トランスフォーメーション: 原理、プロトコール、トラブルシューティング

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このページの最終更新日: 2019/07/15

  1. 概要: トランスフォーメーションとは
  2. トランスフォーメーションのプロトコール
  3. プラスミドの不和合性について

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概要: トランスフォーメーションとは

岩波 理化学辞典 (Amazon) では、形質転換 transformation は次のように定義されている。

ある遺伝形質をもつ菌 (供与菌) から抽出した DNA を他の菌 (受容菌) に与えると、その菌の遺伝的形質が供与菌のものに変わること。


歴史的には、1928 年のグリフィス Griffith の実験が形質転換を証明した最初の有名な実験であり、分子生物学が発展する契機となった。この実験では、肺炎球菌の有毒株抽出物によって、無毒株が有毒化することが示された。1944 年、DNA が形質転換を引き起こすことがアヴェリー Avery らによって示された。

この時代にはまだ DNA が遺伝物質であることがわかっておらず、タンパク質が遺伝物質であるとの主張もあったが、Avery の実験は DNA こそが遺伝物質であることを示す重要な証拠となった。


Transformation と transfection の違い

近年では、細菌や培養細胞の遺伝形質を変化させる実験は日常的に行われている。一般に、環状の DNA であるプラスミド plasmid が形質転換に使われる (参考: ベクター関連の用語集)。

プラスミドを細菌に導入することを形質転換 transformation といい、真核細胞 (多くの場合 哺乳類 の細胞) に導入する場合はトランスフェクション transfection という言葉が使われることが多い。


トランスフォーメーションのプロトコール

トランスフォーメーションには、薬品で処理することによってプラスミドを取り込みやすくなったコンピテントセル competent cell が使われる。コンピテントセルの作り方 のページも参照のこと。


熱ショック法

トランスフォーメーション効率は低いが、特殊な機械を必要としないため、現在でも広く使われている方法である。ごく簡単に書くと以下のようになる。

  • コンピテントセルとプラスミドを混合、氷上で 20 分インキュベート。
  • 42 °C、30 - 50 秒。ウォーターバス使用。
  • LB や SOC などの培地を加え、37 °C で 30 - 60 分 (回復培養)。
  • プレーティング。多くの場合 LB 培地 であろう。

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プラスミドの不和合性について

トランスフォーメーションの結果、複数のコロニーの生えたプレートが得られる。通常、培地にはアンピシリン ampicilin などの抗生物質が含まれており、プラスミドには抗生物質の耐性遺伝子があるので、形質転換された大腸菌のみが生えてくることになる。

ラボでよく言われる以下の点について、よくまとまったページがあったので情報を整理してみた。

  1. 1 つの大腸菌には 1 種類のプラスミドしか含まれない。
  2. 1 つのコロニーには 1 種類のプラスミドしか含まれない。

両者は似ているが微妙に違う。まず、1 つ目の項目から検討しよう。これは「プラスミドの不和合性 incompatibility」と呼ばれる。これは数学的に証明されている。

一方、2 番目の命題は正しくない。Biotech フォーラムにレベルの高い議論があり、実際に実験した方がいるようだ。少し長いが引用する。


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References

  1. By Thomasione - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=28619350
  2. By Madprime - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2161789
  3. Clontech, Takara Q & A. ライゲーション一般. Link.
  4. Bio Technical フォーラム. クローニングがうまくいきません. Link.
  5. Ligation protocol with T4 DNA ligase. NEB. Link
  6. タカラバイオ クローニング実験ハンドブック.