PCR: 目次、原理およびトラブルシューティング

experiments/dna/pcr
2018/09/16 更新


  1. 概要: PCR の原理
  2. トラブルシューティング
    • PCR が増えない
    • 非特異的産物が多い

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PCR の原理と関連ページへの目次


トラブルシューティング

PCR が増えない

電気泳動 して期待通りに増幅産物が得られなかった場合、positive control を真面目に作っていれば、かなりの程度で問題点を特定できる。まず、問題点が試料の PCR であることを以下のようにして特定する。


  1. 電気泳動のマーカーは見えるか? 見えるなら電気泳動自体は OK。
  2. ポジティブコントロールは増えているか? 増えているなら酵素や PCR の機械は OK。試薬の入れ忘れもこれでチェックできる。
    • まれに PCR の特定の穴が正確な温度変化をしない場合がある。どの位置のサンプルが増えないかも記録しておこう。
  3. 1 と 2 が OK な場合、試料の PCR に問題があることになる。以下の表を参考に対処を考える。

プライマーダイマーが多量にある場合

Primer dimer は、最初の熱変性ステップが始まる前にプライマー同士がアニールし伸長することで生じる (1)。したがって、primer dimer が見える場合には primer とテンプレートの結合が十分でない可能性がある。以下のような対処法がある。

  • ホットスタートを行う ことでプライマーが適切に増幅に使われ、望んだ PCR 産物を得られる可能性がある。
  • Primer の濃度が高すぎる可能性がある。濃度を下げる。
  • アニーリング温度を下げる。

Nested PCR を行う

その遺伝子の cDNA 量または DNA 量が十分でない場合、nested PCR をすることで初めてちゃんとしたバンドが見えることがある。

PCR 産物を 100 倍程度に希釈し、それを鋳型として再度 PCR をする。同じプライマー対を使うよりも、それらの内側で設計された nested primers を使う方が特異性が上がるので、こちらを推奨。

AT-rich な配列

イントロン、ミトコンドリア DNA の control region など、遺伝子を含まない部分の配列は一般に AT 含量が高く、増幅しにくい。A と T の連続配列が近接していると、局所的に DNA がステム構造を取ってしまうことが理由の一つらしい。

Takara は PrimeSTAR GXL など特殊な酵素を使う PCR を推奨している (2)。

クラシックな方法だが、高次構造形成を防ぐためにスペルミジン (3) やベタインなどを PCR 溶液に加えるというオプションもあるようだ。

このサイト には「PCR を低温でやるとよいことがある」と書いてあり、BigDye の反応系、つまりアニーリング 50°C、伸長 60°C という条件を魚類 mtDNA control region の増幅で推奨している。


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References

  1. Roche マニュアル. PCR の一般的なガイドライン. Pdf file.
  2. 快適なPCRのために. Link: Last access 2018/09/16.
  3. Wan and Wilkins, 1993a. Spermidine facilitates PCR amplification of target DNA. PCR Methods Appl, 3, 208-210.