細胞培養の概要と目次

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このページの最終更新日: 2024/11/15

  1. 概要: 細胞培養実験とは
  2. 細胞培養実験に必要なもの
  3. 細胞培養に関するデータ集、便利な数字

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概要: 細胞培養実験とは

例えば、以下のような関連ページがある。

細胞培養実験に必要なもの

Millipore Sigma の このページ に、素晴らしいプロトコール集がある。


試薬と機器

付着細胞を購入し、維持する場合に必要になる一般的な試薬、機器をリストにした。初代培養を行う場合、浮遊細胞の場合は、さらに他の試薬などが必要になることがあるだろう。

培養ディッシュ

コーティングされているもの。見た目が同じだからといって、LB 培地 を作るプレートに細胞をまいてはいけない。初心者にありがちなミス。

フラスコで維持し、プレートにまいた細胞を実験に使うことが多いだろう。

培地

DMEM、F12 など細胞の種類によって異なる。購入した細胞株なら、カタログに培地が載っているはずである。

多くの培地は pH 指示薬であるフェノールレッドが入っているため赤い。細胞の代謝により pH が下がると黄色っぽくなる。CO2 がうまく循環していないと赤紫色になる (6)。

FBS

Fetal Bovine Serum、ウシ胎児血清。高い。非働化が必要で、非働化済みのものはさらに高い。

ロットによって品質が異なる可能性があるので、複数のロットのサンプルをテストし、良いものを大量に購入、凍結保存することが多い。

トリプシン

細胞を継代する際に使う。

フィルター

培地は、液体を購入してそのまま使うこともあるが、粉を溶かす方が安くあがる。この場合、フィルターで滅菌する必要がある。

FBS はフィルター滅菌するので、いずれにせよフィルターは必要である。0.45 µm を使っている人もいるようだが、0.22 µm のものが安全だろう。

ピペット

プラスチックの使い捨てピペット、または滅菌缶に入れオートクレーブ。

抗生物質

ATCC の FAQ では、抗生物質は原則として使わない方が良いとされている。細胞の生育を阻害する可能性があるほか、マイコプラズマを防げないなどの理由から。

ただし、初代培養や購入した株の保存には有効との記述がある。また、株の選択も G418 や hygromycin などの抗生物質が用いられる。

インキュベーター

哺乳類細胞の場合は、5% CO2 で培養するのが普通なので、ガスも必要になる。温度は一般に 37 °C。

顕微鏡


Biosafety level

ヒトおよび霊長類の細胞は、実験者に感染可能な病原体 (ウイルス、バクテリア) のキャリアとなりうるため、扱いには特別な注意が必要である。

細胞を販売している ATCC (American Type Culture Collection) は、すべての human cell line を HIV (see AIDS) と同様のレベルで扱うことを推奨している (5)。

多くの大学では、CDC Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL) という ガイドライン に準拠して biosafety level を定めているようである。Appendex H に "Human and other primate cells should be handled using BSL-2 practices and containment" という表現がある。

ただし、この should be という表現自体が "Recommended Practices" というセクションの中にあり、recommendation に過ぎないという解釈もできる。どのルールに法的拘束力があるのか、まだ信頼できる文献を発見できていない。

細胞培養に関するデータ集、便利な数字

ディッシュ、フラスコなどの細胞数

Life Technologies のページに、HeLa 細胞についてのデータがある (文献 1; 日本語のページは 文献 2)。一部を転載しておく。

Surface area でほぼ数字が決まること、細胞の種類によってこの数字は変わりうることに気をつける。

Surface area (cm2)

Seeding density

細胞数 (confluent)

培地量 (ml)

35 mm dish

9 0.3 x 106 1.2 x 106 2

6 well plate

9 0.3 x 106 1.2 x 106 3 - 5

T-75 flask

75 2.1 x 106 8.4 x 106 8 - 15

組織量との対応

GE Healthcare の illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit のページ (文献 3) では、組織および培養細胞からの DNA 収量について以下のようなデータが載っている。一部を抜粋する。

大まかに 5 x 106 培養細胞 = 10 cm dish 1 枚 = 肝組織 10 mg 程度というオーダーで考えて良いだろう。


サンプル 組織 培養細胞
サンプル量 5 - 50 mg 動物組織 5 x 106 培養細胞
典型的収量

0.5 - 1.5 μg DNA/mg (=5 - 15 μg DNA/10 mg 組織)

ラット肝細胞でのデータ

10 - 20 μg DNA (5 x 106 細胞より)

メタボローム解析必要量

Human Metabolome Technologies 社では、メタボローム解析の受託を行っている。その ウェブサイト に、1 検体として必要な試料量の目安が載っていたので、これも一部を転載する。

代謝産物の場合でも、10 cm dish 1 枚が数十 mg の組織に相当すると考えて良さそうだ。

試料タイプ 1 検体に必要な試料量
血液 > 120 μl
組織(肝臓、骨格筋)

30 - 50 mg

培養細胞 (HepG2 など), 浮遊細胞 (CHO など)

2 - 5 x 106 cells

大腸菌

1 x 109 cells


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References

  1. Life Technologies website; Useful numbers for cell culture. Web.
  2. 細胞培養する人のための"使える"数字まとめ. Web.
  3. GE Healthcare, illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit. リンク切れ: http://www.gelifesciences.co.jp/catalog/1212.html
  4. Human Metabolome Technologies, 測定に必要な試料量. リンク切れ: http://humanmetabolome.com/services/volumes
  5. UT Austin, Human Cell Lines. リンク切れ: https://ehs.utexas.edu/programs/biosafety/human-cell-lines.php
  6. 株式会社ケーエーシー. 細胞培養基礎講座. Link: Last access 2019/07/09.

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このページの目次

1. 概要
2. 必要なもの
  ・試薬と機器
  ・Biosafety
3. データ集
  ・細胞数
  ・組織量
  ・メタボローム解析