アラキドン酸: エイコサノイド合成の原料

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: アラキドン酸とは
  2. エイコサノイド

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概要: アラキドン酸とは

アラキドン酸 arachidonic acid, ARA は、図 1 のような構造 (Public domain) をもつ不飽和脂肪酸 unsaturated fatty acid である。分子内に 4 つの二重結合をもち、炭素数が 20 の ω-6 脂肪酸 (20:4n-6 )。

アラキドン酸の構造

アラキドン酸は、EPA とともに主要な C20 の不飽和脂肪酸であり、エイコサノイド eicosanoid 合成の主要な原料である。以下に列挙する ARA の広範な生理活性の多くは、エイコサノイドとしての ARA の機能による。エイコサノイドについても当面はこのページに記載する。

  • ストレス耐性
  • 免疫応答
  • 脂質の代謝
  • 繁殖

エイコサノイド

エイコサノイド eicosanoid は次のように定義される C20 PUFA およびその類縁体である (2)。

  • Any of a group of 20-carbon polyunsaturated fatty acids, particularly arachidonic acid, and their derivatives. The eicosanoids include various biologically important molecules, notably the prostaglandins, prostacyclins, thromboxanes, and leukotrienes (2).

エイコサノイドはアラキドン酸や EPA から合成されるが、その経路は大きく

  1. シクロオキシゲナーゼ (COX) 経路
  2. リポキシゲナーゼ (LOX) 経路
  3. シトクローム 450 経路

の 3 つに分かれている。

アラキドン酸の構造は下記の EPA の構造 (3) と非常に似ているが、ω-3 位の二重結合が一つ少ない。ARA と EPA は COX や LOX 経路の酵素 enzyme との結合において競合すると考えられている。哺乳類では、ARA 由来のエイコサノイドの方が高い生理活性をもつ (4)。



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References

  1. ページ編集に伴い削除
  2. Hine (2015). A Dictionary of Biology.

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  1. By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
  2. Wang and DuBois 2010a. Eicosanoids and cancer. Nat Rev Cancer 10, 181-193.

参考図書