油滴に局在し、脂質代謝を制御するタンパク質・ペリリピン:
構造と機能
UBC/protein_gene/p/perilipin
このページの最終更新日: 2024/02/14- 概要: ペリリピンとは
- Perilipin 1
- Perilipin 2
- Perilipin 3
- Perilipin 4
- Perilipin 5
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概要: ペリリピンとは
ペリリピンは油滴 lipid droplet (LD) の表面に局在するタンパク質で、油滴の制御に関わっている。哺乳類 のゲノムには 5 個のペリリピンがあり、splice variant によってさらに 4 つのタンパク質が作られる (2I)。
Perilipin 1, 2 は細胞質では不安定で、原則として LD に局在する constitutive perilipin である(1)。Perilipin 3, 4, 5 は細胞質でも LD でも安定な exchangable perilipin と評されている (1)。
Perilipin 1
メジャーなペリリピンでであり、ノックアウトマウスは、脂肪細胞における脂肪の蓄積量が低下する (2I)。ヒトでは、この遺伝子にヘテロで loss-of-function mutation をもつ遺伝病が存在し、lipodystrophy の症状を呈する (2I)。
a, b, c, d の 4 個の splice variant が存在し、Western blot では図のように検出されている (2)。トリアシルグリセロール およびコレステリルエステルに特異的なペリリピンがあるという論文で、培地にオレイン酸またはコレステロールを加えて細胞を培養し、WB をしている。
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Perilipin 2
ノックアウトマウスは、肝細胞における脂肪の蓄積量が低下する (2I)。
- かつては Adipophilin, ADRP (adipose differentiation-related protein) ともよばれた (1)。
- ユビキタスに発現し、多くの組織で油滴形成に関わる (1) という説明があるが、文献 2I では肝臓で中心的に発現すると書かれている。ただし、exclusive ではないとも書かれているので、発現は肝臓に限定されているわけではない。
- 細胞内では主に LD に局在する (1)。
Perilipin 3
- かつては TIP47 (tail-interacting protein of 47 kDa) とよばれた (1)。
- ユビキタスに発現し、細胞質にも安定に局在するが、TAG 合成が活発になると LD へ移動する (1)。
- 油滴が成熟すると、perilipin 1, 2に置き換わる (1)。
文献1より転載。緑は小胞体 ER を、オレンジは perilipin 3 を示す。
小胞体から小さい LD が生まれる際に、perilipin 3 が表面に存在している様子を表している。perilipin がどのように小さい油滴を認識するかは明らかになっていないが、ジアシルグリセロール DAG を認識しているものと考えられている。
Perilipin 4
- かつては S3-12とよばれた (1)。
- 主に白色および褐色脂肪組織で発現し、小胞体から生まれる未成熟な LD に局在する (1)。
Perilipin 5
かつては MLDP (myocardial lipid droplet protein), OXPAT (oxidative protein of the PAT family)、LSDP5 (lipid storage drolpet protein 5)とよばれた (1)。
主に褐色脂肪組織、骨格筋、心筋などの脂質酸化が活発な組織で発現する (1)。
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References
Brasaemle & Wolins 2012a (Review). Packaging of fat: an evolving model of lipid droplet assembly and expansion. J Biol Chem 287, 2273-2279.Hsieh et al. 2012a. Perilipin family members preferentially sequester to either triacylglycerol-specific or cholesteryl-esterspecific intracellular lipid storage droplets. J Cell Sci, 125, 4067-4076.
Hsieh et al. (2012a) is an open-access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original author and source are credited. Also see 学術雑誌の著作権に対する姿勢.
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