PBS 緩衝液: 作り方、組成、特徴など
広告
概要: PBS 緩衝液とは
PBS は phosphate-buffered saline の略であり、日本語ではリン酸緩衝生理食塩水という。リン酸で pH 緩衝能をもたせ、さらに食塩 NaCl および KCl を加えることで浸透圧が生体と同じ (等張) になるようにしている。
上の緑色メニューにある「緩衝液」「酸塩基の基礎」のほか、以下のような参考ページがある。
PBS 緩衝液の組成と pH
基本はリン酸緩衝液 + 塩なのだが、ナトリウム塩やカリウム塩のみを使う リン酸カリウム緩衝液 や リン酸ナトリウム緩衝液 とは異なり、カリウムとナトリウムの両方が使われている。
ダルベッコの PBS
おそらく、単に「PBS」と言った場合には、文献 4 の
1 x PBS の組成 | コメント |
---|---|
|
文献 4 Dulbecco and Vogt, 1954a の組成で、多くの会社の製品はこれを参考にしている。確認していないが、おそらく DMEM のダルベッコだろう。 |
|
ニッポンジーンの 10x PBS の組成を 10 で割って記載 (1)。多少のずれはあるが、ほぼ同じ組成。 |
Thermofisher のページ によると、DPBS と書かれていない単なる PBS の組成は、上記のものとは異なり、製品によってかなり違いがあるらしい。今でもそうなのか、調べてみて更新。
PBS 緩衝液の pH
PBS 緩衝液を購入せずに、ラボで自作している場合、10x PBS を作って希釈するのが一般的だろう。
広告
0.1 M PBS とは
PBS の組成は、通常 10x または 1x などのように表されるが、たまに 0.1 M PBS などという表記をみて戸惑うことがある。0.1 M PBS は、リン酸緩衝液の成分が 0.1 M であり、これに生理食塩水の成分を加えているという意味のようである。
広告
References
- 10 x PBS buffer, ニッポンジーン. Link.
- とある生物系研究者によるサイエンスブログ. PBS は 10x で pH を合わせてはならない. Link.
田村 (2014). 改訂版 バイオ試薬調製ポケットマニュアル.
一般的なバイオ実験に使われる試薬の作り方がまとまっているハンドブック。一冊手元にあると便利。サイズも実験の邪魔にならずお手頃。
2003 年にオリジナル版、2014 年に改訂版が出た。I 部は溶液・試薬データ編、II 部は基本操作編になっており、ピペット操作など実験の基本がイラスト付きで説明されている。研究室に入って 1-2 年目はとくに重宝するが、末永く使うことができるだろう。このページ に見開きサンプルあり 。
Dulbecco and Vogt, 1954a. Plaque formation and isolation of pure lines with poliomyelitis viruses. J Exp Med 99, 167-182.
コメント欄
サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。