白血病 Leukemia: 病態、分類など

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: 白血病とは
  2. AML の病態
  3. がんの「幹細胞」説

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概要: 白血病とは

白血病 leukemia は「血液がん」と呼ばれる病気である。急性/慢性の区別と、腫瘍化する細胞の種類によって以下のように分類されている。

急性白血病 は、骨髄系幹細胞 myeloid stem cells または造血幹細胞 hematopoietic stem cells の異常な増殖および分化障害が起こる病気である (1)。これらが骨髄を占拠することで、正常な造血能が失われる。さらに血液中には正常な機能をもたない細胞が出現し、免疫機構に障害を起こす。

一方、慢性白血病では分化能が失われない。細胞の自律的 (つまり無秩序な) 増殖は起こる。そのため血液中では正常な白血球や血小板が増加する。


急性
Acute

急性骨髄性白血病

英語では acute myeloid leukemia で AML と略される。もっとも多くみられるタイプの白血病で、アメリカでは 3 - 5 人/10 万人の発症率である (1)。

加齢とともに発症率は上がり、高齢の患者ほど予後が悪い。

急性リンパ性白血病 Acute lymphoblastic leukemia, ALL。

慢性
Chronic

慢性骨髄性白血病 Chronic myeloid leukemia, CML。
慢性リンパ性白血病 Chronic lymphoblastic leukemia, CLL。

以上からわかるように、白血病は「白血球が増える病気」ではなく、正常な血球生産を支えるシステムに異常が起こる病気である。

AML の病態

染色体 の異常や遺伝子の変異が原因である。増殖に関連する遺伝子の変異 class I mutation と、分化に関連する遺伝子の変異 class II mutation が原因とする two-hit model がよく受け入られている (1)。

急性リンパ性白血病 ALL の病態は AML と似ているが、慢性の CML の場合は大きく異なっている。


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がんの「幹細胞」説

これは多くのがんに適用されると考えられている仮説であるが、造血幹細胞 hematopoitetic stem cells の分化についての知見がとくに多いため、白血病でよく知られている概念である (2)。

この仮説では、

  1. 活発に増殖しているがん細胞
  2. がん細胞を生み出している cancer stem cell

を別々の細胞として考える (2)。Cancer stem cell は薬に対して耐性があり、さらに抗がん剤の多くは 1 を標的としている。

したがって、一見がんが治っても、cancer stem cell はまだ増殖を続けている。数年後にがんが再発するという現象は、この仮説でよく説明することができる。

References

  1. De Kouchkovsky & Abdul-Hay 2016a (Review). Acute myeloid leukemia: a comprehensive review and 2016 update. Blood Cancer J 6, e441.
  2. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.

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