減数分裂 Meiosis: 染色体数が半分になる細胞分裂

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2018/09/04 更新

  1. 概要: 減数分裂とは
    • もっともシンプルな図
    • 少し複雑な図と染色体分配

  2. 減数分裂の各段階
  3. 染色体の乗換え Crossing over

  4. 極体 Polar body について → 卵子形成 のページに記載

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概要: 減数分裂とは

減数分裂 meiosis [meiəusis] とは、染色体数が親細胞の半分である娘細胞 (配偶子 gametes) を 4 個作り出す核分裂 のことをいう (1)。

減数分裂は、有糸分裂 mitosis と比較することでより深く理解できるようになる。有糸分裂についての理解が曖昧な場合は、まずはリンク先を参照のこと。

減数分裂の重要なポイントは以下の通り。

  • 2 回の連続した分裂により、1n の細胞が 4 個できる。
  • 遺伝的多様性を生み出す細胞分裂である。メカニズムは 2 つ。
    • 母親・父親由来の 染色体 がランダムに分配される。
    • 分裂中に染色体の乗換えが起こる。

もっともシンプルな図

この図 (3) では、簡略化のために 1 対の相同染色体のみを書いており、減数分裂の一番簡単な表現方法と言える。なお、有糸分裂 mitosis も合わせて記載している。

  • グレーの染色体は母親由来
  • 白 + 斜線の染色体は父親由来

と考えて、下の図を見てみよう。


細胞はまず DNA を複製する。続けて細胞分裂が起こると (図の線の上側)、これは娘細胞の染色体数が変わらない有糸分裂である。

減数分裂では、その後染色体が組み換えを起こし、2 つの核に分配される。ちょっと注意しておきたいのは、この時点で一つの核は haploid になっている ことである。一つの核には染色体が 2 本入っているが、グレー x 2 および白 x 2 となっていて、遺伝情報としては片方の親の情報しかもっていない。

これは、1 回目の分裂が reduction division であるとして説明される。たとえば Oxford Dictionary of Biology (1) では "This is the actual reduction division because each of the two nuclei so formed contains only half of the original chromosomes." である。

引き続く分裂で、染色体が親細胞の半分である配偶子 gamate が形成される。

Genetics: A Conceptual Approach (Amazon link) では 1 回目の分裂を meiosis I (reduction division)、2 回目を meiosis II (equational division) と呼んでいる (4)。


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少し複雑な図と染色体分配

もう一つの図 (2) を使って、ランダムな染色体分配による多様性の導入について考えてみよう。

もとの細胞で、赤色が母親由来の染色体、灰色が父親由来の染色体とする。図にあるのは以下の 4 本で、父親 S と母親 S が相同染色体、父親 L と母親 L も相同染色体である。

  1. 短い灰色 - 父親 S
  2. 長い灰色 - 父親 L
  3. 短い赤色 - 母親 S
  4. 短い赤色 - 母親 L

一部赤と灰色が入れ替わっているが、これは乗換えによるものである (ページ下方参照)。ややこしくなるので、いずれ乗換えのない図に差し替えたい。

大元の細胞はもちろん diploid であり、染色体 S と L にそれぞれ母親および父親由来のものが存在する。DNA 複製のあとは、それぞれ 2 セットずつが存在し、ランダムな複製エラー以外は同じ情報を含むものが H の字のような形で繋がっている。

1 回目の細胞分裂によって、これらの染色体が 2 つの細胞に分配される。Daughter Nuclei の上の方には母親 L と父親 S が、下の方には父親 L と母親 S が分配されている。

ここでのポイントは Daughter nuclei への染色体分配はランダム ということだ。ここでは図のように書かれているが、上の Daughter Nuclei には母親 L と母親 S、下の Daughter Nuclei には父親 L と父親 S が分配される可能性もある。

したがって、2 回目の細胞分裂後の染色体構成を考えると、以下のようにパターン分けができる。

もとの細胞 (2n)

Daughter nuclei (n)

Daughter nuclei II (n)

