植物とは: 定義、特徴、分類など

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このページの最終更新日: 2020/06/11

  1. 概要: 植物とは
    • 植物の起源
  2. 植物の起源と分類
    • 非維管束植物
    • 維管束植物
    • 単子葉植物と双子葉植物
  3. 植物の構造

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植物とは

植物 plants は、以下の 3 つの特徴をもつ分類群である (1)。この 3 つの特徴を併せ持つ生物は、植物のみである。

  1. 光合成 photosynthesis をする。ただしこれは植物のみの特徴ではなく、原核生物原生生物 でも光合成をする生物がいる。
  2. 親から栄養をもらう multicellular embryo をもつ。この特徴によって、植物は光合成をする原生生物 (通常は単細胞で、分裂によって増殖する) から区別される。
  3. Alternation of generations という生活様式をもつ (図; ref 2)。これは日本語にすると単に「世代交代」だが、植物特有のライフサイクルを指す科学用語でもある。とくに、胞子 spore から発生する配偶体 gametotype が動物には存在しないので、これを理解することが植物のライフサイクルを理解する上で鍵になる。


上記の 3 つの特徴に関係する専門用語をまとめておく。

世代交代
Alternation of generations

図に示すように、diploid (2n) の時期と haploid (1n) の時期を交互に繰り返すような生活様式のことをいう (1)。

Multicellular embryo

上の図で zygote が 有糸分裂 によって増殖したもののこと。

具体例としては、種子 seed を思い浮かべれば良いだろう。たまに混同されることがあるが、種子は精子・卵子ではなく、受精後の embryo と栄養部分から成る構造体である (4)。

胞子体
Sporophyte

2n の細胞から成る体のこと。Multicellular embryo も 2n である限りはこの一部とみなされる。

Sporophyte は 減数分裂 によって 1n の細胞を作り出す。これが 胞子 spore である。

配偶体
Gametophyte
[ɡəmitəfàɪt]

胞子は分裂し、配偶体を作る。精子および卵子は、配偶体で作られる 1n かつ単数の細胞から成る構造である。

コケ類などの配偶体は多細胞で、普通の「植物」のように見える。種子植物では 花粉 pollen [pɑlən] が配偶体である。一般に、進化的に新しい植物ほど配偶体は小さい傾向にある (1)。


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植物の起源と分類

植物は、系統的に 原生生物 の緑藻 green alga に近い (1)。ただし、PubMed Taxonomy では緑色植物 green plants は kindom Viridiplantae を構成することになっており、これには緑藻も含まれる。緑藻を原生生物とする文献 1 の分類とは少し異なっている。

以下は文献 1 に基づく分類である。植物は、まず大きく非維管束植物および維管束植物に分けられる。維管束植物は単系統群であるが、非維管束植物はそうではない。


非維管束植物
Nonvascular plants

コケ類
Liverworts

Liverwort の一種、Marchantia の写真。(5)

ツノゴケ類
Hornworts

ツノ状の形をした胞子体をもつ。

蘚類
Mosses

非維管束植物では、もっとも多様化した分類群である (1)。葉に costa という主脈状の細胞群がある。

維管束植物
Vascular plants

Club mosses

トクサ類 Horsetails

シダ類 Ferns

いずれもほとんどの時期を胞子体として過ごす。

裸子植物
Gymnosperms
[dʒimnəspɚːm]

種子植物のうち、胚珠がむき出しになっているものをいう。3 つの系統に分けられる (6)。

針葉樹 conifers: マツ、セコイアなど。一般に常緑樹。

ソテツ cycad: 常緑、低木の裸子植物 (写真. ref 8)。


イチョウ ginkou:

被子植物
Angiosperms

種子植物のうち、生殖器官である花 flower の特殊化が進んで、胚珠が心皮にくるまれて子房の中に収まったもの。

被子植物は、さらに 単子葉植物 monocots と 双子葉植物 eudicots に分類できる。


系統樹は高校レベルのものしか見つからなかったので、とりあえずそれを載せておく (3)。いずれ更新したい。

図のコケ植物 bryophyte は陸上のコケ類・ツノゴケ類・蘚類を含む分類群である。単系統ではないため、科学的な分類群としては認められていない。

図のシダ植物には Club mosses、トクサ類、シダ類が含まれる。


非維管束植物

非維管束植物 は、以下のような共通した特徴をもっている (1)。

  • 多くの時期を配偶体として過ごす。
  • 根 root、葉 leaf、茎 stem などをもたない。リグニンや効率的な水輸送システムがないため、体は一般に小さい。
  • 配偶子 gamete (精子および卵子) は水で拡散する。

配偶子は 造卵器 archegonia または 造精器 antheridia という構造の中で作られる。雌雄同体の植物はこれらを両方もっている。

受精卵は造卵器の中で分裂し、親の体についたまま多細胞化する。成熟すると 1n の胞子を作り出し、これが放出されてオスとメスの配偶体を作る。

動物の生植のイメージが残っていると理解が難しいが、精子と卵子を作るのはそれぞれオスとメスの配偶体 (1n) であり、2n の胞子体ではないのが理解のポイントだろう。


