制限酵素: 反応温度、時間などプロトコールを中心に

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このページの最終更新日: 2020/08/24

  1. 概要: 制限酵素とは
    • 認識配列の特徴
    • 活性発現機構
    • Star 活性
  2. 制限酵素反応のプロトコール (single digestion)
    • Takara、NEB 制限酵素緩衝液の選択と組成
    • 制限酵素量をどう決めるのか
    • 反応時間をどう決めるのか

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概要: 制限酵素とは

制限酵素 restriction enzyme, restriction endonuclease とは、2 本鎖 DNA 中の特定の認識配列 (recognition sites or recognition sequences) を認識し、切断する 酵素 である (2)。

制限酵素によって DNA が切断される場合、図 (Public domain) のような 2 つのパターンがある。EcoRI のように 5' および 3' 鎖に突出のある末端を 付着末端 (粘着末端 cohesive end, sticky end) といい、SmaI のように突出がないものを 平滑末端 (blunt end) という。




制限酵素 EcoRI による切断パターン



制限酵素 SmaI による切断パターン


制限酵素は様々な 原核生物 から発見され、本来の機能は外来の (ウイルス由来の) DNA を分解することである。制限酵素は、認識配列中の塩基がメチル化 methylation されているとその部位を切断しない ため、自身の DNA はメチル化によって防御されるようになっている (2)。つまり、分解される DNA は外来のものに限定 restricted されている。これが制限酵素という名前の由来である。


認識配列の特徴

ほとんどの認識配列は パリンドローム palindromic である (2)。これは、制限酵素のタンパク質としての構造に由来している。


活性発現機構

通常、Mg2+ などの 2 価イオンが活性発現に必要である (2)。水分子 water からプロトンを引き抜き、DNA のリンを求核攻撃させていると考えられるが、文献 2 には「理由はよくわかっていない」と書かれている。

一つ明らかなことは、制限酵素は認識配列以外の DNA にも結合する ということである (2)。結合しないと塩基配列を読めないだろうから、当然といえば当然である。その先、DNA が折れ曲がる kink して、酵素が Mg2+ と結合し、活性部位と切断部位が十分に近くなることで鎖の切断が起こる。このステップが配列に特異的である。なお、メチル基は酵素と切断部位を空間的にブロックして切断を防いでいる。


Star 活性

制限酵素は、基質となる DNA に対して大過剰量が存在する場合、特異性が低下して本来の認識配列とは一部異なる塩基配列を切断する場合がある。この現象を制限酵素の Star 活性 という。この Takara のページ に、Star 活性の認められている酵素の一覧など、詳細な情報がある。


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制限酵素反応のプロトコール

もちろん会社によってプロトコールは異なるので、 購入した製品のマニュアルを参照してほしい。ここでは、私がよく使っている Takara と NEB の製品を例に解説する。まずは、反応系に 1 種類の制限酵素のみを加える single digestion

プロトコールは単純で、基本的には DNA、酵素およびバッファーを混ぜるのみで、基本ルールは 2 つ。

  1. バッファーは全体量の 1/10。
  2. 酵素は全体量の 1/10 いかにする。Star 活性を抑えるため。

全量が 20 µL のときの反応系は、例えば次のようになる。


DNA 溶液 + 滅菌水

17 µL

バッファー (緩衝液)

2 µL

制限酵素

1 µL

合計

20 µL


Takara、NEB 制限酵素緩衝液の選択と組成

制限酵素は、緩衝液の種類によって活性が異なる。Takara では、基本的にキャップの色で合わせれば良いことになっている。下の写真 (Public domain) で、10 x H と書かれている緑のキャップのチューブが Takara の H バッファーである。つまり、緑色の蓋の制限酵素を使うときには、この 10 x H バッファーを使えば良い。

NEB のバッファーは、NEBuffer という名前がついており、さらに 1, 2, 3.. のように番号がつけられている。チューブに色はついていないので、カタログを参考に使うバッファーを決定する。

制限酵素とバッファーの対応表: TakaraNEB

組成も上記のリンク先に載っている。基本的には Tris, MgCl2, DTT, NaCl, KCl などで、特に変わった試薬は使われていない。



制限酵素量をどう決めるのか

更新予定。グリセロールが増えると Star 活性が出る恐れがある。


反応時間をどう決めるのか

制限酵素反応の時間は、酵素の量と消化する DNA の量から計算して決める。プロトコールには、しばしば「37℃、1 時間」などとのみ書かれているが、この原則を知っていれば、自分でプロトコールを改変することができるはずである。

たとえば、タカラの制限酵素活性の 1 U (ユニット) は、各酵素反応液 1 µl 中、原則として 37 ℃、1 時間に 1 µg の λ DNA を完全に分解する酵素量」と定義されている。制限酵素溶液は、通常 1 U/µl の濃度で提供されているので、消化したい DNA が 1 µg ならば、1 時間の反応で十分であると考えることができる。

ベクター構築後のインサートの確認など多少の切れ残りがあっても良い場合、ligation 前など切れ残りを極力減らしたい場合など、状況に応じて判断する。


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References

  1. 制限酵素の活性の定義、純度検定、保存、添付Bufferについて. Takara Website. Link.
  2. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  3. 分子生物学実験の基礎:制限酵素処理. Link: Last access 2020/08/20.

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