白血病 Leukemia: 病態、分類など

UBC/cell/tumor/leukemia

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: 白血病とは
  2. AML の病態
  3. がんの「幹細胞」説

広告

概要: 白血病とは

白血病 leukemia は「血液がん」と呼ばれる病気である。急性/慢性の区別と、腫瘍化する細胞の種類によって以下のように分類されている。

急性白血病 は、骨髄系幹細胞 myeloid stem cells または造血幹細胞 hematopoietic stem cells の異常な増殖および分化障害が起こる病気である (1)。これらが骨髄を占拠することで、正常な造血能が失われる。さらに血液中には正常な機能をもたない細胞が出現し、免疫機構に障害を起こす。

一方、慢性白血病では分化能が失われない。細胞の自律的 (つまり無秩序な) 増殖は起こる。そのため血液中では正常な白血球や血小板が増加する。


急性
Acute

急性骨髄性白血病

英語では acute myeloid leukemia で AML と略される。もっとも多くみられるタイプの白血病で、アメリカでは 3 - 5 人/10 万人の発症率である (1)。

加齢とともに発症率は上がり、高齢の患者ほど予後が悪い。

急性リンパ性白血病 Acute lymphoblastic leukemia, ALL。

慢性
Chronic

慢性骨髄性白血病 Chronic myeloid leukemia, CML。
慢性リンパ性白血病 Chronic lymphoblastic leukemia, CLL。

以上からわかるように、白血病は「白血球が増える病気」ではなく、正常な血球生産を支えるシステムに異常が起こる病気である。

AML の病態

染色体 の異常や遺伝子の変異が原因である。増殖に関連する遺伝子の変異 class I mutation と、分化に関連する遺伝子の変異 class II mutation が原因とする two-hit model がよく受け入られている (1)。

急性リンパ性白血病 ALL の病態は AML と似ているが、慢性の CML の場合は大きく異なっている。


広告

がんの「幹細胞」説

これは多くのがんに適用されると考えられている仮説であるが、造血幹細胞 hematopoitetic stem cells の分化についての知見がとくに多いため、白血病でよく知られている概念である (2)。

この仮説では、

  1. 活発に増殖しているがん細胞
  2. がん細胞を生み出している cancer stem cell

を別々の細胞として考える (2)。Cancer stem cell は薬に対して耐性があり、さらに抗がん剤の多くは 1 を標的としている。

したがって、一見がんが治っても、cancer stem cell はまだ増殖を続けている。数年後にがんが再発するという現象は、この仮説でよく説明することができる。

References

  1. De Kouchkovsky & Abdul-Hay 2016a (Review). Acute myeloid leukemia: a comprehensive review and 2016 update. Blood Cancer J 6, e441.
  2. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.

コメント欄

サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。

参考図書