DNA の電気泳動:
原理、プロトコール、検出限界、エチブロの安全性など

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このページの最終更新日: 2021/01/17

  1. 概要: DNA の電気泳動
  2. DNA 検出試薬と検出可能な DNA 量
  3. プロトコール: アガロースゲル電気泳動
    • アガロースゲルの作成

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概要: DNA の電気泳動


DNA 検出試薬と検出可能な DNA 量

アガロースゲル電気泳動で検出できるで DNA 量は、染色試薬の種類による。もっとも有名なエチジウムブロマイド ethidium bromide で安定的に検出される DNA 量は 約 10 ng である (1, 参考: DNA に関係した数字の一覧)。鮮明なバンドとして検出したい場合は約 100 ng が必要。その他については、以下の表を参照のこと。

ただし、これらは 見たいバンドの DNA 量であることに注意が必要。たとえば 制限酵素によるベクター構築後に、制限酵素 で切り出してインサートの有無を確認したい場合、vector 3 kb、insert 1 kb だとすれば、総量の 1/4 が 10 ng を超えていないといけない。インサートが短い場合は、さらに量が必要になる。


試薬 添加量 特徴

エチジウムブロマイド

0.5 µg/ml程度

エチジウムブロマイド (臭化エチジウム; EtBr) は UV トラン スイルミネーターによって励起・検出ができる (2)。ストック溶液は水で 10 mg/mL に溶解して室温で遮光保存する。

検出限界は上に述べたように約 10 ng である。一般にエチブロは「危険」な試薬として扱われているが、実のところその毒性は通常の実験試薬と同程度である (6)。

GelStar

約 20 pg の dsDNA を検出することができる。

SYBR Green

プロトコール: アガロースゲル電気泳動

アガロースゲルの作成

  1. 1 - 2% 程度 (w/v) のアガロースを TAE または TBE buffer に加える。
  2. 電子レンジで溶かす。突沸しないように、ときどき電子レンジを止めてかき混ぜる。
  3. 適切な温度まで冷やす。
  4. エチジウムブロマイド ethidium bromide などの DNA 検出試薬を加え、型に流し込む。

なぜ緩衝液を使うのか?

DNA そのリン酸基で負に荷電しており、これが正電極に引きつけられるのが電気泳動の原理である。溶液が酸性に傾くということは、溶液中に H+ が大量に存在するということであり、H+ によってリン酸基の負電荷が中和されるということ。したがって、DNA 電気泳動の溶液はアルカリ性に偏っている必要があり、さらに pH が変わりにくいように緩衝能をもつ必要がある。これが TAE, TBE などの緩衝液を使う理由である。

参考になるページ: 核酸酸と塩基の定義緩衝液


TAE と TBE はどう違う?

TAE は Tris-acetate EDTA, TBE は Tris-borate EDTA である。一般にアガロースゲル電気泳動では 1 x TAE または 0.5 x TAE が、ポリアクリルアミドゲル電気泳動では 1 x TBE が使われる (3)。

かつては TAE の方がゲルからの DNA 回収効率が高かったため、アガロースゲル電気泳動では主に TAE が使われてきた (1)。最近のキットは TBE からの回収率が上がっているようなので、基本はどちらでも良いと思われる。

TAE の方がわずかに実際的なメリットがある。すなわち TBE よりも安く、ストック溶液を高濃度 (50x) で保存できる。TBE のストック溶液は 10x である。


なぜ EDTA を入れるのか?

EDTA は Mg2+ のキレート剤である。Mg2+ は DNAse を活性化するので、DNA の分解を防ぐために EDTA を入れる。


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サンプルのアプライ

ローディングダイ loading dye を使う。1% ゲルを使った場合、BPB は約 500 bp の位置に、XC は約 4,000 bp の位置に現れる (7)。


電気泳動


結果の確認


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References

  1. Lonza 技術情報 電気泳動・分析. Pdf file.
  2. じっけんプロトコール, Sigma. Pdf file.
  3. TAEバッファーとTBEバッファーの比較. BioWiki. Link.
  4. Green and Sambrook, 2012a. Molecular cloning: A laboratory manual, 4th edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press.

分子生物学関係のプロトコール集では、この本よりも有名なものはないだろう。

日本語版がない、電子書籍版もない、値段が高い、重い (3 冊組でとどく) など問題点は多々あるが、それでも実験室に必ずあるべき書。ラボプロトコールをまとめたりする時間を大いに節約することができる。

ラボの教科書としてではなく、自分用の実験マニュアルで確かなものが欲しい場合には、主要部分をまとめた The Condensed Protocols from Molecular Cloning という本もある。


  1. TAEバッファーとTBEバッファーの比較. Link: Last access 9/1/2017.
  2. The Myth of Ethidium Bromide. Link: Last access 11/06/2017.
  3. Gel Loading bufferの組成. Link: Last access 2020/07/21.

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