脂肪細胞: 概要と目次

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このページの最終更新日: 2021/02/07

  1. 概要: 脂肪細胞とは
  2. 脂肪細胞の分化
    • 脂肪細胞に分化できる細胞
    • 脂肪細胞分化のプロトコール
  3. 脂肪細胞と肥満
  4. 油滴について
    • 油滴の大きさ
    • TAG 型油滴と CE 型油滴

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概要: 脂肪細胞とは

脂肪細胞 adipocyte とは、細胞内に大きな油滴 lipid droplet をもつ細胞である。脂肪を蓄える役割のほか、様々なホルモンを分泌し、代謝をコントロールする機能もある。脂肪細胞を多く含む結合組織を 脂肪組織 adipose tissue という。

ヒトや マウス などの 哺乳類 には、3 種類の脂肪細胞があることが知られている (図、ref. 9)。脂肪細胞のタイプは、油滴とそれを代謝する ミトコンドリア の量比で決まる。それぞれの脂肪細胞を多く含むのが、白色、ベージュおよび褐色脂肪組織である。


白色脂肪細胞

脂肪を保存するのが主な役割で、細胞質の大部分を油滴が占める。

ベージュ脂肪細胞

新しく発見されたタイプ。白色と褐色の中間。

褐色脂肪細胞

ミトコンドリアが多いため褐色を呈する。脂肪の保存ではなく、脂肪を燃焼させることで体温を維持するのが主な役割。


脂肪細胞の分化

脂肪細胞は、その大きな油滴が特徴であるが、最初から油滴をもっているわけではない。図 (10) のように、前駆脂肪細胞 preadipocytes が徐々に脂肪を貯めてゆき、成熟脂肪細胞 mature adipocyte になる。この過程を脂肪細胞分化 adipocyte differentiation という。


私は改変が許可されている CC BY の図でもそのまま使うことが多いのだが、これは良い図だったので少し改変させて頂き、一般的な脂肪細胞分化の図としても使わせて頂いた。元の論文 Sugimoto et al. は、ユーグレナ抽出物の脂肪細胞の分化抑制効果を調べた興味深いオープンアクセス論文なので、興味がある人はぜひ参照してもらいたい。

以下のような細胞が、脂肪細胞に分化することが知られている。

間葉系幹細胞

英語では mesenchymal stem cells (MSCs) という。1966 年に Friedenstein によって最初に報告された (2)。骨髄から得られた幹細胞であり、のちに CD105, CD73 および CD90 positive かつ CD45, CD34, CD14 or CD11b, CD79α or CD19 および HLA-DR に negative な細胞として定義されたようである。

> 0.1 Gy 未満の低線量 X 線照射が、ADCs の分裂を促進するという論文 (8)。

  • 他の多くの細胞で似たデータがあるようである。
  • 2 Gy 程度までの線量を試している。0.3 Gy を超えたあたりから負の影響 (分裂能力の低下) が有意にみられるようになる。

脂肪組織由来幹細胞

筋衛星細胞

培養細胞株

3T3-L1 が最も有名。筋衛星細胞に由来する C2C12 や L6 も、培養条件によっては脂肪細胞へ分化する。


脂肪細胞分化のプロトコール


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脂肪細胞と肥満

脂肪細胞の数は、発生段階の早い時期に決定される (7)。


油滴 lipid droplet について

油滴 lipid droplet は脂肪細胞を特徴づけるオルガネラであるが、小さい油滴は他の細胞にも存在する。当面、このページに油滴に関する情報を載せておくが、内容が増えてきたらオルガネラとして独自のページを作る。

油滴は トリアシルグリセロール (TAG) やコレステリルエステル (CE) を中心部にもち (疎水性コア)、表面は リン脂質の一重膜 とタンパク質に覆われている。

以下のような理由から、油滴は小胞体 endoplasmic reticulum, ER によって作られると考えられている。作られた油滴は、脂肪酸を代謝できるミトコンドリア や ペルオキシソーム の近くに局在する。

