タンパク質濃度測定・280 nm 法:
原理、プロトコール、長所と短所など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: 280 nm 法とは
    • 280 nm 法の長所と短所
  2. 280 nm 法のプロトコール
    • 核酸が混入した場合の補正

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概要: 280 nm 法とは

芳香族アミノ酸 aromatic amino acids であるトリプトファンおよびチロシンは、280 nm の紫外光をよく吸収する (2)。この吸光度からタンパク質濃度を見積もるのが 280 nm 法である。

同じ芳香族アミノ酸である フェニルアラニン の吸光のピークは 260 nm にあり、280 nm ではほとんど吸収がない。Molecular Cloning では、トリプトファンとチロシンしか言及されていない (1)。吸収量の比は、Trp : Tyr : Phe = 5600 : 1400 : 200 である (5)。


トリプトファン
チロシン
フェニルアラニン

一方、ヒスチジンも 280 nm にある程度の吸光があるようである (4)。

トリプトファンおよびチロシンの含量はもちろんタンパク質によって異なるので、280 nm 法はあまり正確な方法ではない。ただし、多くのタンパク質を含む溶液 (組織の粗抽出液など) では、タンパク質の違いによる偏りも平均化されると考える。

ごく大まかに、1 cm の光路長のセルで吸光度が 1 のとき、タンパク質濃度は 1 mg/mL となる (4)。280 nm 法では、これをもとにタンパク質濃度を算出している。


280 nm 法の長所と短所

280 nm 法には、以下のような特徴がある (2)。

長所

  • 他のタンパク質濃度測定法に比べ、圧倒的に簡単である。
  • 他の方法とは異なり、タンパク質の回収が可能である。

短所

  • タンパク質の種類によって芳香族アミノ酸の含量が異なるので、タンパク質によって吸光度が異なる。特殊なアミノ酸組成をもつコラーゲンなどの定量には向かない。
  • 検出範囲は 50 – 2000 µg/mL であり (4)、他の方法と比較すると感度が低い。
  • 280 nm 付近に吸収をもつ物質 (核酸 など) が混入すると、定量が阻害される。

280 nm 法のプロトコール


核酸が混入した場合の補正

核酸 nucleic acid は 260 nm の光をもっともよく吸収するが、280 nm 付近にも吸収のピークがある (4)。A280/A260 < 1.5 のとき、核酸の混入が疑われる (4)。

この場合、以下の計算式で核酸の影響を補正し、タンパク質濃度を算出することができる (4)。


タンパク質濃度 (mg/mL) = 1.45 x A280 - 0.74 x A260


逆に、核酸の濃度や純度に興味があるときは、260/280 比 からタンパク質によるコンタミの程度を見積もることができる。


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References

  1. Amazon link: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition Cold Spring Harbor Laboratory Press.
  2. 分光倶楽部 基礎講座 タンパク質の定量. Link.
  3. 鈴木 2018a (Review). 総タンパク質の定量法. ぶんせき.
  4. LibreTexts Lab 8. Quantifying Protein Concentration. Link: Last access 2021/02/02.
  5. Peptide and Amino Acid Quantification Using UV Fluorescence in Synergy HT Multi-Mode Microplate Reader. Link: Last access 2021/02/02.

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