Mutation (変異): 次世代に引き継がれるような遺伝情報の変化

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: 変異 mutation とは
    • 細胞の種類による分類
    • DNA の変化の仕方による分類
    • 表現型への影響による分類

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概要: 変異 mutation とは

変異 mutation とは、次の世代または細胞に引き継がれるような遺伝情報の変化 のことである (1)。DNA 配列の変化と言ってもよい。

かつて mutation には「突然変異」という日本語があてられていたが、2017 年からは「変異」が望ましいと遺伝学会の規定が改訂されている (2)。

変異は以下のように分類されている。


細胞の種類による分類

体細胞の変異

体細胞 somatic cells は、配偶子を作らない細胞のことである。体細胞の DNA 配列が変化すると、それは 細胞分裂 後に娘細胞に引き継がれる。ただし、次の世代には引き継がれない。

がん の原因は体細胞の変異である。

生殖細胞の変異

生殖細胞は、ヒトの場合 精子 sperm または卵子 egg である。これらの細胞の DNA に変異が生じた場合、それらは次の世代に引き継がれる。


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DNA の変化の仕方による分類

塩基置換
Base substitution

ある塩基が他の塩基に変化する。

アデニン adenine およびグアニン guanine の プリン塩基 purine 同士、シトシンおよびチミンの ピリミジン塩基 pyrimidine 同士の置換を transition という (1)。

プリンがピリミジンに、またはピリミジンがプリンに置換されることを transversion という。

Insertion および deletion

塩基が挿入または欠失するような変化。

3 つの塩基が 1 つのアミノ酸をコードするため、3 塩基セット以外の挿入、欠失は フレームシフト の原因になる (参考: コドンのページ)。

リピート配列 の長さが変化するのも、挿入または欠失である。


表現型への影響による分類

Missense mutation

アミノ酸が変化するような変異。

Nonsense mutation

アミノ酸をコードしていたコドンが、終止コドンに変化するような変異。

Silent mutation

アミノ酸が変化しない変異。コドンが縮重していることによる。


アミノ酸が変化しても、それが生物の表現型に影響しない場合がある。このような変異は neutral mutation と呼ばれる (1)。Silent mutation と紛らわしいので注意する。

また、タンパク質の機能が損なわれるような変異を loss-of-function mutation、機能が増強されるような変異を gain-of-function mutation という (1)。個体が死に至るような変異は lethal mutation である。

特定の環境下でのみ個体に影響が出るような変異を、とくに conditional mutation という (1)。


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References

  1. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
  2. 日本遺伝学会 遺伝学用語改定のお知らせ. Word file: Last access 10/25/2017.

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