緩衝液 buffer について:
原理、選び方、性質、作り方など

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このページの最終更新日: 2020/02/14


酸・塩基と pKa に関連するページは、次の順に読むことをお勧めします。

  1. 質量作用の法則と平衡定数
  2. ルシャトリエの原理
  3. 酸と塩基の定義
  4. 水のイオン積と pH
  5. 解離定数
  6. このページ: 緩衝液について

このページの目次

  1. 概要: 緩衝液 buffer とは
    • 緩衝液が pH を一定に保つ原理
  2. 緩衝液を選ぶ際に考慮すべきこと
    • pKa と緩衝能

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概要: 緩衝液 buffer とは

多くの生物では、細胞や血液の pH は弱アルカリ性 (7.3 前後) に保たれている。そのため、たとえば 酵素 の活性を測りたい、タンパク質 を活性を保ったまま抽出したい、など、生理的な条件を守りたい場合には、これに近い pH 条件下で実験を行う必要がある (生理的条件という)。さらに、いろいろな試薬を加えても pH があまり変化しないことが望ましい。

このような実験の際に 緩衝液 buffer が使われる。

緩衝液とは、弱酸とその共役塩基との混合溶液で、酸や塩基を加えても pH があまり変化しないような性質をもつもののことをいう (1)。ただし、実際に弱酸とその共役塩基が水溶液中に存在していれば緩衝能は発揮される。緩衝液を作るときに、実際に酸と塩基を混ぜなければいけないわけではなく、例えばリン酸カリウム緩衝液は塩を溶かすだけで作ることができる。

このサイトには、たとえば以下のような buffer のページがある。完全なリストは 試薬の目次 のページを参照のこと。



「緩衝液 その原理と選び方・作り方」という非常に特化した本がある。値段は高いが、大学レベルで生化学をやるなら、研究室に置いておいた方が良い本と言えるだろう。



緩衝液が pH を一定に保つ原理

酢酸溶液を例にすると、pH が変わりにくい理由は以下のように説明される。酢酸 CH3COOH は、溶液中では CH3COO- および H+ に電離している。これを式で表すと

CH3COOH ⇌ CH3COO- + H+

この反応の平衡定数 Ka は、

Ka


であり、この式を変形して 対数 をとると

pH

となる。なお、ここで対数をとっているのは、pKa が 0.000001 などと非常に小さい値になるためである。

したがって、酢酸と酢酸イオンの量比が 10 倍変わったときに pH が 1 変化する。つまり、酢酸と酢酸イオンが平衡状態を保っているため、酸や塩基を加えても pH が変化しにくい状態になっている。これが緩衝液である。

この式は Henderson-Hasselbalch equation として知られている。緩衝能に関係する別の表現を下に挙げておく。

  • 緩衝液に酸を加えると、H+ は CH3COO- と反応して酢酸 CH3COOH を作る。そのため H+ 濃度である pH が変化しにくい。水に同じ量の酸を加えた場合、ほとんどの H+ は直接 pH の低下に寄与することになる。
  • 溶液に塩基を加えると、OH- は H+ と結合して水分子を形成し、そのため pH は下がる。しかし緩衝液の場合、平衡定数が一定になるように 減った分の H+ が酢酸から供給されるため、pH は下がりにくい。

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緩衝液を選ぶ際に考慮すべきこと

pKa と緩衝能

緩衝液の基本的な役割は、pH を一定に保つことである。どの pH にセットしたいかによって、使う緩衝液の種類を変えなければならない。

pH を一定に保とうとする作用を緩衝作用、その作用を表す尺度を緩衝能といい、緩衝能は緩衝作用を発揮する化合物の pKa が溶液の pH と等しい時に最大となる

以下の図を見てみよう。小さい場合はクリックで大きくなるはず。


その他の注意事項を簡単にまとめておく (2)。いずれアップデートする。

  • 最終的に吸収スペクトルを調べる場合、緩衝液に余分な吸収がないこと。
  • 実験中の pH の変化が最小であること。基本的には上記の緩衝能に近いが、例えば反応によって pH が変化するような系では、その変化まで考慮に入れる必要がある。
  • クエン酸バッファーはカルシウムイオンをキレートするので、カルシウムを使う実験系には適さない。また、酸素に対するイオン強度の効果を測定するときには、金属イオンを含まない緩衝液を使う。このように、特定の実験系との相性があるので気をつける。

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References

  1. LC Technical Report 緩衝液について. Web pdf.
  2. バッファー調製時のチェック項目 (バッファーの基礎知識). Link: Last access 2020/01/17.

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2020-01-30 03:47:56.976034

わかりやすいです