A260/280 比の意味: DNA 純度の指標

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9-6-2017 updated


  1. 概要: A260/280 比とは
    • 吸収スペクトルの測定
    • DNA の変性と 260 nm 吸光度

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概要: A260/280 比とは

A260/280 比とは,260 nm 吸光度および 280 nm 吸光度の比であり,一般に 核酸 nucleic acid の純度の指標 として使われる値である (2)。A260/A280 のように書かれる場合もある。

波長 260 nm の光は核酸に,280 nm の光はタンパク質 protein によく吸収される (2)。したがって,その比である A260/280 の値が大きいほど溶液中にタンパク質がコンタミしていない含まれていないこと,つまり純度の高い核酸溶液であることを示す。

一般に,DNA なら 1.8,RNA なら 2.0 で "pure" な核酸溶液であるとされている (2)。PCR に用いる場合は,A260/A280 比は 1.5 から 2.0 の間であることが推奨されている (7)。


吸収スペクトルの測定

吸光度を測定する機械によるが,単に 260 nm と 280 nm の 2 点で吸光度を測定するよりも,下の図 (Ref 4) のように波長を変えながら連続的に吸光度を測定する方が望ましい。このような複数の波長に対する吸光度のプロットを 吸収スペクトル という。


その理由は,吸収スペクトルを見れば,単に A260/A280 比を見るよりも溶液の状態がよくわかるためである。

DNA が含まれている溶液では,図のように 260 nm にピークが現れる。それよりも低波長側では,通常 230 nm 吸光度が 260 nm 吸光度よりも低くなる (5)。A260/A280 比が低かった場合に,核酸がそもそも溶液中に少ないのか,核酸はあるがタンパク質のコンタミが多いのかを全体のピークの形から判断することができる。

核酸の抽出にはフェノールが使われることがある (→ DNA 抽出)。フェノールは 230 nm 付近に吸収があり,A260/A230 比 はフェノールなどのコンタミネーションの指標になる。


DNA の変性と 260 nm 吸光度

ちなみに,この 260 nm の吸光はリボース,塩基およびリン酸基から成る核酸の塩基によるものであり,変性状態の方が吸光度が高くなる (6)。つまり,DNA の変性の程度を調べるためにも 260 nm 吸光度を使うことができる。

かつては核酸溶液を希釈して測定していたが,現在では µl 単位の溶液で測れるナノドロップ Nanodrop が便利である (3)。類似の微量測定装置は,複数のメーカーから販売されている。


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References

  1. 田村 (2014). 改訂版 バイオ試薬調製ポケットマニュアル.


  1. GE Healthcare website. 生化夜話 第52回:核酸の純度を示すA260/A280、はじめて使ったのは誰? Link.
  2. By real name: Nadina Wiórkiewiczpl.wiki: Nadine90commons: Nadine90 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons.
  3. By Vossman - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=38479001.
  4. 分光倶楽部 マスターへの道. 第 2 回. GE Healthcare website. Link.
  5. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが,日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  6. Gryson 2010a. Effect of food processing on plant DNA degradation and PCR-based GMO analysis: a review. Anal Bioanal Chem 396, 2003–2022