フェノール性高分子化合物・リグニン: 構造と特徴
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このページの最終更新日: 2024/02/14広告
概要: リグニンとは
リグニン lignin とは、木材中にセルロースに伴って 20 - 30% 存在する、高分子のヒドロキシフェニルプロパンを基本単位とする重合化合物である (1)。
モノマーがランダムに重合することで合成される。したがってリグニンの構造自体がランダムな要素を含んでおり、酵素 や薬品で
一般に、細胞膜 と細胞膜の間の中間層を構成するが、一部は細胞膜にも存在する (1)。針葉樹、広葉樹、イネ科植物などによって構成単位の構造が異なる。
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リグニンの分解
セルロース分解の酵素はグリコシド結合を標的とするが、リグニン分解酵素は
菌類のリグニンの分解に関わる酵素は、2008 年に配列に応じて分類され、FOLy というデータベースにまとめられている (3)。
まず LO および LDA に大別され、さらに複数のカテゴリーがある。酸化・還元や酵素については、以下のページが参考になる。
Lignin oxidase (LO)
LO1 |
Laccase (EC 1.10.3.2)。 標的分子から電子を 1 個引き抜き、酸素に引き渡す反応を触媒する (3)。酸素は還元され水になる。青色銅オキシダーゼ blue copper oxidase である。芳香環が主要な標的の一つである。 |
LO2 |
以下の 4 つの分子種がある。 リグニンにゆっくりと塩素を付加する chlorinator である。リグニンを酸化していることになる。 脂質過酸化を通じて、リグニンを酸化する Mn3+ を作り出す。 芳香環以外の部分を分解する (3)。 LiP と MnP の両方の性質をもつ。 |
LO3 |
Cellobiose dehydrogenase (EC 1.1.99.18) フェントン反応のような反応で、ヒドロキシラジカル OH• を作る。これがリグニンを酸化する。 |
Lignin degrading auxiliary enzymes (LDAs)
LDA の多くは、過酸化水素 hydrogen peroxide を作り出す酵素である (3)。
例えば laccase は標的分子から電子を引き抜いて酸素に渡すが、このときに過酸化水素の O が使われる (3)。
> Limnoriid wood borer の EST 論文 (4)。
- 腸内細菌の助けなしにリグニンやセルロースを分解する特殊な生物。図 A はスケッチ、B と C は体内部の電顕写真。
- EST で多くのセルラーぜを発見。とくに、動物からは報告されていなかった GH7 をもっていた。
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References
- Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
- By real name: Karol Głąbpl.wiki: Karol007commons: Karol007e-mail: kamikaze007 (at) tlen.pl - own work from: Glazer, A. W., and Nikaido, H. (1995). Microbial Biotechnology: fundamentals of applied microbiology. San Francisco: W. H. Freeman, p. 340. ISBN 0-71672608-4このベクターイメージはInkscapeで作成されました., CC 表示-継承 3.0, Link
Levasseur et al. 2008a. FOLy: An integrated database for the classification and functional annotation of fungal oxidoreductases potentially involved in the degradation of lignin and related aromatic compounds. Fungal Genet Biol 45, 638–645.King et al. 2010a. Molecular insight into lignocellulose digestion by a marine isopod in the absence of gut microbes. PNAS 107, 5345-5350. See 学術雑誌の著作権に対する姿勢 for citing figures.