ネフロンとは: 構造、機能など

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このページの最終更新日: 2024/12/15


  1. 概要: ネフロンとは
  2. ネフロンの構造
  3. 腎小体
  4. 尿細管

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概要: ネフロンとは

腎臓 kidney は以下の図 (3) のような構造をもつ器官で、血液 から老廃物および余計な水分を取り除き、尿として排出するのが主な機能である。つまり、体液の恒常性をコントロールするための器官と言える (2)。

このページでは、図の 13 番に示された構造、ネフロン nephron についてまとめる。他の構造については、腎臓の概要 のページ、またはそこからリンクされているページを参照のこと。

ネフロンは腎臓機能の基本となる単位で、「腎単位」とも呼ばれる。ヒトの腎臓には、左右合わせて約 200 万個のネフロンが存在するとされている。

腎臓解剖図 詳細

ネフロンの構造

ネフロンは、腎小体 renal corpuscle および 1 本の 尿細管 renal tubule から成る。腎小体はマルピーギ小体とも呼ばれる。また、尿細管は細尿管、腎細管と呼ばれることもある。

腎小体は、毛細血管が球状に集まった 糸球体 glomerulus と、それを囲むボウマン嚢 Bowman's capsule を合わせた構造である (図、ref. 6)。

ネフロンの構造

この図では、ボウマン嚢から下に伸びる黄色の部分 (尿細管) が一直線に書かれているが、これは少し不正確である。もう一つの図を見てみよう (4)。

ネフロンの構造

ボウマン嚢に繋がる尿細管を、近位尿細管 proximal convoluted tubule という。尿細管は、いったん髄質の深くまで入り、ヘンレループ で折り返して再び腎小体の近くに戻ってくる。これを 遠位尿細管 distal convoluted tubule という。

ネフロンの構造は、以下のように尿の生成に関与している。

  • 血液が腎小体に流入し、糸球体で老廃物が血管壁を通過する。これが集められて近位尿細管に入り、原尿になる。
  • 腎小体では、血球成分や タンパク質 などの質量の大きい分子は血液から取り除かれない。
  • 近位尿細管での排出はランダムなので、必要なイオン等まで原尿に排出されてしまっている。遠位尿細管では、必要な分子が血液に戻される。水の再吸収を促進する バソプレッシン が有名である。

腎小体は皮質部に存在し、そこから髄質方向へ尿細管が伸びている。腎小体が皮質の表面に位置している場合、cortical nephron という (右側)。髄質寄りの場合は juxtamedullary nephron と呼ばれる (左側)。

その他の用語も表にしておく。

輸入細動脈
Afferent arteriole

輸出細動脈
Efferent arteriole


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腎小体

腎小体の構造について詳しく解説する。

上で述べたように、腎小体は毛細血管が球状に集まった 糸球体 glomerulus と、それを囲むボウマン嚢 Bowman's capsule から成る。マルピーギ小体ともいう (2)。

まずは、単純な模式図から見てみよう (Public domain)。濃い赤で糸球体が、ピンクでボウマン嚢で描かれている。

糸球体の構造

次の図 (5) はもう少し複雑であるが役立つ情報が多いので、腎小体の大まかな構造を理解したら、そちらを見てみよう。

腎小体は球状であり、片側が血管に、その反対側が尿細管に繋がっている。北極と南極のように、それぞれ血管極、尿細管極という (2)。

糸球体の構造

糸球体内皮

メサンギウム
Mesangium

基底膜
Basement membrane

足細胞
Podocyte

被蓋細胞、有足細胞とも呼ばれる糸球体の上皮細胞。

  • 有足細胞は腎臓にある血液濾過に不可欠な細胞で、この細胞の機能が異常を来すと腎臓がうまく働かないネフローゼ症候群につながり、大量のタンパク質が血中から尿中へと漏出する (参考)。

Juxtaglomerular apparatus

Juxta は「近傍の」という意味の接頭辞。


尿細管

尿細管についても、ネフロンの図 (4) を使って詳しく見てみる。

紫で表された近位尿細管 proximal convoluted tubule は、皮質内で複雑に迂回している。この部分を皮質迷路という。

髄質に入ると尿細管は直線的に伸び、ターンしたのちに皮質に戻ってくる。直線部分を ヘンレループ loop of Henle という。

ネフロンの構造

戻ってきた尿細管は、再び皮質迷路の中で複雑に迂回し、集合管 collection duct へ繋がる (赤い部分)。ここが遠位尿細管 distal convoluted tubule である。

以上のように、尿細管は順番に 近位尿細管 - ヘンレループ - 遠位尿細管 -集合管と 4 つの部位に分類されている。ただし、この走行による分類は、上皮細胞の構造による分類とは一致しない (2)。


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References

  1. ページ編集に伴い削除
  2. 坂井 2001a. 初心者のための腎臓の構造. 日腎会誌 43, 572-579.
  3. By BruceBlaus. When using this image in external sources it can be cited as:Blausen.com staff (2014). "Medical gallery of Blausen Medical 2014". WikiJournal of Medicine 1 (2). DOI:10.15347/wjm/2014.010. ISSN 2002-4436. - Own work, CC BY 3.0, Link
  4. ページ編集に伴い削除
  5. By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Shypoetess" title="User:Shypoetess">Shypoetess</a> - <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/File:Renal_corpuscle.svg" title="File:Renal corpuscle.svg">File:Renal corpuscle.svg</a> and <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/File:Cialko_nerkowe.svg" title="File:Cialko nerkowe.svg">File:Cialko nerkowe.svg</a> by <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:M.Komorniczak" title="User:M.Komorniczak">M•Komorniczak</a>, CC BY-SA 4.0, Link
  6. By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Madhero88" title="User:Madhero88">Madhero88</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span><span class="mw-headline" id="References">References</span><a class="external text" href="https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/72/Renal_Diuretics.gif">here</a>, CC BY 3.0, Link

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