ユビキチン:
プロテアソームによるタンパク質分解のマーカー
UBC/protein_gene/u/ubiquitin
このページの最終更新日: 2024/12/15- 概要: ユビキチンとは
- ユビキチン - プロテアソーム系によるタンパク質分解
- ユビキチンの結合
- プロテアソームによる分解
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概要: ユビキチンとは
ユビキチン ubiquitin は、一次構造が極めて保存された約 8.5 kD のタンパク質で、タンパク質分解の目印として機能する (1)。英語では [juːb
ユビキチンは、標的タンパク質のリジン Lys 残基に結合する。通常は複数のユビキチンが結合する (ポリユビキチン化) が、この場合はユビキチン自身の Lys48 および Lys63 が結合部位となる (3)。
ユビキチン - プロテアソーム系によるタンパク質分解
ユビキチン - プロテアソーム系によるタンパク質分解のおおまかなステップは、以下の通りである。
1. タンパク質のユビキチン化
分解されるタンパク質の Lys 残基に、ユビキチンの C 末端の Gly が ATP 依存的に共有結合 covalent bond で結合する (1)。この反応に関与する酵素は多数あるが、以下の 3 種類に分類される。
どのタンパク質をユビキチン化するのを決定するのは E3 である。E1 は数種類しかないが、E3 は非常に多くのメンバーを含むタンパク質ファミリーである (1)。
E1: |
ATP 依存的に、ユビキチンの C 末端のカルボキシル基 -COOH が、 E1 のシステイン残基がもつメルカプト基 -SH とチオエステル結合を形成する (1)。 これは、ATP を利用してユビキチンを高エネルギー状態にもっていく手法である。脂肪酸 を代謝する際に、脂肪酸を ATP 依存的に コエンザイム A と結合させることに似ている。 |
E2: |
E1 と E3 を仲介。ユビキチンとはメルカプト基 R-SH で結合する (1)。 |
E3: |
ユビキチンと、標的タンパク質のリジン Lys の ε-アミノ基を結合させる。 リジンの構造は下図の通りであり、-COOH 基が結合している炭素が α 炭素である。そこから順に β, γ, δ, ε となり、ε 炭素にはアミノ基 -NH2 が結合している。 ハーパー生化学 30版 (Amazon link) では、紛らわしいことに E2 を ubiquitin ligase と呼び、E3 には ubiquitin transferase という名前を使っている。しかし、Google Scholar で検索してみると "E3 ubiquitin transferase" はわずか 20 ヒットなのに対し、"E3 ubiquitin ligase" は 63,000 件以上のヒットがある。transferase は極めてマイナーな呼称と考えて良さそうである。 |
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- たとえば N 末端のアミノ酸が Met, Ala, Cys, Gly などの場合、通常 half-life > 20 h である。
- N 末端が Arg, His, Ile, Leu, Lys などの場合、half-life は 2 - 30 min と短くなる。
> ガン を誘発するヒトパピローマウイルスは特殊な E3 をもつ (1)。
- Tumor suppressor p53 などをユビキチン化して、分解に回してしまう。
- p53 は分解され、細胞周期の異常がガンの原因となる。
2. Proteasome による分解
ユビキチン化されたタンパク質は、巨大タンパク質の複合体である
26S プロテアソームは、20S catalytic unit と 19S regulatory unit の複合体である。図 (3) のように、全体として筒状の構造をもっている。
20S catalytic unit は図の赤い部分で、14 の同じサブユニットからできている。分子量は 700 kDa と非常に大きい (1)。
19S regulatory unit は、その上下に結合しており、ユビキチン化されたタンパク質のみを通過させる (1)。
ユビキチン自身は proteasome に分解されず、リサイクルされる。
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References
- Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
- By FridoFoe - Cartoon rendering in UCSF Chimera, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25073636
- Amazon link: ハーパー生化学 30版.
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