果物に含まれる反応性の高い単糖 フルクトース:
構造、代謝など

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このページの最終更新日: 2020/03/01

  1. 概要: フルクトースとは
  2. フルクトースの分解

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概要: フルクトースとは

フルクトース fructose は図のような構造 (Public domain) の単糖 monosaccharide である。他の糖と同様に直鎖状のフォームと環状のフォームがあり、図には両方が書かれている。

環状および直鎖状の構造が平衡状態で存在する。直鎖状フルクトースは、図からわかるようにアルデヒド基 -CHO ではなく、ケト基 -C-CO-C をもつ。つまりフルクトースはアルドース aldose ではなくケトース ketose に分類される (参考; 炭水化物の概要)。


果糖とも呼ばれる。組成式は C6H12O6 であり、グルコース の構造異性体である (4)。

図のように、フルクトースには 2 つの環状構造が存在する。糖において 5 つの炭素原子から成る環はフラノース franose、6 つの炭素原子から成る環はピラノース pyranose と呼ばれるため、フルクトースの場合はそれぞれ fructofranose および fructopyranose である (5)。

生体分子の glycation は体内の free sugar の濃度に応じて生じ、その頻度はフルクトース > ガラクトース > グルコースの順である (5)。


フルクトースの甘み

フルクトースは緑色の 植物、フルーツ、ハチミツなどに含まれ、スクロースよりも強い甘味をもつ (4)。

なお、フルクトースの甘味は β-D-fructofranose が最大であり、その割合が低温で高くなる。このためフルクトースは低温の方が甘味が強い。果物を冷やして食べると甘く感じるのはこのためである。


フルクトースの分解

フルクトースは原則として 解糖系 で代謝されるが、解糖系への合流の仕方が 肝臓とその他の組織で異なっている (2)。


肝臓でのフルクトース分解

肝臓では、まず fructokinase によってリン酸化されて F1P になり、これが glyceraldehyde および DHAP に開裂する。DHAP は解糖系の中間体であり、このままステップ 5 に合流する。Glyceraldehyde は triose kinase によって 3 位でリン酸化され、GAP として解糖系に入る (2)。

この経路は、解糖系の律速段階である PFK を飛ばしているため早く、フルクトースは肝臓で優先的に代謝されると言える。

別の見方では、フルクトースは PFK を bypass しているために 肥満 を誘発すると考えることもできる。エネルギーが豊富なときに PFK は阻害され、グルコースはグリコーゲン glycogen 合成に回されるが、フルクトースはそのまま解糖系を下って行くためである。最終的に生じるアセチル CoA は、脂肪酸合成 によって脂肪になる。

一方、PFK が阻害されている状況をもう少し深く考えてみる。このとき、もう一つの解糖系の律速酵素である PK も阻害されており、細胞では 糖新生 が起こっているケースが考えられる。このとき、解糖系に合流したフルクトースは糖新生経路に乗り、グリコーゲンとなるだろう。「フルクトースはグリコーゲンを replenish する」という表現があるが、これはこのような状況を想定している。

F1P が、F1,6BP を経て解糖系に合流する経路もあるようである (3,6I)。バクテリアでの文献が多いようで、fructose 1 phosphate kinase (EC 2.7.1.S6) に触媒される。ラットの PFK が F1P を F1,6BP にリン酸化するという報告もあるので、哺乳類 にもこの経路が存在する。ただし酵素が PFK であることから、上述の "PFK bypass" という考えは、この反応では適用されない。


肝臓以外でのフルクトース分解

肝臓以外の組織では、hexokinase が F6P にリン酸化する。F6P は解糖系の中間体であり、ステップ 3 から解糖系に合流する。しかし hexokinase との親和性はグルコースの方が高いため、この経路の効率は低い。


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References

  1. By Wickey-nl - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
  2. Amazon link: ハーパー生化学 30版.

ストライヤー生化学に比べるとかなり生物学的な教科書で、個人的にはこちらの方がわかりやすい。タンパク質の構造やエネルギー論などに深入りすることなく、タンパク質、糖、脂質などの代謝の概要を知りたいという人向け。化学ではなく医学、といってもいいかもしれない。

初版から 75 年という歴史をもつ教科書で、常に改訂が加えられている。新しい版になるほど臨床に関連した記述が増え、また章末の問題が充実してきている。


  1. 果糖の代謝. Link: Last access 2018/04/15.
  2. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  3. Ahern et al. 2017. Biochemistry Free For All.
  4. Sridhar et al. 1999a. Elucidation of enzymes in fermentation pathways used by Clostridium thermosuccinogenes growing on inulin. Appl Environ Microbiol 66, 246-251.

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