緩衝液 buffer について
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6-14-2017 updated
酸・塩基と pKa に関連するページは、次の順に読むことをお勧めします。
- 質量作用の法則と平衡定数
- ルシャトリエの原理
- 酸と塩基の定義
- 水のイオン積と pH
- 解離定数
- このページ: 緩衝液について
このページの目次
- 概要: 緩衝液 buffer とは
- pKa と緩衝能
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概要: 緩衝液 buffer とは
多くの生物では、細胞や血液の pH は弱アルカリ性 (7.3 前後) に保たれている。そのため、たとえば酵素の活性を測りたい場合などには、これに近い pH 条件下で実験を行う必要がある (生理的条件という)。さらに、いろいろな試薬を加えても pH があまり変化しないことが望ましい。このような実験の際に
緩衝液とは、弱酸とその共役塩基との混合溶液で、
このサイトには、以下のような buffer のページがある。
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実例
酢酸溶液を例にすると、pH が変わりにくい理由は以下のように説明される。酢酸 CH3COOH は、溶液中では CH3COO- および H+ に電離している。これを式で表すと
この反応の平衡定数 Ka は、

であり、この式を変形して 対数 をとると

となる。なお、ここで対数をとっているのは、pKa が 0.000001 などと非常に小さい値になるためである。
したがって、
この式は Henderson-Hasselbalch equation として知られている。緩衝能に関係する別の表現を下に挙げておく。
- 緩衝液に酸を加えると、H+ は CH3COO- と反応して酢酸 CH3COOH を作る。そのため H+ 濃度である pH が変化しにくい。水に同じ量の酸を加えた場合、H+ は直接 pH を下げることになる。
- 溶液に塩基を加えると、OH- は H+ と結合して水分子を形成し、そのため pH は下がる。しかし緩衝液の場合、平衡定数 equilibrium constant を一定にするために減った分の H+ が酢酸から供給されるため、pH は下がりにくい。
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pKa と緩衝能
pH を一定に保とうとする作用を
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References
- LC Technical Report 緩衝液について. Web pdf.