大腸菌株の一覧: K-12 とは?

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このページの最終更新日: 2024/12/01


  1. K-12 とそれに由来する株
  2. BL21 とそれに由来する株

このページは 細胞生物学の目次 から分離したページです。関連するページには以下のようなものがあります。

  1. 大腸菌の遺伝子型の一覧
  2. 実験の目次: 大腸菌を使った実験へのリンクがあります。
  3. NIH 遺伝子組換え実験ガイドライン: K-12 株は申請不要。

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K-12 とそれに由来する株

大腸菌株の中でも、K-12 は特殊な株である。

K-12 株は、1922 年にスタンフォード大学でヒトの糞便から分離されたものであり、K-12というのはスタンフォード大学のコレクションの管理番号らしい (2)。名前には、この菌株を発見した学生の席番号とか、いくつか都市伝説があるようだ。

K-12 株は、しばらくはスタンフォードで保管されていただけだったが、1940 年代から実験に使われ始め、1946年に Lederberg と Tatum が雌雄接合による組換えを発見したことで脚光を浴びるようになった。

JM101, DH5α, HB101, XL-1 Blue など遺伝子実験で汎用される株は、K-12 株に由来する。その遺伝子型から、NIH のガイドラインで安全な株と定められており、K-12 由来株を用いた遺伝子組み換え実験には、いくつかの例外を除いて安全委員会の承認が不要ということになっている (参考: NIH 遺伝子組換え実験ガイドライン)。

参考: Kuhnert et al. 1995a. Rapid and accurate identification of Escherichia coli K-12 strains. Appl Env Microbiol 61, 4135-4139.

よく実験に使われる K-12 株を表にしておく。発現用大腸菌 BL21 は K-12 ではないが、K-12 に由来する発現用の株も販売されている。遺伝子操作でよく利用される大腸菌(K-12由来株)の遺伝子型 という Takara のページも有用である。


菌株 特徴と genotype
DH5α

クローニングによく使われる。Blue/white selection 可能。

F- endA1 glnV44 thi-1 recA1 relA1 gyrA96 deoR nupG φ80dlacZΔM15 Δ (lacZYA-argF)U169, hsdR17(rK- mK-), λ-

HB101

熱ショックなしで transform 可能。クローニングによく使われる。Streptomycin natural resistance.

F- mcrB mrr hsdS20 (rB- mB-) recA13 leuB6 ara-14 proA2 lacY1 galK2 xyl-5 mtl-1 rpsL20 (SmR) glnV44 λ-

JM109

クローニングによく使われる。

recA1 endA1 gyrA96 thi hsdR17 supE44, relA1, ∆ (lac-proAB) F’ (traD36, proAB+ lacIqZ ∆M15)

SHuffle

K-12 由来の発現用大腸菌株 (1)。

ジスルフィド結合を含むタンパク質を細胞質で発現させるように modify された K-12 株。ジスルフィド結合イソメラーゼ DsbC を恒常的に発現しており、この酵素が間違って形成されたジスルフィド結合を修復するとともに、分子シャペロンとして働く。

C118-λpir

Plasmid の構築?

araD139 ∆ (ara leu)7697 ∆lacX74 phoA20 galE galK thi rpsE rpoB araEam recA1 (λpir)

S17-λpir

Donor for diparental matings with various gram-negative recipient strains

TpR SmR hsdR pro recA RP4-2-Tc::MuKm::Tn7 (λpir)

B. subilis PE103

Recovered from water, air, decaying plants

amyE::Pxyl-mciZ catIVAΩlinker-CFP cat

pKR 179

Recovered from water, air, decaying plants

DH5α, divIVA-gfp

FB76

Artifact of the n-terminal yellow fluorescent protein tag.

mreB-rfpSW yhdE cat

K12 MG1655

Laboratory strain with minimal genetic manipulation.

F- lambda- ilvG- rfb-50 rph-1

BL21 とそれに由来する株

菌株 特徴と genotype
BL21

タンパク質の大腸菌発現に使われる BL21(DE3) および BL21(DE3)pLysS の親株。

BL21(DE3)

BL21 に λDE3 遺伝子が組み込まれた株。λDE3遺伝子は lac UV5 プロモーターの制御下にある T7 RNA ポリメラーゼ遺伝子で、IPTG 添加でT7 RNA ポリメラーゼが誘導され、T7 プロモーターの下流にあるの目的タンパク質遺伝子を転写する。

F-, ompT, hsdSB(rB- mB-), gal(λcI 857, ind1, Sam7, nin5, lacUV5-T7gene1), dcm(DE3)

BL21(DE3)pLysS

BL21(DE3) 株に T7 リゾチーム遺伝子を持つプラスミド pLysS を導入した株。T7 リゾチームは T7 ポリメラーゼに結合して転写活性を低下させるため、IPTG 非誘導時に起こる目的タンパク質のわずかな発現 (基底発現、リーク) が防がれる。発現タンパク質が大腸菌に有毒であったりする場合に有効である。

Rosetta

Rosetta は BL21 からとられた株で、大腸菌では一般的でないコドンを含む真核生物タンパク質の発現に最適化されている。また、Lac repressor を多く発現するように pLacI というプラスミドを含んでいる。

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このページの目次

1. K-12 系
2. BL21 系