カルビン回路

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: カルビン回路とは
  2. 各段階の反応
    • 二酸化炭素の固定
    • Fructose-1,6-biphosphate の生成
    • Ribulose-1,5-biphosphate の再生

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概要: カルビン回路とは

カルビン回路 (Calvin pathway または Calvin-Benton pathway) とは、二酸化炭素 からグルコース glucose を合成する反応であり、光合成の dark reaction である (1)。

以下の 3 つのステップから成る。光合成の概要は、葉緑体の概要 のページにまとめている。

  1. Ribulose 1,5-biphosphase を使って二酸化炭素を固定し、二分子の 3-phosphoglycerate を作る。
  2. 3-phosphoglycerate を還元し hexose sugar を作る。
  3. Ribulose 1,5-biphosphase を再生する。

この反応は、葉緑体のストローマ stroma 内で進行する (1)。


ケルビン回路

各段階の反応

各段階では、簡略化のため 1 分子の CO2 の同化を示している。


1. 二酸化炭素の固定

Ribulose-1,5-biphosphate と二酸化炭素の反応は、酵素 ribulose-1,5-biphosphate carboxylase/oxygenase によって触媒される (1)。通常、この酵素は rubisco と呼ばれる。この酵素は葉緑体の thylakoid 膜に局在する。ここがいきなり 律速段階 である。

ケルビン回路 反応1

この反応では、無視できない量の O2 が CO2 のかわりに反応してしまうという side reaction がある (1)。そのため、植物細胞は side reaction で生じた phosphoglycolate を回収する経路をもっている。

> Rubisco の活性は、原則として環境条件によって制御されている (1)。

  • 光によって、活性に必要な carbamate が合成されるので活性化する。
  • 光によって stroma 内の pH が上昇、Mg2+ 濃度も上昇。これらはいずれも rubisco を活性化。

2. Fructose-1,6-biphosphate の生成

ここで重要なのは、以下の 3 点である (1)。

  • 3-phosphoglycerate は、解糖系のステップ 6 および 7 で登場する中間体である。
  • この反応を触媒する酵素は、解糖系でも糖新生でもホスホグリセリン酸キナーゼ PGK である。
  • 葉緑体でも同じ PGK がこの反応を触媒するが、葉緑体に存在する酵素は NADH を使う解糖系・糖新生酵素と異なり NADPH を使う。

ここではまず、以下の反応が右辺から左辺へと進む。ATP を消費する反応であり、解糖系の 7 番目の反応と同じである。


次に、1,3-BPG から GAP を作り出す。NADH でなく NADPH が使われ、NADP+ が生じる。

解糖系の 4 番目の反応。GAP と DHAP の異性化は省略する。解糖系のページの反応 5 を参照のこと。ここで、2 分子の C3 が会合し、C6 の糖を生み出す。


Ribulose-1,5-biphosphate の再生

最後のステップはリブロース-1,5-二リン酸の再生である。ここは意外に複雑なステップであり、下の図 (3) に全体像が書かれている。反応は一つ一つ書かないが、ポイントは

  • 3 つの CO2 が 1 セットである。そのうち、これまでに述べた経路で Fructose 1,6-biphosphate を作るのは一部だけ。
  • 残りの炭素は、図のように ribulose-1,5-bisphosphate の再生に使われる。

そのうち、それぞれの反応の詳細も更新するかもしれない。

全体をまとめると、3 分子の ATP と 2 分子の NADPH が 1 分子の二酸化炭素の固定に必要 ということになる (1)。生じたグルコースは、最終的に starch および sucrose として蓄えられる。



その他、ケルビン回路に関する Public domain の図をみつけたので、とりあえずここに載せておく。

ケルビン回路 全体の反応 ケルビン回路 全体の反応 ケルビン回路 全体の反応 ケルビン回路 全体の反応

References

  1. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  2. Boundless vets and curates high-quality, openly licensed content from around the Internet. This particular resource used the following sources: "OpenStax College, Using Light Energy to Make Organic Molecules. October 16, 2013." OpenStax CNX CC BY 3.0. Link.
  3. Gerhild van Echten-Deckert. Metabolic pathways. pdf file.

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