タンパク質濃度測定・WST 法:
原理、プロトコール、長所と短所など
experiments/protein/concentration_wst
2018/12/11 更新
- 概要: WST 法とは
- WST 法の長所と短所
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概要: WST 法とは
WST 法は、水溶性テトラゾリウム (water-soluble tetrazolium; WST) を利用したタンパク質濃度の測定法である。とくに WST-8 がよく使われる。
WST-8 は、タンパク質中の システイン、チロシン または トリプトファン によって還元され、青色を示すホルマザン体を形成する (2)。WST 法では、ホルマザン体の極大吸収波長 650 nm の吸光度を測定することでタンパク質濃度を算出する。
WST 法の長所と短所
WST 法には、以下のような特徴がある (2)。
長所
- 定量範囲は 50 – 5000 µg/mL であり (2)、他の方法と比較すると高濃度側で検出力が高い。つまりタンパク質濃度が濃くても希釈せずに測定できるということで、その意味で簡便である。
- タンパク質溶液と混合し、室温で 1 分間静置するだけで測定可能になる (2)。
- 界面活性剤の影響を受けにくい (2)。
短所
- テトラゾリウム塩の還元が測定原理であるため、試料に
還元性の物質 がコンタミしていると影響が大きい。
なお、テトラゾリウム塩の還元・呈色反応は、他の実験でも利用されている。たとえば細胞の生存率を測定する MTT assay では、細胞が還元酵素をもっていることを利用し、ホルマザン体の吸光度を生存率の指標としている。
MTT はテトラゾリウム塩の名前であり、この名前を冠した MTT assay が有名であるが、MTT のほかに XTT, MTS および上で述べた WST が使われることもある。
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References
- Amazon link: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition Cold Spring Harbor Laboratory Press.
鈴木 2018a (Review). 総タンパク質の定量法. ぶんせき.