アミノ酸の分解
aa_carbo_lipid/aa/degradation
3-24-2017 updated
- α-アミノ基の分解
- 炭素骨格の分解
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α-アミノ基の分解
アミノ酸の分解は、ユニットごとに考えると都合がよい。まずは右のアミノ酸の基本構造を思い出そう。
カルボキシル基 -COOH とアミノ基 -NH2 が同じ炭素に結合しているものを α-アミノ酸、その炭素を α 炭素という。
アミノ酸分解で重要なのは、第一に α 炭素に結合している -NH2, α-amino group の扱いである (1)。これは有害なアンモニアを生み出す恐れがあるので、分解されるアミノ酸から適切に取り外して処理されなければならない。アミノ酸の種類によって、いくつかのパターンがある。
Gly | Ser に変換されるほか、いくつかの経路がある。 |
Ser, Thr | 直接 NH4+ として取り外す。 |
Ala, Val, Leu, Ile, Phe, Tyr, Asp, Asn | アミノ基を α-KG に移し、グルタミン酸 Glu を作る。グルタミン酸の NH2 は、NAD+ または NADP+ に水素を渡して (酸化されて) C=NH2+ という形になる。これが水和することにより NH4+ が生じ、最終的には Phe は Tyr に変換されてから transamination が起こる。Asn は側鎖のアミノ基が取れて Asp として分解される。 |
Pro, His, Gln, Arg (Glu) |
アミノ基の転移ではなく、アミノ酸を直接グルタミン酸 Glu に変換する。その後は上と同様に分解される。 |
Cys, Lys, Met, Trp | 独自の分解経路がある。 |
ここでは、上記の反応のうち
肝臓以外では、筋肉でアミノ酸の分解が生じるが、
1. アミノ基の置換
ここで α-KG やグルタミン酸が突然出てくるのは、単に両者の構造が似ているからである。以下の図に見るように、α-KG にアミノ基をつけるとグルタミン酸になる。
グルタミン酸の生合成という観点から考えた場合、これはいくつかある生合成反応の一つである。
- α-KG とアンモニアからグルタミン酸を生合成する反応
- 神経細胞で、グルコースから神経伝達物質の Glu, Gln, GABAを作る経路。
- この反応は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼに触媒される。
- PLP はビタミン B6 = pyridoxine の誘導体である。
2. グルタミン酸の分解
グルタミン酸は、
- この反応はミトコンドリアで起こる。NH4+ が有害なので隔離されている。
- 分解は主に肝臓で起こる。
- グルタミン酸合成の逆反応である。
3. 尿素の合成
尿素回路 urea cycle のページを参照のこと。
炭素骨格の分解
アミノ基以外の部分は、原則として以下のいずれかの方法で代謝される (1)。
- 糖新生経路に乗せてグルコースにする。
- TCA 回路に乗せて酸化する。
下の図は、それらの経路の概要を示したものである。詳細は 糖原性アミノ酸のページ を参照のこと。また、以下のアミノ酸については、個々のページで分解反応についても言及してある。
図は Wikipedia からのもの (2) であるが、ストライヤー生化学と概ね同じであることを確認済みである。
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References
- Amazon link: Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
- "Amino acid catabolism revised" by Mikael Häggström - http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Amino_acid_catabolism.svg. Licensed under CC0 via Wikimedia Commons.
下村 2009a (Review). 分岐鎖アミノ酸 (BCAA) 代謝の調節機構. 化学と生物 47, 480-485.