がん遺伝子 oncogene について
- 概要: Oncogene とは
- Tumor suppressor gene
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概要: Oncogene とは
細胞分裂や DNA 修復に関係する遺伝子の機能に異常をきたすと、がんになる可能性がある。文献 2 では少なくとも 350 の遺伝子ががんに関連すると報告されており、総数は 2000 を超えると見積もられている。遺伝子のもともとの機能によって、以下のように分類されている。
本来、細胞分裂を
種々の成長因子とそのシグナル伝達に関わるタンパク質のほか、DNA 修復、アポトーシス阻害などを通じて間接的に細胞分裂を促進する遺伝子も proto-oncogene に含まれる (3)。
言葉の定義の問題でもあるが、上記の「遺伝的背景」または「環境要因」によって proto-oncogene が活性化され oncogene になるとガンが発症すると言える。
2 セットある遺伝子の一方に gain-of-funciton の変異が生じると、細胞の異常増殖が起こる (1)。変異はがん化に対して dominant に働くと言える。
遺伝子 |
概要 |
---|---|
APC | 大腸がん colorectal cancer の原因 (2)。微小管およびその他の多くのタンパク質と結合する scaffold protein。 |
CDKN2A | メラノーマの原因になる (3)。 |
EWSR1 | 筋肉、血管など後半な組織で、転座が腫瘍の原因となる遺伝子。 |
Jun | Breast, prostate, skin, lung, ovarian, bladder など、様々ながんとの関与が知られている。 |
MSH2, MLH1 | DNA 修復に関わる (3)。遺伝性大腸がんの原因遺伝子。 |
テロメラーゼ | テロメア領域を伸長する RNA (TERC) と酵素 (TERT) の複合体。テロメア長は長くても短くてもがんのリスクが上がる (5)。 |
Palladin | 遺伝性膵臓がんの原因遺伝子として palladin が同定されている (2)。第二 exon にがんの原因となる変異がある。がん細胞は柔軟なほど他の組織に転移しやすい。Palladin は細胞の形態を維持する細胞骨格タンパク質の scaffold gene で、変異によって細胞の柔軟性が増してしまう。 |
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Tumor suppressor gene
本来、細胞分裂を
がんの 10% が tumor-suppressor gene の変異によるという記述があるが (2)、p53 遺伝子の変異は 50% のがんで見つかるという記述もあり (3)、このあたり確認が必要。
2 セットある遺伝子の一方に loss-of-funciton の変異が生じても、通常の場合、細胞の増殖を抑制する機能は維持される (1)。変異はがん化に対して recessive に働くと言える。
例: NF1, p53, RB, WT-1.
遺伝子 |
概要 |
---|---|
BRCA1 | 家族性乳がんと関係が深く、変異は乳がん、すい臓がんなどの原因になる (3)。DNA 修復に関わる。 |
p53 | Li-Fraumeni という症候群として知られる (3)。白血病、脳腫瘍などと関係している。 |
RB | 家族性レチノブラストーマの原因遺伝子。細胞周期 を制御する遺伝子の一つ。 |
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References
Hine (2015). A Dictioonary of Biology.
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- Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.
Arshad et al. 2016a. Racial Disparities in Colorectal Carcinoma Incidence, severity and survival times over 10 years: A retrospective single center study. J Clin Med Res 8, 777-786.Aviv et al. 2017a. Mutations, cancer and the telomere length paradox. Trends Cancer 3, 253-258.- 「がん」と「癌」と「ガン」の違いって知っていますか? Link: Last access 2019/12/06.
Lan et al. 2020a (Review). FTO – A common genetic basis for obesity and cancer. Front Genet 11, 559138.
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