維管束植物

維管束植物は、以下のような特徴をもっている。

  • 水や栄養素を運ぶ conducting cells をもっている。
  • 2n の胞子体 sporophyte が dominant である。
  • 種子 seed を作る植物と作らない植物にさらに分類される。

種子を作らない植物では、精子 sperm が水の中を泳いで卵子に辿り着く。したがって繁殖には が必要である。

種子植物は、花粉 pollen および 種子 seed をもつ。花粉は精子ではなく 1n の配偶体であり、花粉の中に精子産生細胞が含まれている。これによって、繁殖に水が必要なくなったわけである。

種子は 3 つの重要な要素から成る。小さな胞子体、栄養素、および種子を環境から守る外殻である。


単子葉植物と双子葉植物

単子葉植物 monocots と双子葉植物 eudicots は、体の構成要素は基本的に同じであるが、数や配置が異なっている (6)。

単子葉

双子葉

子葉 cotyledon

1 枚

2 枚

維管束

散在する

環状に配置

茎の周囲に sheath があり、巻き付くようにして茎に繋がる

葉柄 petiole で茎に繋がる

多くはひげ根 fibrous root system

主根と側根のある taproot system


植物の構造

植物の組織は、大きく 3 つに分類される (6)。

  1. Ground tissue: 植物の体の大部分を構成する。
  2. Vascular tissue: 水や養分を輸送する。
  3. Dermal tissue: 体の表面を覆い、植物を保護する。

また、これとは別に大きく根 root とそれ以外の部分 shoot に分けることができる。

以下の表に、植物の構造に関係したキーワードをまとめた。

維管束
Vascular bundle

植物の体を貫く管状の構造で、茎や葉の内部に存在する。水、養分の運搬と体の維持が主要な機能である。木部 xylem と師部 pholem に分類される。

写真はセロリの断面図。維管束が点々と見える。

木 (質) 部
Xylem
[zailəm]

師部 (pholem) と共に維管束を構成する構造で、水などを運ぶ導管 vessel や木部柔組織 xylem parenchyma などから成っている。

植物の体を支える硬いポリマー、リグニン Lignin が主成分である。主に死んだ細胞から成る。

師部
Phllem
[flouem]

木部は主に死んだ細胞から構成されるが、師部は樹液を輸送する生細胞からなる。Xylem が水や無機物を輸送するのに対し、phloem は光合成によって作られた有機物を輸送する (6)。

柔組織
Parenchyma

Parenchyma という単語は他の分野では違う意味をもつようだが、植物では葉、根、果実などの大部分を構成する軟らかい組織のことをいう。柔組織は、薄い細胞壁をもつ柔細胞 parenchyma cells から構成される。

次の collenchyma および sclenthyma とともに、一種類の細胞だけで単純な組織を構成することが多い (6)。これに対して、上記の ground tissue, vascular tissue, dermal tissue は複数の種類の細胞が含まれる複雑な組織である。

厚角組織
collenchyma

厚角細胞 collenchyma cell からなる。この細胞は柔細胞よりも厚い細胞壁をもつが、リグニンによる二次細胞壁をもたない生きた細胞である。若い茎、葉柄の表皮細胞の下などに見られる。

厚壁組織
sclerenchyma

厚壁細胞 sclerenchyma cell からなる。リグニンによる厚い二次壁をもつ細胞。茎の周辺部や葉脈に沿って分布し、体の構造を維持する機能をもつことが多い。

クチクラ Cuticle

植物の体を覆う層。

気孔
Stoma (単), stomata (複)

主に葉の裏側にある呼吸のための穴 (1)。乾燥を防ぐために閉じることができる。

By Ali Zifan - Own work; Used information from:Campbell Biology (10th Edition) by: Jane B. Reece & Steven A. Wasserman.and [1]., CC BY-SA 4.0, Link

子葉
Cotyledon

種子植物のみでみられる構造で、種子の中の胚で発生する最初の葉のこと。単子葉植物には 1 枚、双子葉植物には 2 枚存在する。成体の葉とは異なる形をもつことが多い。

根粒
Root nodules

根にみられる膨らんだ部分で、窒素固定菌が共生している。

分裂組織
Meristem

植物の先端にある未分化な細胞でできた組織。細胞分裂が活発。


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References

  1. Amazon link: Audesirk et al. 2013a. Biology: Life on Earth.
  2. By Alternation of generations.svg: Peter coxheadderivative work: Peter coxhead (talk) - This file was derived from  Alternation of generations.svg, Public Domain, Link
  3. By すじにくシチュー - 投稿者自身による作品, CC0, Link
  4. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  5. By F. Lamiot - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
  6. Amazon link: Starr et al. 2016a. Biology Today & Tomorrow.
  7. By fir0002flagstaffotos [at] gmail.comCanon 20D + Tamron 28-75mm f/2.8 - Own work, GFDL 1.2, Link
  8. By Vinayaraj - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

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