この細胞は 2n なので、L と S を 2 個ずつ持っていなければならない。

長い染色体: 母親 L と父親 L

短い染色体: 母親 S と父親 S

パターン 1

  • 長い染色体は母親由来、短い染色体は父親由来
  • つまり母親 L + 父親 S

母親 L と父親 S、ただし 2 セット。

パターン 2

  • 母親 L + 母親 S
同左

パターン 3

  • 父親 L + 母親 S
同左

パターン 2

  • 父親 L + 父親 S
同左

Daughter nuclei II の染色体構成は、Daughter nuclei のそれによって一意的に定まる。

わずか 2 個の染色体分配を考えただけで、このように 22 = 4 通りの遺伝的パターンをもつ細胞が作られた。ヒトの染色体は 23 対であるため、223 通りのパターンが考えられることになる。


減数分裂の各段階

減数分裂は、大きく meiosis I と meiosis II に分かれている (4)。

Meiosis I Prophase I
  • さらに 5 つのステージに分かれる: leptotene, zygotene, pachutene, diplotene, diakinesis。
  • Leptotene では、染色体が収縮し顕微鏡で見えるようになる。
  • Zygotene では相同な染色体がペアを作る。相同染色体が非常に短い距離でペアを作ることを synapsis という。それぞれ 4 つの染色分体から成り、bivalent または tetrad と呼ばれる。
  • Pachutene では染色体がさらに短くなり、synaptonemal complex を形成する。
  • Prophase I の間に crossing over が行われる。遺伝情報の交換である。この結果、一つの chromosome の複製によって生じた sister chromatids は、もはや同一ではなくなる。
  • Prophase I の終盤には核膜が消失し、紡錘体が形成される。
Metaphase I
  • Metaphase では、相同な染色体が metaphase plane 上に一列に配列する。
Anaphase I
  • Anaphase では 相同な染色体が両極へ分離する。このとき、染色分体はまだ結合したままである。
  • このとき、染色体がどちらの細胞に分配されるかはランダムである。ヒトの染色体は 23 本あるので、223 のパターンができることになる。Crossing over とともに、減数分裂が多様性を生み出すメカニズムの一つである。
  • 有糸分裂 mitosis では、染色分体が分離して両極へ移動することに注意。
Telophase I
  • 染色体が両極へ到着し、細胞分裂が起こる。
Interkinesis
  • Meiosis I と II の間の時期。核膜が形成され、染色体は見えなくなる。紡錘体も分解される。
  • 細胞によってはこれらが起こらず、meiosis II へそのまま続く場合もある。
Meiosis II Prophase II
  • 染色体の凝縮、核膜消失、紡錘体形成。Interkinesis での反応の逆。
Metaphase II
  • 有糸分裂 mitosis の metaphase と近い。染色体が中心に配列し、sister chromosome が両極へ分離する ための準備をする。
Anaphase II
  • Sister chromosome が両極へ分離する。
Telophase II
  • 染色体が両極へ到着し、細胞分裂が起こる。核膜形成、染色体は見えなくなる。

染色体の乗換え Crossing over

染色体の乗換え crossing over とは、減数分裂の途中、相同染色体 homologous chromosome 同士で起こる遺伝情報の部分的な交換のことをいう。重要なポイントは以下の通り。

  • 減数分裂の最初 prophase I で起こる。
  • 相同染色体 homologous chromosome 同士で遺伝情報を交換するイベント。つまり、母親由来の遺伝情報と、父親由来の遺伝情報がミックスされる。
  • のちの phase で起こる染色体の整列・分離に 必須 である (4)。
  • 乗換えの結果として、遺伝子の組み合わせが変化する。これを遺伝的組み替えという。乗換えと組み替えを混同しないように注意。

乗換えが起こると、実際の遺伝子交換が終わっても、染色体はしばらく X 字状に交差したままになる。この交差部分を キアズマ chiasma [kʌiæzma] という。


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References

  1. Hine (2015). A Dictionary of Biology.

  1. By Rdbickel - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49599354
  2. By Electric goat - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=87115
  3. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。