脱共役タンパク質 UCP:
プロトン濃度勾配から熱を作るタンパク質
UBC/protein_gene/u/ucp
このページの最終更新日: 2024/12/15広告
概要: UCP とは
脱共役タンパク質 (UCP; uncoupling protein) とは、ミトコンドリアの proton gradient を利用して熱を産生するタンパク質である。
ミトコンドリアでは、ATP 合成酵素 (ATP synthase) が proton gradient を利用して ATP を合成する。この現象は、「電子伝達系 electron transport とリン酸化 phosphorylation が共役 coupling している」と表現される。
UCP は、この coupling を阻害しつつ熱を産生するために、このような名前がついている。熱産生に果たす機能から thermogenin と呼ばれることもある。
> UCP2 および 3については不明な点が多い。これらに関するレビュー (1)。
- 全エネルギーのうち、ATP を作るのは 15-20%、他は熱産生に使われると書いてある HP があった。
- UCP は植物からも発見されている。
- 活性酸素の発生は、ミトコンドリアの膜電位に左右される。UCP の発現上昇は、酸化ストレスを減らすかもしれない。
- UCP1 活性は カテコールアミン や 脂肪酸 で増大。ATP などのプリン塩基で低下するが、こちらが vivo で起こるか不明。
- 脂肪酸が UCP 活性を上げる機構は、UCP 結合および脂肪酸が出入りしてH+ 輸送 の 2 つの仮説が提唱されている。
- BAT では ATP synthase の発現が低い。
- UCP の結晶構造はまだとられていない。6 回膜貫通型のタンパク質である。
- 酸化ストレスで UCP が活性化、UCP3-dependent proton leak も活性化する。
- ただし、UCP2, 3は生理的に重要なレベルで proton leak を制御していないとする見方もある。
- 膵臓の β細胞l はATP/ADP 比でインスリン分泌を制御。これに UCP 2が関連している。UCP 2 up, ATP down, insulin down。
- 実際に、糖尿病患者では UCP2 の発現が高く、これは酸化ストレス応答よりも確からしい UCP の機能である。
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UCP1
UCP1 は、気温や摂食に応じて熱産生を行うが、これには活性酸素を減らすという機能もある。
- UCP1 は主に
褐色脂肪組織 brown adipose tissue で発現している。 - UCP1 は脂肪酸 fatty acid と結合して活性が上がる。
- Pore domain と gating domain があり、脂肪酸のカルボキシル基が H+ buffering に働くと考えられている。
ハダカデバネズミ の UCP1には、プリンによる阻害や脂肪酸による活性化を低下させるような変異が入っているらしい (2)。
References
Krauss et al. 2005a (Review). The mitochondrial uncoupling protein homologues. Nat Rev Mol Cell Biol, 6, 248-261.Kimm et al. 2011a (Review). Genome sequencing reveals insights into physiology and longevity of the naked mole rat. Nature, 479, 223-227.
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