細胞培養の概要と目次
UBC/experiments/
細胞培養に関する上位のページです
広告
概要: 細胞培養実験とは
例えば、以下のような関連ページがある。
細胞培養実験に必要なもの
Millipore Sigma の このページ に、素晴らしいプロトコール集がある。
試薬と機器
付着細胞を購入し、維持する場合に必要になる一般的な試薬、機器をリストにした。初代培養を行う場合、浮遊細胞の場合は、さらに他の試薬などが必要になることがあるだろう。
培養ディッシュ |
コーティングされているもの。見た目が同じだからといって、LB 培地 を作るプレートに細胞をまいてはいけない。初心者にありがちなミス。 フラスコで維持し、プレートにまいた細胞を実験に使うことが多いだろう。 |
培地 |
DMEM、F12 など細胞の種類によって異なる。購入した細胞株なら、カタログに培地が載っているはずである。 多くの培地は pH 指示薬であるフェノールレッドが入っているため赤い。細胞の代謝により pH が下がると黄色っぽくなる。CO2 がうまく循環していないと赤紫色になる (6)。 |
FBS |
Fetal Bovine Serum、ウシ胎児血清。高い。非働化が必要で、非働化済みのものはさらに高い。 ロットによって品質が異なる可能性があるので、複数のロットのサンプルをテストし、良いものを大量に購入、凍結保存することが多い。 |
トリプシン |
細胞を継代する際に使う。 |
フィルター |
培地は、液体を購入してそのまま使うこともあるが、粉を溶かす方が安くあがる。この場合、フィルターで滅菌する必要がある。 FBS はフィルター滅菌するので、いずれにせよフィルターは必要である。0.45 µm を使っている人もいるようだが、0.22 µm のものが安全だろう。 |
ピペット |
プラスチックの使い捨てピペット、または滅菌缶に入れオートクレーブ。 |
抗生物質 |
ATCC の FAQ では、抗生物質は原則として使わない方が良いとされている。細胞の生育を阻害する可能性があるほか、マイコプラズマを防げないなどの理由から。 ただし、初代培養や購入した株の保存には有効との記述がある。また、株の選択も G418 や hygromycin などの抗生物質が用いられる。 |
インキュベーター |
哺乳類細胞の場合は、5% CO2 で培養するのが普通なので、ガスも必要になる。温度は一般に 37 °C。 |
顕微鏡 |
Biosafety level
ヒトおよび霊長類の細胞は、実験者に感染可能な病原体 (ウイルス、バクテリア) のキャリアとなりうるため、扱いには特別な注意が必要である。
細胞を販売している ATCC (American Type Culture Collection) は、すべての human cell line を HIV (see AIDS) と同様のレベルで扱うことを推奨している (5)。
多くの大学では、CDC Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL) という ガイドライン に準拠して biosafety level を定めているようである。Appendex H に "Human and other primate cells should be handled using
ただし、この should be という表現自体が "Recommended Practices" というセクションの中にあり、recommendation に過ぎないという解釈もできる。どのルールに法的拘束力があるのか、まだ信頼できる文献を発見できていない。
細胞培養に関するデータ集、便利な数字
ディッシュ、フラスコなどの細胞数
Life Technologies のページに、HeLa 細胞についてのデータがある (文献 1; 日本語のページは 文献 2)。一部を転載しておく。
Surface area でほぼ数字が決まること、細胞の種類によってこの数字は変わりうることに気をつける。
Surface area (cm2) |
Seeding density |
細胞数 (confluent) |
培地量 (ml) | |
35 mm dish |
9 | 0.3 x 106 | 1.2 x 106 | 2 |
6 well plate |
9 | 0.3 x 106 | 1.2 x 106 | 3 - 5 |
T-75 flask |
75 | 2.1 x 106 | 8.4 x 106 | 8 - 15 |
組織量との対応
GE Healthcare の illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit のページ (文献 3) では、組織および培養細胞からの DNA 収量について以下のようなデータが載っている。一部を抜粋する。
大まかに
サンプル | 組織 | 培養細胞 |
サンプル量 | 5 - 50 mg 動物組織 | 5 x 106 培養細胞 |
典型的収量 |
0.5 - 1.5 μg DNA/mg (=5 - 15 μg DNA/10 mg 組織) ラット肝細胞でのデータ |
10 - 20 μg DNA (5 x 106 細胞より) |
メタボローム解析必要量
Human Metabolome Technologies 社では、メタボローム解析の受託を行っている。その ウェブサイト に、1 検体として必要な試料量の目安が載っていたので、これも一部を転載する。
代謝産物の場合でも、10 cm dish 1 枚が数十 mg の組織に相当すると考えて良さそうだ。
試料タイプ | 1 検体に必要な試料量 |
血液 | > 120 μl |
組織(肝臓、骨格筋) |
30 - 50 mg |
培養細胞 (HepG2 など), 浮遊細胞 (CHO など) |
2 - 5 x 106 cells |
大腸菌 |
1 x 109 cells |
広告
References
- Life Technologies website; Useful numbers for cell culture. Web.
- 細胞培養する人のための"使える"数字まとめ. Web.
- GE Healthcare, illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit. リンク切れ: http://www.gelifesciences.co.jp/catalog/1212.html
- Human Metabolome Technologies, 測定に必要な試料量. リンク切れ: http://humanmetabolome.com/services/volumes
- UT Austin, Human Cell Lines. リンク切れ: https://ehs.utexas.edu/programs/biosafety/human-cell-lines.php
- 株式会社ケーエーシー. 細胞培養基礎講座. Link: Last access 2019/07/09.
コメント欄
サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。