細胞培養の概要と目次

UBC/experiments/cell_culture/cell_culture
細胞培養に関する上位のページです

このページの最終更新日: 2019/07/15

リンクは別のページに飛びます。

  1. 細胞培養実験に必要なもの
    • 試薬と機器
    • Biosafely level
  2. 細胞培養に関するデータ集、便利な数字
    • ディッシュ、フラスコなどの細胞数
    • 組織量との対応
    • メタボローム解析必要量
  3. トラブルシューティング

広告

細胞培養実験に必要なもの

Millipore Sigma の このページ に、素晴らしいプロトコール集がある。


試薬と機器

付着細胞を購入し、維持する場合に必要になる一般的な試薬、機器をリストにした。初代培養を行う場合、浮遊細胞の場合は、さらに他の試薬などが必要になることがあるだろう。

培養ディッシュ

コーティングされているもの。見た目が同じだからといって、LB 培地 を作るプレートに細胞をまいてはいけない。初心者にありがちなミス。

フラスコで維持し、プレートにまいた細胞を実験に使うことが多いだろう。

培地

DMEM、F12 など細胞の種類によって異なる。購入した細胞株なら、カタログに培地が載っているはずである。

多くの培地は pH 指示薬であるフェノールレッドが入っているため赤い。細胞の代謝により pH が下がると黄色っぽくなる。CO2 がうまく循環していないと赤紫色になる (6)。

FBS

Fetal Bovine Serum、ウシ胎児血清。高い。非働化が必要で、非働化済みのものはさらに高い。

ロットによって品質が異なる可能性があるので、複数のロットのサンプルをテストし、良いものを大量に購入、凍結保存することが多い。

トリプシン

細胞を継代する際に使う。

フィルター

培地は、液体を購入してそのまま使うこともあるが、粉を溶かす方が安くあがる。この場合、フィルターで滅菌する必要がある。

FBS はフィルター滅菌するので、いずれにせよフィルターは必要である。0.45 µm を使っている人もいるようだが、0.22 µm のものが安全だろう。

ピペット

プラスチックの使い捨てピペット、または滅菌缶に入れオートクレーブ。

抗生物質

ATCC の FAQ では、抗生物質は原則として使わない方が良いとされている。細胞の生育を阻害する可能性があるほか、マイコプラズマを防げないなどの理由から。

ただし、初代培養や購入した株の保存には有効との記述がある。また、株の選択も G418 や hygromycin などの抗生物質が用いられる。

インキュベーター

哺乳類細胞の場合は、5% CO2 で培養するのが普通なので、ガスも必要になる。温度は一般に 37 °C。

顕微鏡


広告

Biosafety level

ヒトおよび霊長類の細胞は、実験者に感染可能な病原体 (ウイルス、バクテリア) のキャリアとなりうるため、扱いには特別な注意が必要である。

細胞を販売している ATCC (American Type Culture Collection) は、すべての human cell line を HIV (see AIDS) と同様のレベルで扱うことを推奨している (5)。

多くの大学では、CDC Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL) という ガイドライン に準拠して biosafety level を定めているようである。Appendex H に "Human and other primate cells should be handled using BSL-2 practices and containment" という表現がある。

ただし、この should be という表現自体が "Recommended Practices" というセクションの中にあり、recommendation に過ぎないという解釈もできる。どのルールに法的拘束力があるのか、まだ信頼できる文献を発見できていない。


細胞培養に関するデータ集、便利な数字

ディッシュ、フラスコなどの細胞数

Life Technologies のページに、HeLa 細胞についてのデータがある (1; 日本語のページは 2)。一部を転載しておく。

Surface area でほぼ数字が決まること、細胞の種類によってこの数字は変わりうることに気をつける。

Surface area (cm2)

Seeding density

細胞数 (confluent)

培地量 (ml)

35 mm dish

9 0.3 x 106 1.2 x 106 2

6 well plate

9 0.3 x 106 1.2 x 106 3 - 5

T-75 flask

75 2.1 x 106 8.4 x 106 8 - 15

組織量との対応

GE Healthcare の illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit のページ (3) では、組織および培養細胞からの DNA 収量について以下のようなデータが載っている。一部を抜粋する。

大まかに 5 x 106 培養細胞 = 10 cm dish 1 枚 = 肝組織 10 mg 程度というオーダーで考えて良いだろう。


サンプル 組織 培養細胞
サンプル量 5 - 50 mg 動物組織 5 x 106 培養細胞
典型的収量

0.5 - 1.5 μg DNA/mg (=5 - 15 μg DNA/10 mg 組織)

ラット肝細胞でのデータ

10 - 20 μg DNA(5 x 106 細胞より)

メタボローム解析必要量

Human Metabolome Technologies 社では、メタボローム解析の受託を行っている。その ウェブサイト に、1 検体として必要な試料量の目安が載っていたので、これも一部を転載する。

代謝産物の場合でも、10 cm dish 1 枚が数十 mg の組織に相当すると考えて良さそうだ。

試料タイプ 1 検体に必要な試料量
血液 > 120 μl
組織(肝臓、骨格筋)

30 - 50 mg

培養細胞(HepG2 など), 浮遊細胞(CHO など)

2 - 5 x 106 cells

大腸菌

1 x 109 cells


広告

コメント欄

フォーラムを作ったので、各ページにあるコメント欄のうち、コメントがついていないものは順次消していきます。今後はフォーラムをご利用下さい。管理人に直接質問したい場合は、下のバナーからブログへ移動してコメントをお願いします。

References

  1. Life Technologies website; Useful numbers for cell culture. Web.
  2. 細胞培養する人のための"使える"数字まとめ. Web.
  3. GE Healthcare, illustra tissue and cells genomic Prep Mini Spin Kit. Web.
  4. Human Metabolome Technologies, 測定に必要な試料量. Web.
  5. UT Austin, Human Cell Lines. Link: Last access 2018/04/17.
  6. 株式会社ケーエーシー. 細胞培養基礎講座. Link: Last access 2019/07/09.