アセチル CoA: 重要な代謝中間体
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このページの最終更新日: 2024/12/11- 概要: アセチル CoA とは
- アセチル CoA の生合成と輸送
- ピルビン酸からの生合成
- 酢酸からの生合成
- ミトコンドリアからの輸送
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概要: アセチル CoA とは
アセチルコエンザイム A (アセチル CoA) は、補酵素 A に酢酸がチオエステル結合した化合物で、
アセチル CoA には、以下のような重要な性質がある。
- 炭水化物、アミノ酸および 脂質 を分解してエネルギーを得る場合、ほとんどがアセチル CoA として TCA 回路で酸化される。つまり、アセチル CoA はエネルギー代謝で中心的な役割を果たす物質である。
アセチル CoA のほかにも、CoA が結合した重要な代謝中間体がいくつかある。いくつかを表に示すが、補酵素 A のページ に充実したリストがある。
アセトアセチル CoA | アセチル CoA が 2 分子縮合した物質。メバロン酸経路および β 酸化の中間体である。 |
マロニル CoA | 脂肪酸合成の出発点となる基質である。この物質がアセチル CoA カルボキシラーゼによって合成されるところから、脂肪酸合成が始まる。 |
その他未整理事項
- コエンザイム A は補酵素だが、アセチル CoA は補酵素ではない。
: この業績により 1953 年のノーベル賞がリップマンに授与されている。
: 同年には TCA 回路の研究で Krebs もノーベル賞を受賞。
: この時代に代謝系の研究が大きく進展していたことがわかる。
アセチル CoA の生合成と輸送
ピルビン酸からの生合成
アセチル CoA はピルビン酸の脱炭酸、酸化および CoA との結合反応によって生じる。反応に関わる酵素は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼである。この反応は原則としてミトコンドリアで行われる。解糖系は細胞質にあるので、
アセチル CoA が TCA 回路で代謝される場合には ミトコンドリア で反応が進むが、タンパク質のアセチル化などに使われる場合は、核や細胞質に輸送する必要がある。
ただし、最近 PDH が核に輸送されることが報告され (3)、ヒストン のアセチル化に使われるアセチル CoA は、核で作られていることが明らかになっている。
酢酸からの生合成
低酸素のときはピルビン酸が乳酸になるため、酢酸がアセチル CoA の主な原料になる (2)。
: この反応は ATP 依存的である。
ミトコンドリアからの輸送
アセチル CoA は、オキサロ酢酸 oxaloacetate と結合したクエン酸 citrate の状態で細胞質へと輸送され、そこで ATP citrate lyase の作用によりアセチル CoA に cleave される (2)。クエン酸の生成は、TCA 回路の第 1 段階の反応と同じである。
References
- 岩波 理化学辞典 第 4 版.
Su et al. 2016a (Review) . Metabolic control of methylation and acetylation. Curr Opin Chem Biol 30, 52-60.Sutendra et al. 2014a. A nuclear pyruvate dehydrogenase complex is important for the generation of acetyl-CoA and histone acetylation. Cell 158, 84-97.- Von NEUROtiker - Eigenes Werk, Gemeinfrei, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1976711
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