ペントースリン酸経路: NADPH とリボースを作る経路

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このページの最終更新日: 2024/12/01

  1. 概要: ペントースリン酸経路とは

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概要: ペントースリン酸経路とは

ペントースリン酸経路とは、解糖系 の中間体 G6P から分岐し、同じく解糖系の中間体 GAP に至る経路である。ペントースリン酸経路の生化学的に重要な点は以下の通り (1,3)。

  • グルコースの代謝経路であるが、ATP は作らない。
  • 解糖系と同様、細胞質に存在する経路である。
  • 核酸 の原料となるリボース ribose を含む C5糖 (ペントース) を産生する。

代謝マップは以下である (Public domain)。

ペントースリン酸経路

反応 3 までで、目的として挙げた NADPH およびペントースの産生は完了する。ここまでで G6P 1 分子あたり 2 分子の NADPH と 1 分子のペントース が得られている。しかし、通常の細胞はこの比よりももっと多くの NADPH を必要とする (2)。逆に言えば C5 はこんなにいらない。

そこで、残りの反応で C5 を C3 および C6 に戻す という作業が行われる (1)。この過程は、C6 から C5 を作り出す Calvin cycle (光合成) の完全な逆反応である。


# 反応 酵素
1

酸化

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ
Glucose-6-phosphate dehydrogenase, G6PD
。本経路の律速酵素である。

G6PD には Mediterranean および Afro-Caribbean 由来の保存された変異がある。G6PD 欠乏は、酸化ストレス下での溶血をもたらす (3)。つまり、ペントースリン酸回路の第一の意義は 赤血球における酸化ストレス応答 であると考えられる。

グルタチオン の還元に NADPH が使われることがメカニズムと考えられる。詳細は このリンク から NADPH のページを参照のこと。

2 加水分解 6-ホスホグルコノラクトナーゼ
3 脱炭酸 ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ
4 異性化 リボース-5-リン酸イソメラーゼ
5 エピマー化 リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ
6 開裂 トランスケトラーゼ
7 トランスアルドラーゼ
8 トランスケトラーゼ


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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  2. ページ編集に伴い削除
  3. 訳: 清水 2015a. イラストレイテッド ハーパー生化学.

ストライヤー生化学に比べるとかなり生物学的な教科書で、個人的にはこちらの方がわかりやすい。タンパク質の構造やエネルギー論などに深入りすることなく、タンパク質、糖、脂質などの代謝の概要を知りたいという人向け。化学ではなく医学、といってもいいかもしれない。

初版から 75 年という歴史をもち、常に改訂が加えられている。新しい版になるほど臨床に関連した記述が増え、また章末の問題が充実してきている。



  1. グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症. Link: Last access 2019/02/20.
  2. Luzzatto et al. 2016a. Glucose-6-phosphate dehydrogenase deficiency. Hematol Oncol Clin N Am 30, 373–393.

このページには、以下のコメントを頂いていました。ありがとうございました。

2018/06/09 02:06 変異と赤血球qの表現型から本回路の機能が明らかになった過程がとても興味深いです。


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