カルビン回路
UBC/aa_carbo_lipid/carbohydrate/calvin_cycle
このページの最終更新日: 2025/01/29- 概要: カルビン回路とは
- 各段階の反応
- 二酸化炭素の固定
- Fructose-1,6-biphosphate の生成
- Ribulose-1,5-biphosphate の再生
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概要: カルビン回路とは
カルビン回路 (Calvin pathway または Calvin-Benton pathway) とは、二酸化炭素 と 水 からグルコース glucose を合成する反応であり、光合成の dark reaction である (1)。
この経路の名前にもなっている Melvin Calvin は、1961 年のノーベル化学賞を受賞している (参考: ノーベル医学生理学賞 1990 - 1960 )。
以下の 3 つのステップから成る。光合成の概要は、葉緑体の概要 のページにまとめている。
- Ribulose 1,5-biphosphase を使って二酸化炭素を固定し、二分子の 3-phosphoglycerate を作る。
- 3-phosphoglycerate を還元し hexose sugar を作る。
- Ribulose 1,5-biphosphase を再生する。
この反応は、葉緑体のストローマ stroma 内で進行する (1)。
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各段階の反応
各段階では、簡略化のため 1 分子の CO2 の同化を示している。
1. 二酸化炭素の固定
Ribulose-1,5-biphosphate と二酸化炭素の反応は、酵素
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この反応では、無視できない量の O2 が CO2 のかわりに反応してしまうという side reaction がある (1)。そのため、植物細胞は side reaction で生じた phosphoglycolate を回収する経路をもっている。
> Rubisco の活性は、原則として環境条件によって制御されている (1)。
- 光によって、活性に必要な carbamate が合成されるので活性化する。
- 光によって stroma 内の pH が上昇、Mg2+ 濃度も上昇。これらはいずれも rubisco を活性化。
2. Fructose-1,6-biphosphate の生成
ここで重要なのは、以下の 3 点である (1)。
- 3-phosphoglycerate は、解糖系のステップ 6 および 7 で登場する中間体である。
- この反応を触媒する酵素は、解糖系でも糖新生でもホスホグリセリン酸キナーゼ PGK である。
- 葉緑体でも同じ PGK がこの反応を触媒するが、葉緑体に存在する酵素は NADH を使う解糖系・糖新生酵素と異なり NADPH を使う。
ここではまず、以下の反応が右辺から左辺へと進む。ATP を消費する反応であり、解糖系の 7 番目の反応と同じである。
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次に、1,3-BPG から GAP を作り出す。NADH でなく NADPH が使われ、NADP+ が生じる。
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解糖系の 4 番目の反応。GAP と DHAP の異性化は省略する。解糖系のページの反応 5 を参照のこと。ここで、2 分子の C3 が会合し、C6 の糖を生み出す。
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Ribulose-1,5-biphosphate の再生
最後のステップはリブロース-1,5-二リン酸の再生である。ここは意外に複雑なステップであり、下の図 (3) に全体像が書かれている。反応は一つ一つ書かないが、ポイントは
- 3 つの CO2 が 1 セットである。そのうち、これまでに述べた経路で Fructose 1,6-biphosphate を作るのは一部だけ。
- 残りの炭素は、図のように ribulose-1,5-bisphosphate の再生に使われる。
そのうち、それぞれの反応の詳細も更新するかもしれない。
全体をまとめると、
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その他、ケルビン回路に関する Public domain の図をみつけたので、とりあえずここに載せておく。
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References
- Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
- Boundless vets and curates high-quality, openly licensed content from around the Internet. This particular resource used the following sources: "OpenStax College, Using Light Energy to Make Organic Molecules. October 16, 2013." OpenStax CNX CC BY 3.0. Link.
- Gerhild van Echten-Deckert. Metabolic pathways. pdf file.
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