染色体 Chromosome: 核内にみられる糸状の構造

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8-22-2017 updated

  1. 概要: 染色体とは
  2. 染色体の構造と重要な単語
    • 染色分体クロマチド
    • セントロメア
    • 動原体
    • 複製起点
    • クロマチン

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概要: 染色体とは

染色体 chromosome とは,核 nucleus の中にみられる 糸状の構造 である (1)。Oxford 生物学辞典の原文は "A threadlike structure several to many of which are found in the nucleus of plant and animal (eukaryotic) cells"。

DNA やヒストン histone というタンパク質から構成されるが,発見・命名の方が構成要素の同定よりも早かったため,定義はあくまで「構造」となっている。

通常の状態では顕微鏡で観察することは難しいが,細胞分裂前にははっきりと見えるようになる (写真, 2)。


ページ下方にも情報があるが,簡単に用語を整理しておく。

  • クロマチン Chromatin: DNA とタンパク質 (主に histone) の複合体。
  • クロモソーム Chromosome: 糸状の構造。= 染色体。
  • クロマチド Chromatid: 糸状の構造がよりあわさったもの。

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染色体の構造

染色体は,下の図 (3) のような基本構造をもっている。ただし これは細胞分裂前の染色体 であることに注意する必要がある。X 型をしているのは,すでに細胞分裂前の複製を終えているためである。

1 本の染色分体から成る染色体は I 型をしており,もちろんセントロメア,テロメア,複製起点 origins of replication などを含んでいる。



図の 1 - 4 の名前は以下の通り。重要な用語を解説している。

  1. テロメア
  2. セントロメア
  3. 染色体短腕
  4. 染色体長腕

染色分体: Chromatid

A threadlike strand formed from a chromosome during the early stages of cell division (1).

図だとテロメア telomere を指しているように見える。X 型の染色体の 1 本 1 本が染色分体,2 本をまとめて染色体である。

染色分体は同一の遺伝情報をもっており,互いに sister chromatid であるという。

3 は染色分体の短腕 short arm, 4 は長腕 long arm と呼ばれる。


テロメア: Telomere

テロメアは染色体の末端にあり,数 kb に及ぶ TTAGGG という配列の繰り返しと,それに結合しているタンパク質複合体 (shelterin) からできている (6)。

染色体の末端は,shelterin で保護されていなければならない。そうでないと,たとえば end-to-end fusion によって他の染色体と繋がってしまう恐れがある。また,DNA の切断部位と区別できないため,DNA 修復機構が働いてしまう可能性もある (6)。


セントロメア: Centromere

紡錘体 spindle microtubules が結合する染色体の一部分 (4)。これによって,細胞分裂の際に染色体は細胞の両端へと引っ張られていく。

セントロメアの位置によって,染色体の形は 4 種類に分類される (4)。Submetacentric は図のような上下が 1:2 ぐらいのものをいう。セントロメアがちょうど中心にあるのは metacentric,端にあるのが telocentric。短腕が存在するが非常に短いものが acrocentric である。


動原体: Kinetochore

セントロメアとキネトコアの違いは,Goolgle 検索で suggest されるほど一般的な疑問である。

Oxford Dictionary of Biology (Amazon link) によると,キネトコアは "platelike structure by which the microtubules of the spindle attach to the centromere of a chromosome during nuclear division" である。つまり,セントロメアは染色体の一部,キネトコアはプレート状の構造ということになる。

また文献 5 では centromere は染色体の一部,kinetochore は specialized protein complex と表現されている。


複製起点

複製起点は,顕微鏡で観察することは困難である (4)。


クロマチン

クロマチンは,DNA とタンパク質 (主にヒストン) および少量の RNA から成る複合体で,染色体の基本構成因子である (4)。

クロマチンに見られる DNA がヒストンに巻きついた構造を ヌクレオソーム構造nucleosome structure という。

また,クロマチンはその凝集の度合いによって ヘテロクロマチン heterochromatin と ユーロクロマチン eurochromatin に分類される。前者は DNA が折りたたまれて凝集しており,転写が不活発である。後者はクロマチン構造が比較的緩んでいて,その領域にある遺伝子が活発に転写されている。


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References

  1. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  2. By Steffen Dietzel - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1369763
  3. By derivative work: Tryphon (talk)Chromosome-upright.png: Original version: Magnus Manske, this version with upright chromosome: User:Dietzel65 - This is a retouched picture, which means that it has been digitally altered from its original version. Modifications: Made a SVG file inspired by this picture.. The original can be viewed here: Chromosome-upright.png. Modifications made by Tryphon.This vector image was created with Inkscape., CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5285797
  4. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが,6 版を紹介しています。
  5. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.
  6. Shay and Wright 2011a (Review). Role of telomeres and telomerase in cancer. Semin Cancer Biol 21, 349-353.