酸・塩基の定義
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このページの最終更新日: 2024/05/16- 酸・塩基の定義
- アレニウスの定義
- ブレンステッド・ローリーの定義
- ルイスの定義
- 強酸・強塩基の定義
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酸・塩基の定義
酸・塩基についての項目は、以下の 5 つのページにまとまっている。体系的に学びたい人は、以下の順に読むことをお勧めする。
- 質量作用の法則と平衡定数
- ルシャトリエの原理
- 酸・塩基の定義 (このページ)
- 水のイオン積と pH
- 解離定数
- 緩衝液 buffer について
このページでは、プロトン H+ を多く取り扱う。水 H2O が存在するとき、H+ は単独では存在できず、常に水分子と結合した
アレニウスの定義
水溶液中で水素イオン H+ を放出するものが酸、ヒドロキシイオン OH- を放出するものが塩基である (2)。
1884 年に提唱されたアレニウス Arrhenius の定義は、最もシンプルな定義であり、
- HCl ⇌ H+ + Cl-
- CH3COOH ⇌ H+ + CH3COO-
などが酸となる。塩基の代表的なものは
- NaOH ⇌ Na+ + OH-
- NH3 + H2O ⇌ NH4+ + OH-
である。アンモニア NH3 はそれ自身が OH- をもっているわけではないが、水と反応して OH- を放出するので塩基に分類される。
この
このサイトでは、私が持っている 1987 年の第 4 版を引用していることが多い。1998 年に第 5 版が発行されている。 ネット情報の問題点の一つは、信頼できる定義になかなか出会えないことである。Wikipedia には定義らしいことが書いてあり、普段の調べ物には十分なことも多いが、正式な資料を作るときにはその引用は避けたいものである。 そんなときに役に立つのが理化学辞典や生化学辞典。中古でも古い版でもよいので、とにかく 1 冊持っておくと仕事がはかどる。 |
ブレンステッド・ローリーの定義
アレニウスの定義を拡張し、水溶液中でなくても酸・塩基の概念が成り立つようにしたのがブレンステッド・ローリー (Brønsted & Lowry) の定義である。1923 年に提唱された。
水素イオン H+ を放出するものが酸、受け取るものが塩基である。
この定義では、新たに
- HCl ⇌ H+ + Cl-
- HCl + NH3 ⇌ NH4+ + Cl-
1 の反応では、HCl は明らかに酸である。しかしこの反応は平衡反応であるため、実際は右辺と左辺が行ったり来たりしている。よって、左向きの反応では Cl- が水素イオンを受け取って HCl になっていると考えて良い。このような場合、Cl- を HCl の共役塩基という。
このページのはじめに述べたように、1 の式は実際には
- HCl + H2O ⇌ H3O+ + Cl-
であるので、右向き反応では水素イオンを受け取っている H2O が塩基である。左向き反応を考えると、H3O+ が水素イオンを放出しているので、H3O+ が H2O の共役酸ということになる。
2 の反応では、Cl- が HCl の共役塩基、NH4+ が NH3 の共役酸である。
ルイスの定義
ルイスの定義では 電子対を放出するものが酸、受け取るものが塩基である。
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強酸・強塩基の定義
上記のように酸・塩基には複数の定義があるので、強酸・強塩基の定義もまた複数である (2)。
強酸 | 強塩基 | |
---|---|---|
アレニウス | 水溶液中で電離度が高いものほど、H+ をたくさん放出することになる。電離度が高い酸を強酸という。 |
電離度が高く、OH- を多く放出する塩基が強塩基である。 |
ブレンステッド・ローリー | アレニウス定義と同じである。 岩波 理化学辞典 第5版 (Amazon) には、
などが強酸である。 |
H+ を
などが例として挙げられている (2)。 一般に、陽イオンのイオン半径が大きく、電化数が小さい水酸化物は塩基性が強い。 |
ルイス | 電子対を受容する力の大きい多価陽イオンである (2)。三フッ化ホウ素など。 |
ルイス塩基性の強いのは弱酸の共役塩基である (2)。
|
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References
- 清水 (訳) 2015a. イラストレイテッド ハーパー・生化学 30版 (Amazon link).
- 岩波 理化学辞典 第5版 (Amazon link): 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
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