DNA ポリメラーゼ:
種類、機能、細胞内局在など

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2018/09/27 更新

  1. 概要: DNA ポリメラーゼとは
  2. 真核生物の DNA ポリメラーゼ
  3. 原核生物の DNA ポリメラーゼ
  4. ミスマッチの修復

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概要: DNA ポリメラーゼとは

ポリマーの伸長反応を触媒する酵素 enzyme をポリメラーゼ polymerase という (1)。DNA ポリメラーゼは DNA の伸長反応を触媒する酵素 である。

DNA を鋳型にする DNA polymerase は、DNA の複製PCR に使われる。RNA を鋳型とする DNA polymerase は、逆転写酵素 reverse transcriptase という名前でよく知られている。

DNA ポリメラーゼには、以下の 3 つの重要な活性がある。


5' - 3' polymerase

5' から 3' 方向に DNA を合成する活性であり、全ての DNA polymerase が有している。


3' - 5' exonuclease

3' 末端のミスマッチ塩基を削り取って修正することができる。


5' - 3' exonuclease

DNA の伸張先にある DNA を分解することができる。原核生物の DNA ポリメラーゼのみがもっている活性である。


真核生物の DNA ポリメラーゼ

原核生物のものと異なり、5'-3' exonuclease activity をもたない。つまり、DNA が伸長する先にあるプライマーを取り除くことができない。

真核生物の DNA ポリメラーゼは、局在や機能によって以下のように分類されている (2,6)。このページでは、大きく DNA 複製、DNA 修復および乗り越え合成 translesion DNA synthesis に分けて表にまとめたが、両方の機能をもつ DNA ポリメラーゼもあるので、詳細は「特徴」を参照のこと。


DNA 複製に重要なポリメラーゼ

種類

3'-5' exonuclease

特徴
α なし

に局在し、DNA 合成の初期段階を担当する酵素。

DNA 複製の最初は RNA primer を合成する primase として働く。その後 DNA を 20 塩基ほど合成し、ラギング鎖では DNA polymerase δ に、リーディング鎖では ε に交代する。

δ あり

デルタ delta。核に局在し、ラギング鎖において中心的に働く。

ε あり

核に局在し、リーディング鎖において中心的に働く。

γ あり

ミトコンドリア に局在し、ミトコンドリア DNA を複製する。mtDNA の修復も行う (6)。

Polg という遺伝子にコードされる。PolgD257A homozygous mutant は mtDNA に変異が多く早老症状を示す (5)。Mutator と呼ばれ、ミトコンドリアが 老化 に関係していることを示した有名なモデルである。

ただし heterozygous mutant は mtDNA に変異が入りやすく、ヒトの老化で通常みられる以上の変異が入るものの、老化速度は野生型と同じで、mtDNA と老化が直接リンクしていないことを示している (5)。

σ あり

おそらく核 DNA の複製に関わるほか、DNA 修復と sister-chromatid cohesion にも重要 (6)。


DNA 修復に重要なポリメラーゼ

種類

3'-5' exonuclease

特徴
β なし

に局在し、DNA 修復に関わる。

θ なし

λ なし

μ なし

Rev 1 なし


乗り越え合成に重要なポリメラーゼ

乗り越え DNA 合成とは、DNA 損傷を無視して行われる DNA 合成のことである。

種類

3'-5' exonuclease

特徴
ζ なし ゼータ zeta
η なし エータ eta
ι なし イオタ iota
κ なし カッパ kappa
φ なし ファイ phi

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原核生物の DNA ポリメラーゼ

原核生物には、6 種類の DNA polymerase がある。

ポリメラーゼ 5'-3' exonuclease 3'-5' exonuclease 特徴
Pol I あり あり DNA 修復に関わる。
Pol II なし あり 損傷 DNA の複製に関わる。
Pol III なし あり DNA 複製に関わる中心的なポリメラーゼ。
Pol IV
Pol V
Pol VI
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References

  1. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  2. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.
  3. 福井 2015a (Review). DNA ミスマッチ修復系における DNA 切断活性の制御機構. 生化学 87, 212-217.
  4. Pluciennik et al. 2010a. PCNA function in the activation and strand direction of MutLα endonuclease in mismatch repair. PNAS 107, 16066-16071.
  5. Payne and Chinnery 2015a (Review). Mitochondrial dysfunction in aging: much progress but many unresolved questions. Biochem Biophys Acta 1847, 1347-1353.
  6. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。