腎臓とは: 構造、機能、用語集など

UBC/tissue/kidney/kidney_overview
このページの最終更新日: 2024/03/28


  1. 概要: 腎臓とは
  2. ネフロンについて
  3. 腎臓の発生

広告

概要: 腎臓とは

腎臓 kidney は以下の図 (3) のような構造をもつ器官で、血液 から老廃物および余計な水分を取り除き、尿として排出するのが主な機能である。つまり、体液の恒常性をコントロールするための器官と言える (2)。

ヒトの腎臓は 2 個あり、脊柱に対して対称に体の両側に存在する。膀胱の隣にあるようなイメージがあるが、実際の位置はもっと高い。

一般に、体の前面から頭腎、中腎、後腎に分類される。頭腎は発生初期に退化し、魚類および両生類では中腎が中心的な役割を果たす。爬虫類および 哺乳類 では、後腎のみが発達・機能する。

動脈が腎臓に入っていく部分には空洞があり、これを腎洞 renal sunus という (2)。皮質 cortex は表面、髄質 medulla は内部構造であり、この言葉は脳 brain など他の臓器でも使われる。

腎臓の概要

詳細な構造を示した図 (1) と比べながら見てみる。4, 5, 6 番のある側が脊柱に向いている。皮質の中には血管があり、髄質は円錐状の塊に分かれている (2)。この円錐状の構造を腎錐体 renal pyramid という。

腎臓解剖図 詳細

1. 腎錐体
Renal pyramid

腎髄質 renal medulla を構成するピラミッド状の構造。ラットマウス の腎臓には、腎錐体は 1 個しかない (2)。

腎錐体とその周辺の皮質領域は、肉眼で観察できるサイズの構造であり、腎葉 renal lobe と呼ばれる (2)。ゆえに、ラットやマウスの腎臓は腎錐体が 1 個しかない単葉腎、ヒトの腎臓は腎錐体が複数ある複葉腎である。

2. 輸入細動脈

3. 腎動脈

4. 腎静脈

5. 腎門

6. 腎盤

7. 輸尿管

8. 腎杯

9. 腎皮膜

10. 下端、11 上端

12. 輸出細動脈

13. ネフロン
Nephron

「腎単位」ともいう。ページ下方 に詳しい説明がある。腎臓機能の基本となる単位で、腎小体 renal corpuscle および 1 本の尿細管 renal tubule からなる。腎小体はマルピーギ小体とも呼ばれる。また、尿細管は細尿管、腎細管と呼ばれることもある。

ヒトの腎臓では、左右合わせて約 200 万個のネフロンが存在するとされている。

14. 小腎杯

15. 大腎杯

16. 腎乳頭

腎錐体の先端部であり、ここに近位尿細管が接続している (2)。近位尿細管は腎杯へ続く。

17. 腎柱

腎葉の境界領域に入り込んだ皮質のこと (2)。小児期には溝があるが、成長とともに皮質が入り込んでくる。


広告

ネフロン nephron について

ネフロン nephron とは、腎小体および 1 本の尿細管から成る腎臓の基本的な構成単位である。腎小体 renal corpuscle は、毛細血管が球状に集まった 糸球体 glomerulus と、それを囲むボウマン嚢 Bowman's capsule から成る (6)。

詳細は ネフロンのページ を参照のこと。

ネフロンの構造

腎臓の発生

腎臓は中間間葉 intermediate mesenchyme から発生し、脊椎動物では以下の 3 つのステージを経て分化する (5)。どのステージでも、ネフロンが構造および機能の中心となる。

Pronephros

次の段階である mesonephric kidney の発達に伴って消失する、初期段階の腎臓である (4)。

哺乳類では non-functional であるが、ゼブラフィッシュ やゼノパスでは機能する。ゼブラフィッシュでは、受精後 24 時間では pronephro であるとする文献がある (4)。

Mesonephros

哺乳類では、次の段階である metanephric kidney の発達に伴って消失する、発生段階中期の腎臓である (4)。魚類や両生類では、これが腎臓発生の最終段階であり、成体の腎臓として機能する (7)。

ゼブラフィッシュでは、受精後 1 週間までには mesonephric kidney になっている (4)。

Metanephros

成体の腎臓で、fully functional である (4)。


広告

References

  1. By Piotr Michał Jaworski; PioM EN DE PL - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
  2. 坂井 2001a. 初心者のための腎臓の構造. 日腎会誌 43, 572-579.
  3. By BruceBlaus. When using this image in external sources it can be cited as:Blausen.com staff (2014). "Medical gallery of Blausen Medical 2014". WikiJournal of Medicine 1 (2). DOI:10.15347/wjm/2014.010. ISSN 2002-4436. - Own work, CC BY 3.0, Link
  4. Horsfield et al., 2002a. Cadherin-17 is required to maintain pronephric duct integrity during zebrafish development. Mech Dev 115, 15-26.
  5. Desgrange and Cereghini, 2015a (Review). Nephron patterning: lessons from Xenopus, zebrafish, and mouse studies. Cells 4, 483-499.
  6. By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Madhero88" title="User:Madhero88">Madhero88</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span><span class="mw-headline" id="References">References</span><a class="external text" href="https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/72/Renal_Diuretics.gif">here</a>, CC BY 3.0, Link
  7. Zhou et al., 2010a. Characterization of mesonephric development and regeneration using transgenic zebrafish. Am J Physiol Renal Physiol 299, F1040-F1047.

コメント欄

サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。