制限酵素サイトを付加したプライマーの設計
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このページの最終更新日: 2024/07/13広告
制限酵素サイトを付加したプライマー
このページでは、制限酵素サイトを付加したプライマーの設計方法についてまとめる。まず、プライマー設計のごく一般的な注意事項は以下の通りである。一般的な注意点の詳細は PCR のプライマー設計 を参照のこと。
ただし、制限酵素つきのプライマーを作るときは、その後ベクターに組み込むことになると思うので (参考: 制限酵素を使ったベクターへのクローニング)、プライマーは原則として開始コドン、終止コドンを含む領域で設計することになる。配列設計の自由度は限られてくるので、ある程度は「作って試してみる」形になると思われる。
また、現在は In-fusion などの方法が定着しており、制限酵素を使った方法はクラシックである。
- 長さは 18 - 30 塩基程度が目安。制限酵素サイトをつけると 30 bp 前後になるだろう。
- GC 含量は 40 - 60%、G と C の連続は避ける。
Tm 値
- 55-65°C にする (1)。
二次構造
プライマーが二次構造を作らないような配列にする (1)。
特異性
プライマー配列を BLAST したときに、forward と reverse が同じ遺伝子に top hit するか? 塩基同一率と e-value は?
プライマー設計では、多くのパラメーターが「あちらを立てればこちらは立たず」という状況にある。したがって「常にベストなプライマー配列」というものは存在せず、PCR の目的に応じて最適なプライマーを設計する必要がある。考慮すべきポイントの概要は以下の通り。
PCR 増幅産物をベクターに組み込む際に、プライマーの 5' 側に制限酵素 restriction enzyme の認識配列を付加することがある。設計の仕方は 制限酵素を使ったベクター構築 のページに示す。
重要な点は
- 5' 側なら増幅に問題は生じにくい。もちろん、3' 側の配列がテンプレートと異なっている場合、PCR が成功する確率は極めて低くなる。
- DNA または cDNA 溶液をテンプレートに、制限酵素サイトのついたプライマーで PCR しても増幅する場合が多い。しかし、いったん制限酵素サイトなしのプライマーで増やし、T ベクターなどに組み込んだものをテンプレートにするのが個人的には望ましいと思う。
プライマーに制限酵素サイトを付加するときは、以下のように行う。上記の配列の翻訳領域のみをベクターに組み込みたいとして、Forward primer は「ATG から始まる 20 塩基程度の配列 (太字)」 + 「制限酵素の認識配列 (下線)」 + 「5 - 6 塩基のスペーサー配列」である。
Reverse primer は「ストップコドンを含む 20 塩基程度の配列 (太字)」 + 「制限酵素の認識配列 (下線)」 + 「5 - 6 塩基のスペーサー配列」である。もちろん配列はターゲット遺伝子の reverse complement になるので、遺伝子部分は終止コドン TAA TCA TAG の reverse complement, つまり TTA, TGA, CTA のいずれかから始まることになる。
Forward primer:
Reverse primer:
この配列をもとに、Tm 値、二次構造の有無などの基本的な点も考慮して最終的な配列を決定する。
References
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アップデート前、このページには以下のようなコメントを頂いていました。ありがとうございました。これはおそらく、プライマーが長いと Tm 値も上がるため、同じ温度でのアニーリング効率が低下するということだと思います。
Tm 値にはいくつか計算方法がありますが、たとえば このページ に例が載っています。基本的には、プライマーが長いほど、また GC 含量が高いほど Tm も高くなります。
2018/10/20 20:35 長いプライマーを用いた際、アニーリング効率が低下するのはなぜでしょうか? |
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