役割を果たす。


References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  2. Amazon link: ハーパー生化学 30版.

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