ゲノムの守護神 p53: 構造、機能、がんとの関係など

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: p53 とは

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概要: p53 とは

p53 は大きく分けて以下の 4 通りの機能をもち、細胞を がん化 から守っているタンパク質である。ヒトのがんの 50% から p53 の変異がみつかっている (1)。


> がんにかかりにくいゾウは約 40 コピーの p53 をもっている (2)。
  • また、長寿の哺乳類であるクジラは、DNA 修復機構に positive selection がかかっている。これらの動物と比較すると、ヒトはテロメアが短く テロメラーゼ の活性も低い。
  • これは、ヒトはテロメアを制御し、細胞分裂の回数を少なく抑えることで、進化的にがんに対応してきたと考えられるらしい。
  • そのトレードオフとして、組織の再生がしにくくなり degenerative disease のリスクが上がる。
  • このトレードオフは、種間だけでなくヒトの集団でも認められる。つまり、比較的テロメアが長い集団はがんのリスクが高く、短い集団は degenerative disease のリスクが高い。

Degenerative disease とは、主に感染症 infectious disease と対立する概念で、以下のような病気を含む。感染が原因でなく、身体機能の低下を原因とする病気である。細胞分裂が十分に活発ならば


細胞周期の制御

p53 は p21 の転写を促進する (1)。p21 は サイクリン/CDK 複合体に結合して、細胞周期の進行を阻害する。

つまり、p53 は細胞周期のブレーキ役として働いており、これが壊れると細胞ががん化する恐れが出てくる。


DNA 修復

p53 は DNA のダメージを認識し、細胞周期 を G1 期で停止させる (1)。


アポトーシス誘導

DNA 障害が修復できるレベルを超えているときには、p53 はアポトーシス apoptosis を誘導して細胞を殺す (1)。


血管形成阻害

がん細胞は、自身が十分な栄養を得るために VEGF、bFGF といった成長因子を分泌して 血管形成 angiogenesis を促進する (1)。

p53 は angiogenesis inhibitor である thrombospondin の発現を活性化し、血管形成を抑制する (1)。



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References

  1. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.
  2. Aviv et al. 2017a. Mutations, cancer and the telomere length paradox. Trends Cancer 3, 253-258.

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