有糸分裂 Mitosis: 染色体数が変わらない細胞分裂

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8-22-2017 updated

  1. 概要: 有糸分裂とは
  2. 有糸分裂の各段階
    • Prophase
    • Prometaphase
    • Metaphase
    • Anaphase
    • Telophase

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有糸分裂とは

有糸分裂 mitosis とは,娘細胞が分裂前の細胞と同じ数の染色体をもつような細胞核 nucleus の分裂 のことをいう (1,7)。

「細胞の分裂」ではなく「核の分裂」であるので,定義に注意すること。細胞周期のページ に示したように,このあとに細胞が 2 つに分かれる cytokinesis が起こり,細胞周期が完了する。

Mitosis のプロセスは約 1 時間で完了する (7)。分裂中に生じる変化は,光学顕微鏡で容易に観察できる (各段階の写真を参照)。有糸分裂は,以下の 5 つのステージに分けられている (6)。この分類は,娘細胞の染色体数が半分になる減数分裂 meiosis でも同様なので,このページでは両者を対応させながら説明する。

本によっては 4 つのステージに分けているものもある (1)。有糸分裂は連続的なプロセスであり,各段階は便宜的な分類である。

英語の発音は [maitousəs],複数形は mitoses である。


Prophase 染色体が見えてきて,紡錘体 spindle が形成される。
Prometaphase 核膜が消失し,spindle がクロマチドに結合する。
Metaphase クロマチドが整列する。
Anaplase Sister chromatid が両方の極へ移動する。
Telophase Nuclear envelope (核膜) が作られる。

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有糸分裂の各段階

Prophase

Prophase は細胞分裂の最初の段階で,クロマチン chromatin が凝縮し,光学顕微鏡下で染色体 chromosome として見えてくる段階である。S 期で DNA の複製は完了しているため,2 本の染色分体 chromatid が存在する (6)。

紡錘体 spindle というオルガネラが 核の外で 作られる。まだ核膜があるため,紡錘体は染色体に結合していない。

中心小体 centriole というオルガネラが微小管から作られる。中心小体は微小管が正常に鞭毛や繊毛を形成するのに必要だが,細胞分裂での役割ははっきりしない。中心小体は中心体 centrosome の構成要素である (6)。

図 1 (Ref 2) は分裂中の細胞の蛍光顕微鏡画像である。微小管が緑,染色体が青,セントロメアが赤で染色されている。

図 1: Prophase

Phophase に関係する項目を列挙する。

  • 有糸分裂では組み換えが起こらないため,染色体は分離している。
  • リボソームが作られる核内のオルガネラ 核小体 nucleolus は prophase 中に分解される (7)。
  • Prophase では,核膜 nuclear envelope は分解されずに残っている (7)。 核膜の消失は,細胞が次の phase に移行したというマーカーである。


Prometaphase

核膜が消失すると,細胞分裂は prometaphase の段階に入ると定義される (6)。核の外で作られた紡錘体は,これによって染色体にアクセスできるようになる。

紡錘体の先端は,セントロメア周辺に形成される kinetochore に結合すると安定化される (6)。


Metaphase

Metaphase は,染色体が一列に並ぶ段階である (6,7)。中心体が細胞の両極に位置し,そこを頂点として 2 個の紡錘体が配置される。図 2 ではまだ中心体が両極に集まりきっていないが,紡錘体の形は整っている。

染色体は,両極に引っ張られる力を受けている。染色分体の 1 つが片方の極へ,他方は逆側の極へ伸びる微小管と結合している。これを bi-orientation という (6)。

Bi-orientation が全ての染色体で成立しているとき,紡錘体には正しい張力 tension がかかっている。この張力が,細胞分裂のステージが次に進むためのチェックポイントになっている (6)。1 つでも染色体が bi-orientation になっていないと,それは次の段階で正しく分配されないということなのでストップがかかる。



図 2 (Ref 3)

Metaphase に関連する重要事項

  • 有糸分裂 mitosis では,染色体のペアリングはみられない。
  • 生物によって染色体の数は異なり,これを数える解析を karyotype analysis という。Metaphase の細胞が主に用いられる (7)。

Anaphase

Anaphase では,染色分体 chromatid の結合がほどけ,それぞれの極へ移動する (1,6)。


Ref 4

Telophase

染色体が両極へ到達したあとを telophase といい,核 nucleus が分裂するフェイズである (1,6)。

核膜が形成され,染色体は再び光学顕微鏡では見えなくなる。

減数分裂 meiosis では,ペアから別れた完全な染色体が一つの娘細胞の核になる (1)。結果として,娘細胞の染色体の数は母細胞の半分になる。


Ref 5

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References

  1. Hine (2015). A Dictionary of Biology.
  1. By Roy van Heesbeen - Own work, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5143187
  2. By Roy van Heesbeen - Roy, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5143159
  3. By Roy van Heesbeen - Delta Vision Roy van Heesbeen, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5143107
  4. By Roy van Heesbeen - Roy, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5143202
  5. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが,6 版を紹介しています。
  6. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学.