オルガネラへのタンパク質の輸送
protein_gene/protein_gene_meta/protein_trafficking
4-10-2017 updated
- 概要: Protein trafficking とは
- ER ribosome で翻訳されるタンパク質
- 小胞体での糖鎖付加
- Free ribosome で翻訳されるタンパク質
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概要: Protein trafficking とは
タンパク質は、最終的に輸送される場所によって異なる経路を通る。大まかに、以下の 2 通りの経路がある (1)。
- 小胞体 endoplasmic reticulum (ER) に結合したリボソームで翻訳され、ゴルジ体を経て以下のオルガネラまたは細胞外に分泌される。
- 細胞膜
- リソソーム
- 細胞外への分泌
- フリーのリボソームで翻訳され、以下のオルガネラに輸送される。または細胞質 cytosol で機能する。
以下、1 および 2 の経路について翻訳および輸送のステップを解説する。
1. ER ribosome で翻訳されるタンパク質
粗面小胞体のリボソームで翻訳されるタンパク質は、N 末端側に疎水性アミノ酸から成る
- 翻訳中のタンパク質と RNA から成る
signal recognition particles (SRPs) がシグナル配列に結合する。 - SRPs は、ER に埋め込まれた SRP receptor と結合する。この時点で翻訳はまだ完了しておらず、リボソームも ER 表面に移動することになる。
- SRP receptor はタンパク質が通るチャネルをもっており、これを通じてタンパク質が ER の膜間スペースへ移行する。
- ER の中で、プロテアーゼ消化によってシグナル配列が取り除かれる。
- 多くのタンパク質は、ER で
糖鎖を付加される glycosylation。 - 翻訳終了後、ER に留まって働くタンパク質もあるが、多くのタンパク質はゴルジ体へ輸送される。この輸送は transitional element による小胞輸送である。
- ゴルジ体は、ER に近い側から cis, medial および trans に分けられており、それぞれの場所でタンパク質の糖鎖付加、リン酸化および硫化 & プロテオリシス が行われる。
- ゴルジ体に留まるタンパク質もあるが、多くはリソソームまたは細胞外へ向かう。
N および O 型の糖鎖付加
小胞体では、Asn-X-Thr または Asn-X-Ser という配列で
ゴルジ体でも糖鎖が付加されるが、これは Asn-X-Ser/Thr という配列において
リソソームへ輸送されるタンパク質は、糖鎖のマンノース mannose が リン酸化される。この mannose-6-phosphate がリソソームタンパク質のタグとなる (参考: リソソームのページ に詳細あり)。
細胞外への分泌
細胞外への分泌には、constitutive secretion と regulated secretion の 2 つがある (1)。
Constitutive secretion では、合成されるタンパク質が常に細胞外へ輸送される。細胞外マトリクス のタンパク質であるコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチンなどがこの様式で分泌される。
Regulated secretion は
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Free ribosome で翻訳されるタンパク質
細胞質にあるフリーのリボソームで翻訳されるタンパク質は、以下のいずれかの場所で働く。
細胞質 |
アクチン、チューブリンなどの細胞骨格タンパク質、解糖系のタンパク質など。シグナルペプチドをもたないのが特徴である (1)。 |
核 |
|
ミトコンドリア |
ミトコンドリアは独自の DNA をもっているが、これはミトコンドリアタンパク質の 1% をコードしているに過ぎない (1)。残りのタンパク質は細胞質から輸送されてくる。 ミトコンドリアのシャペロン、TOM、TIM などが輸送に関わるタンパク質である。 |
ペルオキシソーム |
ペルオキシソームのタンパク質は、C 末端側に 3 残基の peroxisome targeting signal をもつ。 |
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References
- Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学 (リッピンコットシリーズ).