  • 酵母では、小胞体膜と油滴の膜は繋がっていることが膜タンパク質の組成から示唆されている (1)。
  • 動物細胞では、油滴が大きくなると小胞体から出芽する。両者のタンパク質組成は異なっている (1)。
  • 脂質合成 lipogenesis の最終段階を触媒する酵素は ER に局在する (1)。

油滴の大きさ (最小値)

油滴 lipid droplet の大きさは、当然のことながら細胞の状態によって異なる。以下のような観察結果を総合すると、生細胞での LD の大きさの 最小値 は光学顕微鏡の解像度限界以下であると予想される (2)。In vitro の油滴形成モデルからの知見も生かされている。


> Oleic acid loaded rat 3Y1 fibroblast を染色すると、直径約 1 µm (2)。

  • 200 - 300 nm ぐらいのものが最小サイズ。

電顕では、直径 50 nm の油滴が観察されている (2)。1H-NMRで 直径 25 nm のものがあることが示されているが、これには議論がある (2)。

> In vitro model, atomic force microscopy: 平均して直径 50 nm, 高さ 15 nm の wax ester globules (2)。

容積に関する報告もある。Epididymal adipose tissue of ApoE KO mice and LpLKO mice. 2500 - 3000 µm2 (4).

> カイコ pheromone gland で、羽化前後の LD size を測定した論文 (3)。
  • 羽化前には 2 - 7 µm の小さい油滴が少しある。羽化に向けて大きく (5 - 12 µm) なる。
  • 直径は 12 - 14 µm の油滴が extra large LD と表現されている。

TAG 型油滴と CE 型油滴

油滴には、トリアシルグリセロールおよびコレステリルエステルを中心とする 2 種類がある (6R)。それぞれに対応した ペリリピン が存在する。

下の図は、Hsieh et al. (2012; ref 6) の図で、蛍光標識した 脂肪酸 または コレステロール を培地に加え、細胞に取り込ませたものである。

脂肪酸 (赤) およびコテステロール (緑) が異なる場所に局在していることがわかる。さらに、これらはリソソーム、ミトコンドリアおよび early endsome のマーカーとも重ならないので、これらのオルガネラではなく、おそらく油滴として存在していることもわかる。


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References

  1. Brasaemle & Wolins 2012a (Review). Packaging of fat: an evolving model of lipid droplet assembly and expansion. J Biol Chem 287, 2273-2279.
  2. Fujimoto et al. 2008a (Review). Lipid droplets: a classic organelle with new outfits. Histochem Cell Biol 130, 263-279.
  3. Fonagy et al. 2001a. Physiological status and change of cytoplasmic lipid droplets in the pheromone-producing cells of the silkmoth, Bombyx mori (Lepidoptera, Bombycidae). Arthropod Struct Dev 30, 113-123.
  4. Takahashi et al. 2013a. Macrophage lipoprotein lipase modulates the development of atherosclerosis but not adiposity. J Lipid Res 54, 1124-1134.
  5. Spalding et al. 2008a. Dynamics of fat cell turnover in humans. Nature 453, 783-787.
  6. Hsieh et al. 2012a. Perilipin family members preferentially sequester to either triacylglycerol-specific or cholesteryl-esterspecific intracellular lipid storage droplets. J Cell Sci 125, 4067-4076.
  7. Scioli et al. 2019a. Adipose-derived stem cells in cancer progression: new perspectives and opportunities. Int J Mol Sci 20, 3296.
  8. Schroder et al. 2019a. First insights into the effect of low-dose X-ray irradiation in adipose-derived stem cells. Int J Mol Sci 20, 6075.
  9. By <a href="//commons.wikimedia.org/w/index.php?title=User:KTroike&amp;action=edit&amp;redlink=1" class="new" title="User:KTroike (page does not exist)">KTroike</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link
  10. Sugimoto et al., 2018a. Euglena extract suppresses adipocyte-differentiation in human adipose-derived stem cells. PLoS ONE 13, e0192404.

Figures are cited from open-access articles distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original author and source are credited. Also see 学術雑誌の著作権に対する姿勢.


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