バクテリアの分類に使われるグラム染色: 原理、プロトコールなど

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このページの最終更新日: 2022/08/09

  1. 概要: グラム染色とは
  2. グラム染色の原理

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概要: グラム染色とは

グラム染色 Gram staining は、主に バクテリア を分類するために行われる染色実験である。デンマークの科学者 Gram によって発明されたので、この名で呼ばれる。

染色により、グラム陽性菌は紫、陰性菌は赤 になる。

下の写真 (1) では、グラム陽性の黄色ブドウ球菌 (紫色) と グラム陰性の大腸菌 (赤色) が見分けられる。写真を拡大すると、前者が球状、後者が桿状の形をしていることもわかるだろう。

グラム染色

グラム染色の原理

グラム染色は 1884 年に報告された古い実験法であるが、2015 年に原理に関する報告が出るなど (2)、実はその原理はあまり深くわかっていないようである。

最後に counter stain が入る

グラム染色における染色性は、少なくとも細胞壁の構造の違いに由来する。原理はちょっとわかりにくい。プロトコールとともに示した図 (3) を載せておく。

グラム染色の原理

左側がグラム陽性菌である。これは最初からずっと紫に染まっている。

一方、右側のグラム陰性菌は、最初の段階では紫に染まるが、途中のステップで 完全に脱色 され、最後の counter staining で赤く染まる。

グラム陰性菌は、最初の紫色の染色が強く、さらに最後に赤に「染まる」のに、「陰性」である。実験結果の写真だけを見れば、陰性・陽性は直感的に理解しやすいが、原理を考えると混乱してくるケースが多いので、少し詳しく載せておいた。

グラム陰性菌の外膜

では、なぜグラム陰性菌はこのような染色、脱色のパターンを示すのだろうか。これは、グラム陰性菌のみがもつ 外膜 と呼ばれる 脂質二重膜 の構造による (図、ref. 4)。

グラム染色の原理

グラム陽性菌よりも膜の数が多いので、なんとなく陰性菌の膜の方が強そうに思えるが、実はこれは逆である。

ペプチドグリカンの層は脂質二重膜層よりもかなり強く、グラム陽性菌の方がペプチドグリカンの層が厚い。これに加えて、グラム染色ではアルコールを使うため、脂質二重膜層は実験の途中で壊れてしまい、色素が失われる。

紫色の色素はペプチドグリカン層にトラップされるため、この層が厚いグラム陽性菌の方が強く染色されることになる。


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References

  1. By Y tambe - Y tambe's file, CC BY-SA 3.0, Link
  2. Wilhelm et al. 2015a. Gram’s stain does not cross the bacterial cytoplasmic membrane. ACS Chem Biol 10, 1711–1717.
  3. By <a href="//commons.wikimedia.org/w/index.php?title=User:Paitynd1&amp;action=edit&amp;redlink=1" class="new" title="User:Paitynd1 (page does not exist)">Paityn Donaldson</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link
  4. CC 表示-継承 3.0, リンク

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