側鎖の長い塩基性アミノ酸 リジン:
構造、機能、代謝など

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このページの最終更新日: 2019/08/03

  1. 概要: Lys とは
  2. Lys の生合成
  3. Lys の分解
  4. Lys 修飾
    • アセチル化

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概要: チロシンとは

リジン Lys は長い直鎖状の側鎖をもつアミノ酸である。


  • pK1 (COOH) = 2.2
  • pK2 (NH3+) = 9.2
  • pK3 (側鎖) = 10.8
  • 必須、塩基性

リジンは Drechsel によって 1889 年に牛乳のタンパク質から発見された。1928 年に Vickery and Leavenworth によって結晶化された。

リジンの重要な生化学的特徴は以下の通り。

  • 生物が合成できない 必須アミノ酸 essential amino acid である。
  • タンパク質に含まれる Lys は、アセチル化 によるタンパク質修飾の標的となる。
  • 生理的条件下では、側鎖のアミノ基 -NH2 がプロトンを受け入れて -NH3+ になっている。つまり塩基性アミノ酸であり、荷電アミノ酸である (参考: 酸・塩基の定義)。
  • 脂質の輸送に関わる カルニチン の原料になる。

リジンの類縁体である allysine は、リジンから lysyl oxidase によって合成されるアミノ酸である。細胞外マトリクス extracellular matrix のタンパク質、コラーゲン collagen やエラスチン elastin の架橋に使われる。


Lys の生合成

リジンは、哺乳類 が生合成できない必須アミノ酸である。バクテリア、藻類および 植物 では、少なくとも 6 種類の生合成経路が知られている。

生合成経路は、diaminopimelate (DAP) 経路および L-2-aminoadipate 経路に大別される。後者は α-aminoadipate 経路とも呼ばれる。

Diaminopimelate pathway 経路は、バクテリアおよび菌類に存在し、ペプチドグリカン合成に関わっている。そのため、この経路は多くの抗生物質の標的となっている。


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Lys の分解

Lys の分解は alpha-ketoglutarate および saccharopine dehydrogenase によって触媒される NADH 依存的な反応である。まず Lys および lysine 2-oxoglutarate が結合して saccharopine になる。この経路は saccharopine pathway と呼ばれる。その後、この分子は複数の分子を経て最終的に acetoacetyl-CoA になる。


Lys の修飾

アセチル化

Lys のアセチル化は、とくに核 nucleus の中で DNA と結合しているタンパク質・ヒストン histone において有名である。遺伝子発現のエピジェネティック epigenetic な制御に関わる。

ヒストンのアセチル化では、タンパク質中の特定の Lys のアミノ基 -NH2 にアセチル基 -CH3CO が付加され、アミド基 -NHCOCH3 となる

> 真核生物では、アセチル CoA がアセチル化に使われる (2)。
  • ミトコンドリアではアセチル CoA 濃度が 0.1 - 1.5 mM と高く、pH も高いため非酵素的反応が起こる。
  • したがって、ミトコンドリアタンパク質の Lys の多くはアセチル化修飾を受けている。

> ミトコンドリア外ではアセチル CoA 濃度が 0.002 - 0.013 mM と低い (2)。
  • したがって Lys は一般に酵素的にアセチル化される。
  • 塩基性アミノ酸に隣接する Lys は、ミトコンドリア外でもアセチル化を受けやすい。

ヒストンの Lys の脱アセチル化酵素は HDAC と呼ばれ、遺伝子発現の制御に重要な分子である (2)。


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References

  1. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  2. Su et al. 2016a (Review). Metabolic control of methylation and acetylation. Curr Opin Chem Biol 30, 52-60.