核酸研究の歴史: DNA が遺伝物質とわかるまで
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このページの最終更新日: 2024/02/14- グリフィスの実験
- Avery–MacLeod–McCarty の実験
- ハーシーとチェイスの実験
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グリフィスの実験 (Griffith experiment)
グリフィスの実験の概要は以下の通り (図; ref 1)。図には 4 つのパターンが書かれているので、左からパターン 1, 2, 3, 4 としよう。
- R 型菌は病原性がないので、マウス に注射しても死なない。
- S 型菌は病原性で、注射すると死ぬ。
- しかし、加熱によって S 型菌をあらかじめ殺しておくと、注射してもマウスは死ななくなる。
- ところが、R 型菌と加熱後の S 型菌を混ぜると、再びマウスが死ぬようになる。
生きているマウス (パターン 1 と 3) の血からはバクテリアは単離されなかった。しかし、死んだマウスの血 (パターン 2 と 4) からは、いずれも S 型菌が回収された。
この実験の結果は、R 型菌と加熱殺菌した S 型菌を混ぜることによって、
つまり、死亡した S 型菌の中に R 型菌の性質を変えることができる物質が含まれているということ。もっと言えば、バクテリアの形質は
たとえば、生物が死ぬと魂が抜けて、残るのはなんの機能もない体だけだという考えでは、この結果は説明できない。
- なお、R 型菌はマウスの免疫系によって殺されるので、いずれにせよ血から単離することはできない。実際に S 型と R 型の違いは多糖類の皮膜であり、S 型は皮膜をもっているので免疫系に破壊されず、病原性を示す。
- 図では簡略化して書いてあるが、R 型は IIR、S 型は IIIS、パターン 4 で死んだマウスの血液から単離された R 型は IIIS である。この事実から、R 型が単に突然変異を起こして病原性になった可能性が否定される。なぜならば、この場合 IIR からは IIS ができるので、IIS が単離されなければならないためである。
この実験で遺伝は物質ベースであることが示された。次の疑問は「その遺伝物質とは何か?」である。遺伝物質が DNA であることを示したのが、次の Avery–MacLeod–McCarty の実験である。
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Avery–MacLeod–McCarty の実験
実験デザインは、Griffith の実験のパターン 4 を発展させたものである。
加熱殺菌した S 型菌をホモジナイズし、DNA、RNA、またはタンパク質のいずれかを 酵素 で分解する。DNase 処理したもののみが病原性を示さなかったため、DNA が遺伝物質の本体であることが示された。
- 加熱殺菌した S 型菌を プロテアーゼ 処理し、マウスに注射。マウスは死亡。
- 加熱殺菌した S 型菌を RNase 処理し、マウスに注射。マウスは死亡。
- 加熱殺菌した S 型菌を DNase 処理し、マウスに注射。マウスは生存。
ハーシーとチェイスの実験 (Hershey–Chase experiment)
ハーシーとチェイスの実験は、DNA が遺伝物質であることを放射性トレーサーを使って Avery–MacLeod–McCarty の実験とは別の角度から証明したものである。
図 (ref 2) の左側をパターン 1、右側をパターン 2 とする。
- バクテリオファージの
タンパク質 を 35S で標識する。大腸菌に感染させたあとにチェックすると、35S は大腸菌の中に入っていなかった。 - バクテリオファージの
DNA を 32P で標識する。大腸菌に感染させたあとにチェックすると、32P は大腸菌の中に入っていた。
Genetics: A Conceptual Approach (Amazon link) では、このあとバクテリオファージが大腸菌を破壊して出てきたときに、32P がバクテリオファージに含まれていたことまでが述べられている。これは重要な点だと思う。
二重らせん構造の決定
多くの内容を含むトピックなので、いずれ独自のページを作る。
このページ にあるように、フランクリンも貢献したのに栄誉を受けなかったという程度の話ではなく、フランクリンのデータを盗み見していたという。フランクリンは、卵巣がんのためわずか37歳でこの世を去っている。
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References
- By Madprime, Purodha, ふわふわ - modification of Griffith_experiment.svg, CC 表示-継承 4.0, Link
- By Thomasione - Modified from German Wikipedia [1], GFDL, Link
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