オメガ 3 脂肪酸: 健康促進作用をもつ魚介類の脂質

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: オメガ 3 脂肪酸とは
  2. 調理とオメガ 3 脂肪酸

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概要: オメガ 3 脂肪酸とは

オメガ 3 脂肪酸とは、オメガ 3 の位置に二重結合をもつ脂肪酸である。詳細は 脂肪酸のページ にある「命名法、表記法」を参照のこと。魚介類に多く含まれ、さまざまな 健康促進作用 をもつ。

有名なものは ドコサヘキサエン酸 docosahexaenoic acid, DHA とエイコサペンタエン酸 EPA である (上は DHA、下は EPA の構造、いずれも Public domain)。

DHAの構造
EPAの構造

このページでは、DHA、EPA など複数のオメガ 3 脂肪酸を一緒にした研究に基づく知見を紹介する。食品科学的な内容が多い。それぞれの脂肪酸を区別した研究は、EPADHA など個別のページにまとめている。

以下のページも参照のこと。

> オメガ 3 脂肪酸が,動脈硬化の原因となる LDL-cholesterol の取り込みを阻害することを示した論文 (3)。

  • n-3 FAを多く含む餌を食べさせている。体重増加は対照の飽和脂肪酸を食べさせたマウスと変わらない。
  • n-3 FA区の方が,血中脂質量が低い。TAG, コレステロール。
  • n-3 FAで,コレステロールの取り込みが阻害される。もともと取り込みが多いInR KO miceを使っている。
  • 動脈のLPL量は,InR KO miceで高いが,n-3 FA投与で低下する。これが動脈硬化予防に繋がる。
  • マクロファージもLPLを発現しているが,これもn-3 FAで低下する。
  • マクロファージのLPLは,TNFaを誘導して炎症の方向へ進めるらしい。n-3 FAでこれが抑えられる。

調理とオメガ 3 脂肪酸

> オメガ 3 脂肪酸は、調理の後も 50% ぐらいは分解せずに残る。

  • EPA + DHA 量、raw の 64–73% が調理後も残っていた (1, Table の値から % を計算)。一番少なかったのは油で揚げた場合、多かったのは焼いた場合。
  • (EPA + DHA) mg/100 g dry weight は、生の 2.5 から低下。Baked = 1.67, boiled = 1.31, microwaved = 0.96, fried = 1.19 で、電子レンジの影響が一番大きかった (2)。

一般には、オメガ 3 脂肪酸の分解物は「魚臭さ」の原因の一つであり、風味には悪い影響を及ぼすという情報が多い。

たとえば、 (文献 4) には、EPA の分解が載っている。この図は酵素による分解であるが、オメガ 3 脂肪酸を含む高度不飽和脂肪酸の二重結合は酸化を受けやすいので、自動酸化も進行する。

EPAの酵素による分解

> 脂質酸化と食品のアロマに関する総説。 (4)。

  • 望ましいアロマに言及している点がちょっと珍しい。
  • 脂質の酸化では、一次酸化生成物の過酸化物がさらに分解し、アルデヒド、アルコール、ケトンなどの二次酸化生成物が生成される。
  • 食肉の風味生成には脂質酸化とメイラード反応の生成物の相互作用が大きく関与している。
  • 果物や野菜の風味前駆体も脂質由来であり、熱処理や乾燥により脂質酸化が促進され風味が変化する。

References

  1. Karimian-Khosroshahi et al. 2016a. Effect of different cooking methods on minerals, vitamins, and nutritional quality indices of rainbow trout (Oncorhynchus mykiss). Int J Food Prop 19, 2471–2480.
  2. Hosseini et al. 2014a. Effect of different cooking methods on minerals, vitamins and nutritional quality indices of kutum roach (Rutilus frisii kutum). Food Chem 148, 86-91.
  3. Chang et al., 2011a. n-3 fatty acids decrease arterial low-density lipoprotein cholesterl delivery and lipoprotein lipase levels in insulin-resistant mice. Arterioscler Thromb Vasc Biol, 30, 2510-2517.
  4. Shahidi & Hossain, 2012a. Role of lipids in food flavor generation. Molecules 27, 5014.

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