満腹ホルモン・レプチン: 代謝調節機能を中心に
UBC/protein_gene/l/leptin
このページの最終更新日: 2024/12/15広告
概要: レプチンとは
レプチン leptin は 成熟脂肪細胞 adipocyte から分泌され、食欲 appetite や代謝の制御を行う分子量約 16 kDa のペプチドホルモンである。 視床下部 hypothalamus などに作用して
レプチンは、肥満 obesity の症状を示すマウスの系統 ob/ob mice の原因遺伝子として同定された。レプチンが欠損したこのマウスは、写真 (Public domain) のように極度の肥満を呈する。左がレプチン欠損マウス、右が野生型のマウス。
レプチン受容体 leptin receptor の変異体 db/db mice も同様に肥満になる。フレームシフトによる遺伝病も知られている (1)。
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レプチンの機能
レプチンの機能は、短期作用と長期作用に分けて考えることができる。長期作用の方が重要とする意見がやや優勢である。
レプチンは、短期でも長期でも、原則として肥満にならない (エネルギーを消費する) 方向に働く。すなわち、食欲を抑制するとともに交感神経の活動を亢進させ、活動性の亢進、体温上昇、脂肪燃焼の促進などの作用を示す (2I)。
以下のようなレプチンの機能が列挙されている (3)。
- 食欲、エネルギー消費の制御
- 性成熟の制御
- 造血 hematopoiesis
- 骨の代謝
- 視床下部 - 生殖腺系の制御
肥満者の多くは、脂肪細胞が多いために血中レプチン濃度が高い。しかし、食欲も正常体重者より高く、脂肪燃焼も血中レプチン濃度から考えられるほど行われていない。
これは一見矛盾のようであるが、肥満者はレプチンが脳に作用しにくくなっている状態、すなわちレプチン抵抗性に陥っているためと理解することができる。
レプチンと脂肪細胞分化
促進、阻害の両方の報告がある。
レプチンが前脂肪細胞の分化を促進するという報告 (Ref)。
> 阻害するという 報告 も。
- レプチン投与は食欲を抑制し、体脂肪量の減少をもたらす。脂肪細胞の代謝を直接変化させ、脂肪の蓄積を抑制し脂肪の動員を促進する。
- 脂肪細胞は長型と短型のレプチン受容体を発現しているため、レプチンは直接脂肪細胞に作用し、細胞サイズを減少させる。
- レプチンはインスリン分泌を変化させ、周辺組織のインスリン感受性を正常化する。レプチンは糖の全身取り込みを刺激するが、脂肪細胞ではインスリン抵抗性を引き起こす。
- レプチンによる脂肪組織の中枢制御は交感神経系を介して行われる。
レプチンと ROS
レプチンは上皮細胞の酸化ストレスの原因となるという報告がある。
その他メモ
食欲制御に関する事項のメモ。いずれ独自のページを作る予定。
- Neuropeptide Y (NPY) ファミリーには NPY が含まれる。よく似たファミリーとして pancreatic polypeptide (PP) ファミリーがあり、これには peptide YY (PYY; PYYa と PYYb がある)、pancreatic polypeptide (PP) などが含まれる。
Leptin で筋肉の LPL 活性が増大、脂肪組織のLPL活性が低下し、脂質の分配が変わることを示した論文 (4)。
- いわゆる 「満腹ホルモン」 leptin は食欲低下、脂肪組織の減少および筋肉の増加を引き起こす。
- Leptin 投与で、筋肉の LPL 活性が増大した。
- ob/ob miceでは食後時間がたっても血中 FFA が減らないが、食後にレプチンを投与すると減る。
- レプチンは、組織への TAG 取り込みを促進する作用がある。Glc 取り込みも増大する。
References
Friedman 2002a. The function of leptin in nutrition, weight and physiology. Nutr Rev, 60, S1-S14.近藤ら 2012b. レプチン受容体遺伝子多型Lys109Arg及びGln223Argと肥満の関連. 名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報, 5, 33-38.Margetic et al. 2002a. Leptin: a review of its peripheral actions and interactions. Int J Obes 26, 1407-1433.- 確認中
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