血液の概要と目次

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2018/09/06 更新

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  1. 概要: 血液とは
    • 血球細胞の種類
  2. 血液を使った診断
    • 低血圧・高血圧
    • 一般的な血液検査の測定項目
    • 血液のメタボロミクス
  3. 血液凝固のメカニズム

  4. 造血幹細胞
  5. 血友病

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概要: 血液とは

血液 blood は、動物の体内を巡る主要な液体である。血液が管状の構造の中を流れている場合、この管を血管 blood vessel という。

循環血液量は、マウス 72 mL/kg、ラット 64 mL/kg である (1)。


血球細胞の種類

赤血球
Erythrocyte
Red blood cell

白血球
Leukocyte
White blood cell

白血球の定義は様々であるが、ここでは血液またはリンパに含まれる免疫担当細胞の意味で用いる。

以下の細胞が白血球に分類される。免疫学の概要 にはリンパ球に関する似たような表がある。

  • 好酸球 Eosinophil: 白血球全体の 2–5%、エオシン親和性が高い。
  • 好塩基球 Basophil: 白血球全体の 1% 以下。
  • 好中球 Neutrophil: 白血球全体の 50–70% を占める。
  • 単球 Monocyte: 白血球の中で最も大きい。マクロファージや樹状細胞に分化できる。
  • リンパ球: 以下のように分類される。
    • B 細胞
    • T 細胞
      • Naive T cell
      • Effector T cell
        • Helper T cell
        • Cytotoxic (killer) T cell
        • Suppressor T cell など

血小板
Platelet

  • 傷口を塞ぐ

これらの血球細胞は、共通の 造血幹細胞 から分化する (6)。


血液を使った診断

血液の組成は、さまざまな生理状態を反映する。そのため血液および尿は病気の診断によく使われる。下の表は、生物学的な観点から血液検査で診断できる項目をまとめたもの。

病院などで行う一般的な血液検査の測定項目は、

考えられる異常 血液の変化
水分不足
  • 血中ナトリウム濃度が増大

過剰な脂質代謝
(糖尿病 など)

  • pH の低下 (アシドーシス acidosis)
内分泌系の異常
  • 糖尿病: Insulin の量が変化
  • 甲状腺異常: 甲状腺ホルモンの量が変化

タンパク質栄養の低下

  • 血中アルブミン量、レチノール結合タンパク質量が低下する
ネクローシス
  • 筋肉: 血中クレアチンキナーゼ量が増大
  • 膵臓: 膵臓アミラーゼ量が増大
炎症
  • C-reactive protein 量が増大
遺伝病
ストレス

低血圧・高血圧

血圧を測定すると、2 つ数字が出てくる。高い数字は、心臓が収縮して血液を送り出しているときの血圧で、「上の血圧」と言われる。正式には「収縮期血圧」という。「下の血圧」は「拡張期血圧」であり、心臓が拡張した状態での血圧である。

収縮期血圧で 130 mmHg 未満、拡張期血圧で 85 mmHg 未満が正常範囲とされているが、年齢や性別によって正常範囲は異なる。

収縮期血圧が 100 mmHg 未満の場合は、低血圧である。


血液のメタボロミクス

血液中には多様な代謝産物が含まれており、その量は生理状態によって変動する。これらを質量分析や核磁気共鳴 NMR によって網羅的に同定する手法をメタボロミクス metabolomics という。

サイドバーの「検査値で読む人体」では、様々な血液パラメーターの説明や、正常値の意味などが詳しく解説されている。古い本で安価に手に入るので、ぜひ参考にしたい。


Insulin withdrawal および絶食下で、血液と尿の代謝産物量を NMR で測定 (4)。

  • 大きい分子やアルブミンなどは除き、小分子の mM オーダーのものを測定する。
  • ケトン体は全てメチル基をもつので、NMR のターゲットになる。
  • 重水素を飲んでから測定。尿中にはもともとタンパク質が少い。血液は過塩素酸で除タンパク質している。
  • 水のシグナルが強いこと、アルブミンやイムノグロブリンを除ききれないことが問題だが、前報で対策済。
  • アルブミン中の 脂肪酸 は NMR では見えない。リポタンパク質中の脂肪酸は検出できる。
  • 絶食で血中 グルコース の濃度が低下し、ケトン体が徐々に増える。
  • アミノ酸は Val, Ala のみが血中に mM オーダーで存在するので、NMR で観測できる (参考: NMR によるアラニンの検出)。
  • Insulin withdrawal 後、血中グルコースおよびケトン体が増大、脂肪酸は徐々に低下する。
  • 試料に standard を加えることで、定量も可能。
  • 巨大分子と結合していたり、金属イオンと結合していたりすると、NMR では見えない。

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血液凝固のメカニズム

血液の凝固、凝血 blood clotting は、一連の酵素 enzyme のカスケードによって引き起こされる素早い応答である (下図、3)。Coagulation ともいう。


Coagulation cascade は、intrinsic/extrinsic に大きく分けることができる。

Intrinsic pathway

  1. Factor XII (Hageman factor) の活性化で開始される。

Extrinsic pathway

  1. 外傷により tissue factor が活性化する。TF は膜に結合した糖タンパク質である。
  2. スロンビン thrombin というプロテアーゼが合成される。
  3. Thrombin のポジティブフィードバックにより、さらに多量の thrombin が合成される。

これらの経路は最終的に合一され、以下のように fibrinogen から fibrin を作り出し、clot を作る。

  1. フィブリノーゲン fibrinogen は、Aα chain, Bβ chain, γ chain を 2 個ずつ含む 6 量体で、分子量は 340 kDa である (2)。Rod 部分は alpha-helix coiled-coil 構造 (triple strand) である。
  2. Thrombin により A peptide, B peptide (合わせて fibrinopeptide という) が Aα chain, Bβ chain からそれぞれ切り取られ、fibrin モノマーを作る。fibrin monomer は α, β, γ chain を 2 個ずつ含む。
  3. Fibrin monomers は重合し、繊維状の fibrin を作る。重合は Lys および Gln の間で行われ、transglutaminase に触媒される。

Fibrin はセリンプロテアーゼである plasmin によって分解される。

Factor VIII 欠乏: Classic hemophilia (= hemophilia A) という病気の原因になる。

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References

  1. 実験動物の循環血液量. pdf file.
  2. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  3. By Dr Graham Beards - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19094276
  4. Nicholson et al. 1984a.  Proton-nuclear-magnetic-resonance studies of serum, plasma and urine from fasting normal and diabetic subjects. Biochem J 217, 365-375.
  5. Amazon link: ハーパー生化学 30版.
  6. By パタゴニア - The copyright free images by FujiMan Production(Japan), CC 表示-継承 3.0, Link

参考図書