DNA の構造:
二重らせん、A/B/Z フォームなど、
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このページの最終更新日: 2024/02/14- 概要: DNA の構造
- ライボース、デオキシライボースの構造および核酸の方向性
- 二重らせん構造
- A/B/Z フォーム
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概要: DNA の構造
DNA の構造を理解する上で重要なポイントは以下の通りである。核酸の概要 で述べるように、英語での発音は「リボース」ではなく「ライボース」なので、このサイトではカタカナでそのように表記する。
- RNA との比較、デオキシライボース vs. ライボース である。
- 5' および 3' という方向性がある。
- 二重らせん構造をとり、A と T、C と G がそれぞれ塩基対を形成する。
以下、それぞれについて詳しく見てみよう。
ライボース・デオキシライボースの構造
ライボース ribose およびデオキシライボース deoxyribose の構造は図 (4) の通りで、X の位置に OH が来るのが ribose、H が来るのが deoxyribose である。
RNA はライボースが、DNA にはデオキシライボースがペントースとして含まれる。
核酸の方向性
さらに DNA の構造 (5)。少し両者の関係がわかりにくいが、デオキシライボースの 5' と 3' の炭素がリン酸基を介して繋がっていることが見て取れるだろうか。
このことから、DNA 鎖には方向性があることがわかる。塩基配列を示す時は「5' 側から 3' 側へ」書くのがルールである。数字を含めずに CGAT のように書く場合も、5' - 3' 方向で数字が省略されていると考える。
リボ核酸 RNA では、2 位の炭素に水酸基 -OH が結合しているが、DNA は「デオキシ(酸素がないという意味)」なので、これが水素原子に置換されている。
しかし、2 位の炭素は鎖の形成には関与しないので、DNA と同様にヌクレオチドが長く連なることができるわけである。
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DNA の二重らせん構造
DNA の二重らせん構造 double helix structure は 1953 年に報告された。
これが生物学上の大発見とされているのは、この構造が半保存的複製 semiconservative replication という DNA の機能を見事に表現したものだったためである。
重要なポイントは
- 糖とリン酸基の部分が外側、塩基が内側。リン酸基が荷電しているので、水の中で安定である。
- A と T、G と C が水素結合 hydrogen bond を形成する
- 水素結合は、糖同士を繋いでいる共有結合 covalent bond よりも弱く、必要なとき (転写、複製など) に簡単に分離することができる
- 2 本の鎖は逆向き。5' to 3' と 3' to 5'。
細かい構造上の特徴は以下 (1)。
- それぞれの塩基は 3.4 オングストローム離れている。
- らせん構造は 34 オングストロームごとに繰り返している。つまり 10 塩基が 1 ユニットになっている。
- らせんの直径は 20 オングストロームである。
> DNA の構造は、以下の理由から
- 比較的反応性の高い塩基は、鎖の内側に水素結合した状態で格納されており、他の物質と反応しにくい。
- さらに、塩基対はリン酸および糖で外側から保護された形になっている。
> DNA の構造は、以下の理由から
- DNA 鎖は水中でランダムコイル構造をとっており、ピペッティングによる水流などで容易に切断される。とくに長い DNA は切断されやすい。
- 一般的なゲノム DNA では、150 kb 以上の鎖は通常の DNA 抽出 の過程で切断される可能性が高い。
DNA の量は細胞内で比較的一定であるのに対して、RNA の量は転写が活発かどうかによって大きく変動する。一般に、生物がよい栄養状態にあるときは RNA 量が増大する傾向にある。そのため、RNA : DNA 比は栄養状態もしくは成長率の指標として使われることがある (2)。
A/B/Z フォーム
図 (6) のように、DNA には 3 パターンの高次構造が存在する。左から A フォーム、B フォームおよび Z フォームである。ワトソン・クリックが構造を決定したのは B フォームである。A は脱水状態で縮んだ構造、Z は転写が活発な際の構造である。
また、テロメア領域では 3 重らせんの H-DNA という構造がみられる (7)。
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References
- Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
Grimm et al. 2015a. RNA/DNA ratio is an early responding, accurate performance parameter in growth experiments of noble crayfish Astacus astacus (L.). Aquac Res 46, 1937-1945.- Amazon link: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition.
- By Boumphreyfr - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
- By Madprime (talk · contribs) - Own work The source code of this SVG is valid.This vector image was created with Inkscape., CC BY-SA 3.0, Link
- By Mauroesguerroto - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
- Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 5, 6 版を使っています。
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